「本を読み語ることは、権力への抵抗」。人気歌手が作った「禁書の図書館」、日本人作家の小説も

2 ヶ月前 19

「世界で最も美しい書店」に選ばれたこともあるポルトガル北部・ポルトの「リブラリア・レロ(レロ書店)」に、英人気歌手が、禁書や検閲対象になった本など約100冊を紹介する常設図書館を作った。

図書館には、「記憶狩り」が進む世界を描いた小川洋子の『密やかな結晶』や、ドラマ化もされたマーガレット・アトウッドの『侍女の物語』なども並ぶ。どんな意図で作られた図書館なのだろうか。

「本を読むことは権力への抵抗」

図書館を開いたのは、読書家としても知られ、イギリスやアルバニアにルーツのある歌手のデュア・リパ。無料で参加できるブッククラブ「Service95 Book Club」を主宰し、毎月課題図書を選ぶほか、自身で作家のインタビューや、女性刑務所での読書会も行なっている。

レロ書店に6月末にオープンした図書館の名は「マニフェスト図書館」。

ただリパが気に入った本を展示しているというわけではない。「権力、検閲、排除、そして支配的な物語に異議を唱える書籍を集めた」とのことだ。設立の背景には、2023年に全米の学校や公立図書館で4000以上の本が検閲の対象となり、他にもさまざまな国々で、作家が執筆・出版などを理由に投獄・拘留されるなど、言論の自由を規制するような動きが広がっていることがある。

マニフェスト図書館では、人種やセクシュアリティ、ジェンダー、政治体制、戦争、独裁政権、亡命などに関する書籍が、「権力」「支配」「声」「記憶」という4つの分類にわけて展示されている。

多くは出版が禁止されたり、学校カリキュラムや図書館システムから削除された本で、世間の議論を呼んだ本や、検閲そのものを題材にした本もあるという。

「Service95 Book Club」が公開した一部の本のリストは以下の通り(作品名は日本での翻訳版を参照)。

<権力>シモーヌ・ド・ボーヴォワール『第二の性』、レア・イピ『FREE』など

<支配>マーガレット・アトウッド『侍女の物語』 、小川洋子『密やかな結晶』など

<声>アリス・ウォーカー『カラーパープル』、オーシャン・ヴオン『地上で僕らはつかの間きらめく』など

<記憶>ミン・ジン・リー『パチンコ』 、アレクセイ・ナワリヌイ『愛国者』など

リパは、禁書や検閲の動きについて、「人種やセクシュアリティをテーマにした本は、学区によって禁書とされています。LGBTQIA+の読者向けに書かれた本の中には、陳列が制限されているものもあります。その言葉のために著者の命が犠牲になったケースもあります」と説明。

マニフェスト図書館は「消されてしまった本、権力と支配の構造を勇気をもって暴く作家たち、そして、読むべき本を一方的に指図されることを拒む読者たちに捧げられた聖域」だとし、こうも呼びかけている。

「ぜひ訪れて、棚にどんな本を並べるべきか、自身自身で決めてみてください。なぜなら、本を読んで、それについて語ることが、時に最も権力に抵抗する行為となるからです」

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