『弱った体ががらりと変わる本当の「解毒力」』(祥伝社) - 著者: 太田 成男 - 太田 成男による内容紹介

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弱った体ががらりと変わる本当の「解毒力」
『弱った体ががらりと変わる本当の「解毒力」』(祥伝社)著者:太田 成男

あなたの「不調」の原因は、
毎日体内に取り入れている“異物”にあった!
~体の驚くべき復元力を解き明かし、「健康不安」を「希望」に変える!!~

水素医学の世界的権威として知られる日本医科大学の太田成男名誉教授が、正しい「解毒力」、そして、がん、老化、ワクチン後遺症から高血圧、糖尿病、脳梗塞、さらにうつ病、認知症に至るまで、毒を抜いて病気に勝つコツを徹底解説。老化の真の原因は「終わらない炎症」、抗酸化サプリをとりすぎると寿命が短くなる、コレステロール不足が、がん、うつ、認知症を招く、などなど、目からうろこの新常識が満載の新刊『弱った体ががらりと変わる 本当の「解毒力」』より一部を抜粋してお届けします。

体のなかから健康になる「酸化」と「抗酸化」の正しい使い分け

「酸化=敵」というのは大間違いだった!

私たちの体のなかでは、毎日「酸化」と「還元」が繰り返されています。
酸化とは簡単に言えば、体の成分が〝サビる〟ような反応のこと。一方、還元とは、それを戻す反応です。
この酸化反応を過度に引き起こす主な原因が、酸化力の強い「活性酸素」です。活性酸素という言葉自体は耳にしたことがある、という人も多いと思います。この活性酸素が必要以上に増えた状態が、「酸化ストレス」が続く状態となるわけです。
たとえば、鉄が空気にさらされ続けるとサビてボロボロになります。同じように、酸化ストレスが強い状態では、体のなかの脂質、タンパク質、DNAが酸化され、傷ついていきます。これが長期間続くと、さまざまな不調や病気の誘因となるわけです。

 細胞の周りは「脂質の膜」でできています。この膜が酸化されると、細胞の内と外のバランスが崩れ、ときには細胞が死に至ることもあります。また、そこまではいかなくても、栄養や情報のやり取りがうまくいかなくなります。
私たちの体は、酵素やホルモンなど、ほとんどがタンパク質でできています。酸化ストレスが強いと、これらのタンパク質が変形し、正しく働かなくなる。すると代謝が落ち、免疫力が低下し、炎症が長引きやすくなります。つまり、慢性炎症の要因になり得るということです。

こうした酸化ストレスは、DNAにもダメージを与えます。
DNAの傷が修復されないまま蓄積すると、老化が進むだけでなく、がんや認知症のリスクも高まります。とくにミトコンドリアのDNAは傷つきやすく、エネルギー不足や慢性疲労の原因になります。
酸化ストレスが続くと、体が傷つきさまざまな不調や病気の原因となるため、常に「危険がある」と誤認識し、免疫が過剰に反応します。そうして炎症が慢性化し、関節痛、動脈硬化、生活習慣病、老化の加速にもつながるのです。
酸化がよくないのであれば、活性酸素を除去する抗酸化物質(βカロテン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなど)、つまり還元剤をたくさん摂取すれば、体が常に正しく機能するのではないかと、単純に考えられるかもしれません。しかし、ここが重要なところですが、近年の研究では酸化ストレスが細胞の修復力や長寿遺伝子を活性化する側面があることがわかってきました。
抗酸化物質をとりすぎると、こうした〝いい刺激〟まで消えてしまい、細胞に悪影響を及ぼすこともわかってきたのです。

活性酸素は、悪者のように語られることがほとんどです。
しかし、呼吸をするだけでも自然に発生し、細菌やウイルスを攻撃するなど、本来は体を守るために必要なものでもあります。つまり、活性酸素は完全にゼロにすべき〝敵〟ではなく、適度に利用すべき〝信号〟だったのです。


がんをめぐるβカロテンとビタミンEの恐るべき「逆効果」

これまで還元(抗酸化)というと、健康にとって100%味方かのように語られるのが当たり前でした。しかし還元作用が、〝逆効果〟になり得ることもわかってきました。そのことについて、もう少し話を深めていきましょう。

ニンジンやカボチャに多く含まれる「カロテン(βカロテン)」は、抗酸化作用がある健康成分として長く注目されてきました。とくに1990年代以前は「活性酸素を減らす」「発がん抑制に役立つ」と期待され、多くのサプリメントが販売されていました。しかし、その後の大規模臨床試験によって、この〝善玉〟は状況によっては逆効果になる可能性が明らかになったのです。
フィンランドで約2万9000人の中高年男性(とくに喫煙者、元喫煙者)を対象に行なわれた研究があります。研究の目的は、βカロテンとビタミンEの摂取ががん発症を予防するかどうかを調べることでした。
結果は期待に反し、βカロテンを摂取したグループのほうが肺がん発症率が高かったのです(とくに喫煙者で顕著)。
同様に、アメリカで行なわれた約1万8000人が対象の疫学調査でも、アスベスト曝露者や喫煙者にβカロテンとビタミンAを投与したところ、肺がんの発症率と死亡率が上昇するという結果が出たのです。

