9月7日に緊急記者会見を開き、自民党総裁を辞任する意向を表明した石破茂首相。党内で高まる「石破おろし」に屈した形となってしまいましたが、識者はこれをどう見たのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、政権与党の長として解決すべきだった課題を挙げるとともに、そこから逃げた石破氏の姿勢を強く批判。その上で「絶望」にも似た自身の本心を吐露しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:な~んだ、この程度だったんですね、石破さん/自民党をブッ壊すことを辞さない改革者かと期待したのに
7日夜の毎日新聞ネット版は「参院選で与党が大敗してから約50日。石破茂首相(自民党総裁)の進退を巡る混乱がようやく決着した」と書いたが、これは明らかに反石破の守旧派の立場に立った表現で、石破がすぐに辞めないで50日もジタバタしたことが「混乱」であったので、彼が辞めたのでそれが「収まってよかった」というニュアンスである。
こういう表現1つにも意図された世論操作が含まれていることに読者は注意しなければならないが、ならばこの記者に問おう。石破だけがこの局面で自民党を抜本的に改革しうる総理となるかもしれないという期待を背にここまで上り詰めた石破が、課題をやりきれずに中途半端に投げ出してしまって、その後に来るのは今まで以上の「混乱」ではないのか?
たとえば高市早苗のような時代錯誤の右翼が間違って総理になる可能性が少しでも出てきて、自民党がますますどこかおかしな方向に流れていくかもしれないというのは、国民から見れば、より本質的な「大混乱」ではないのか?
しかも、これから起きるいよいよ断末魔の自民党大混乱にもかかわらず、取っ代わろうとする野党は存在しない。これによる政治の不在の深刻さの中で、日本の衰退が加速することになる。まあ本当に、石破さん、あまりにも無責任でしたね。呆れました。
(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2025年9月8号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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