海外のZ世代で「バードウォッチング」が大人気。アリアナ・グランデも野鳥アプリに夢中で、愛鳥家が急増

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同じ羽の鳥が群がる(類は友を呼ぶ)」という英語の諺があるが、どうやら今、人間が鳥を見るために集っているようだ。

近年イギリスやアメリカなどの若者の間で、バードウォッチング熱が急速に高まっている。

米政府機関の2024年の調査では、アメリカ人の10人に3人にあたる9600万人が、バードウォッチングを楽しんでいた。

さらに、英国王立鳥類保護協会(RSPB)が2026年5月に発表した調査によると、イギリスのバードウォッチング人口は、2018年から2026年の8年間で47%も増加した。

特に伸びが顕著だったのはZ世代(1997~2012年生まれ)で、10倍以上増えていた。

ミレニアル世代(1981〜1996年生まれ)でも216%、X世代(1965〜1980年生まれ)では66%増えており、若い世代を中心に、幅広い年齢層でバードウォッチングが広まっていることがわかる。

RSPBは「バードウォッチングを日常的に楽しむZ世代の数は今も増え続けている」とプレスリリースで述べている(調査はRSPBが分析会社Fifty5Blueのデータに基づいてまとめた)。

SNSでも人気。“鳥インフルエンサー”も

比較的年齢層の高い、一部の人たちの趣味と思われてきたバードウォッチングだが、その印象は大きく変わりつつある。

バードウォッチングはSNSでもトレンドになっており、鳥コンテンツを発信するインフルエンサーも誕生している。

ガーディアンによると、TikTokでは#birdwatching(バードウォッチング) #birdtok(バードトック) #birding(野鳥観察)などのハッシュタグをつけた動画が急増。「スティーブン」と名付けられた人馴れしたカモメにサーモンの切り身を与える動画は、5200万回以上再生されている。

RSPBユース・カウンシルのメンバーである24歳のジェス・ペインターさんは、「バードウォッチングは、身近で専門用語にとらわれず、クールな趣味へと変わってきています。素晴らしいことだと思います。 特にソーシャルメディアで若い人たちがバードウォッチングの楽しみ方を再定義し、知識や情熱を共有しています」と同協会のプレスリリースでコメントしている。

ブームと歩調を合わせるように、鳥が餌を食べる様子を撮影するバードフィーダーカメラや、鳥観察を目的に旅行するバードウォッチツーリズムの人気も高まっている。

アリアナ・グランデも夢中の野鳥アプリ

バードウォッチングは新型コロナウイルスで外出が制限された時に人気になった趣味の一つだが、そのブームを後押ししているのが、野鳥識別アプリ「Merlin(マーリン)」だ。

Merlinはニューヨークのコーネル大学鳥類学研究所が開発したアプリで、鳥の特徴に関する簡単な質問に答えたり、写真や鳴き声を送信することで、種類を特定できる。

日本語を含む30言語で展開され、ガーディアンによるとこれまでに240の国や地域で4000万回以上ダウンロードされている。

鳥に詳しくなくても、このアプリを使えば目の前の野鳥の種類がわかり、バードウォッチングをより楽しめる。

鳥と同じように歌声で世界中の人を魅了する歌手のアリアナ・グランデさんも、2025年に出演したポッドキャストでMerlinを使っていることを明かし、「素晴らしいです。鳥の鳴き声を録音すると、すぐに何の鳥なのか表示してくれます。声でわかるんです。すごく気に入ってます」と語っている。

メンタルヘルスや脳に良い効果がある可能性も

さまざまな研究から、バードウォッチングにはメンタルヘルスやウェルビーイングなど、心身の健康にメリットをもたらす可能性があることが明らかになっている

RSPBユース・カウンシルメンバーのペインターさんにとって、マインドフルネスがバードウォッチングの魅力の一つになっているという。

「鳥を見ている時は、他のことは何も考えていません。心が安らぎ、自然や自分自身とつながれるんです。好奇心を持って観察し、耳を澄まし、学ぶことで、日常の中にある無数の小さな驚きに心を開くことができます」と語っている。

また、2026年に発表されたカナダの研究では、バードウォッチングには、加齢に伴う認知機能の低下を遅らせる効果がある可能性が示された。

この研究では、参加者を熟練バードウォッチャーと初心者のグループにわけて、それぞれの脳を調べた。

その結果、熟練バードウォッチャーは初心者に比べて、注意力や知覚に関係する脳の領域の構造がより複雑になっており、これらの領域で加齢に伴う機能低下が抑えられている可能性が示された。

研究の筆頭著者であるヨーク大学のエリック・ウィングさんは、「今回の調査だけでは、脳の変化とバードウォッチングの因果関係の証明はできない」としつつ、「生涯を通じて身につけた専門的な知識が、高齢者の記憶機能を支えるために活用されている可能性があることが示された」と メディカルニューストゥデイに語っている。

おすすめは「ドーン・コーラス」

バードウォッチングを始めてみたいと思った人に、専門家がお勧めするのが「ドーン・コーラス」だ。

ドーン・コーラスとは、夜明け(ドーン)前後に聞こえる野鳥のさえずりで、春がベストシーズンとされている。

RSPB野生生物専門家のモリー・ブラウンさんは「ほとんどの人たちが、『ドーン・コーラス』の時間にはまだ眠っていますが、早起きしてでも聞く価値があります」と述べている。

ブラウンさんによると、ドーン・コーラスは、寝室の窓や川沿い、森の中など、場所を選ばずに楽しめるが、早めの準備が鍵になる。

「空気が静かでまだ光が少ない夜明け約45分前には聞く準備ができていることが大切です。素晴らしい体験ができます。まだバードウォッチングに興味がない人でも、ドーン・コーラスを聞いた後には、きっと鳥を観察したくなっていることでしょう」と太鼓判を押している。

RSPB会長で医師のアミール・カーン博士も「鳥たちのさえずり、中でも最も大きく美しい声で鳴くドーン・コーラスを聞くことで、脳の神経伝達物質セロトニンの分泌がさらに促され、心地よい気分になることがあります」とコメントしている。 

バードウォッチングは鳥についての知識のあるなしに関係なく誰もが参加でき、高価な道具なしでも始められる。

一人でもグループでも楽しめ、都会や海辺、山岳部など場所を選ばないのも魅力だ。

ただし、気をつけるべき点もある。日本野鳥の会は、「野鳥の巣には近づかない」「野鳥を追い回さない」「珍鳥や人気の鳥の情報を公開しない」「餌付けや、環境改変は行わない」など、鳥を撮影する時に気をつけるべきマナーを紹介している。

残念ながら、鳥の数は過去数十年の間に急激に減少しており、その原因には建物の建設や農地拡大など、人間の活動による生息地の減少が大きく関係していると考えられている

バードウォッチングの若い世代への広がりは、メンタルヘルスやウェルビーイングの向上だけではなく、生息環境を守ろうとする意識の高まりにつながることも期待されている。

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