一体なぜ、「体にいいはずの成分」を摂取したにもかかわらず、がんが増えたのでしょうか。
野菜や果物に含まれる自然のβカロテンは、食物繊維・ビタミン類・その他の植物成分と一緒に摂取することでバランスよく働きます。問題になりやすいのは、サプリメントなどで大量・継続的に補うケースなのです。
要するに、βカロテンは食事から普通にとる分にはいい結果をもたらすが、特定の条件下で〝多すぎると逆効果〟になる可能性がある成分だということ。健康成分をとる際に大切なのは、単独の成分だけで体をコントロールしようとしないことです。人間の体は、多数の代謝経路とストレス応答が絡み合う精密なシステムであり、抗酸化も例外ではありません。
この知見は「抗酸化=良い」「活性酸素=悪い」という単純な構造では健康を語れないという教訓でもあります。
健康にとってベストな形で還元力(酸化ストレスの軽減)を高めたいなら、特定の成分を大量にとるより、代謝を整え、ミトコンドリアが働ける体内環境をつくるほうが、持続的で安全なアプローチになるのです。


抗酸化サプリをとりすぎると寿命が短くなる!

これまで長年、抗酸化物質が「老化防止」「長寿促進」に役立つと考えられてきました。
しかし、前項で説明したように、βカロテンを過剰に摂取するとがんになりやすい結果を踏まえて、それを考え直す必要が生じてきます。
2007年にコペンハーゲン大学などの研究グループが発表した報告も、その事実を後押しするものでした。抗酸化サプリメント(βカロテン、ビタミンA、ビタミンE)を摂取している人は、摂取していない人に比べて寿命が短いというデータが示されたのです。
複数の研究を統合した解析の結果として、抗酸化サプリが長寿を延ばさないどころか、死亡リスクを高める可能性があるという内容がまとめられたこの報告は、世界的権威がある米国医師会誌(Journal of the American Medical Association:JAMA)でも大きな話題となりました。

一方、食品由来の抗酸化物質(野菜・果物に含まれる自然のポリフェノールやビタミンなど)は、食事としてとる分には多くの健康利益をもたらすことが示されています。ルテイン(ホウレンソウ、アボカドなどに含まれる天然色素)などは、目の網膜に働きかけ、視力を向上させることもわかってきました
抗酸化物質は、適切な量であれば細胞保護に役立つが、多ければいいというものではないという理解が、現代科学のコンセンサス(常識)になってきています。
酸化は、老化の一因であるが、同時に生体の調節システムを動かす重要な信号でもあります。抗酸化物質を過剰に補給し、酸化信号を消しすぎることは、細胞の適応力を奪い、結果的に寿命を縮める可能性がある――。
これが、先述したコペンハーゲン大学の研究結果や、後述する私たちの研究チームによる水素の力の発見があった2007年ごろからの科学的議論の流れになっているのです。


多量のビタミン摂取で運動効果が台無しに!

もうひとつ、抗酸化物質のとりすぎがよくない例を紹介しましょう。
運動は健康のために欠かせない習慣とされていますが、その恩恵は単なるカロリー消費ではありません。筋肉細胞やミトコンドリアが運動の刺激を受けて「もっと強くなろう」と適応変化を起こすのです。そうなることで、体は若さと回復力を維持していることがわかっています。この適応反応こそが、運動の効果の本質なのです。
一方で、運動をすると、活性酸素が放出されます。活性酸素は酸化の原因ですから「老化を遅くするには無理に運動をせず、できるだけ活性酸素が生じないグータラ生活をすることが長寿への秘訣である」「運動は控え、抗酸化物質をできるだけ摂取して生活したほうがいい」と言われた時期もありました。
感覚的には、若いころからしっかり運動をして体を鍛えておいたほうが長寿になれると思えるでしょうが、本当のところどうなのでしょうか。

実際に、海外の研究において注目されている研究があります。
それによると、多量のビタミンC(1000㎎/日)やビタミンE(400IU/日)を摂取しながら運動をすると、インスリンの効果の改善が見られなかったり、ミトコンドリアを増やす遺伝子の働きが抑制されたりする結果が出ました。
本来なら、運動によって、インスリンが作用して血糖値が下がったり、ミトコンドリアを増やして、エネルギーがたくさんつくられたりするようになるはずです。ところが、せっかく努力して運動しても、抗酸化物質を多量に摂取することで、生活習慣病の予防など、運動のメリットが得られなくなるということになります。

このように、過度の抗酸化物質の摂取は体にいいどころか、上記の研究結果にあったようにがんの発症率を高め、寿命を短くし、さらに運動効果をなくしてしまうという結果が出てきたのです。
ただし、ここで誤解してはならないのは、「抗酸化物質が悪い」という話ではない点です。問題は、やはり量とタイミング。食事から自然な形でとるビタミンやポリフェノールは、体内システムの範囲で処理されるため問題は起きにくいと考えられます。
しかし、サプリメントで血中に一気に押し込むようなとり方の場合、体の調節機能を乱しやすく、本来体が持つ「自分で整える力」を抑制し、健康にマイナスの影響を与えてしまうのです。

[書き手]太田成男
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