多くの国民の減税を求める声に対して、慎重な姿勢を取り続ける石破首相。6月に続き8月に野党が共同で再提出した「ガソリン暫定税率廃止法案」についても同じ立場を貫いているのが現状です。この首相の方策を疑問視するのは、ジャーナリストの北野幸伯さん。北野さんは無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で今回、石破首相の「増税方針」を強く批判するとともに、現政権が続く限り日本の暗黒時代は終わらないと断言しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:石破さんがまた【増税】を画策している件
石破さんがまた【増税】を画策している件
今回は、久しぶりに、日本の政治について。
7月20日に実施された参議院選挙。予想通り、願い通り、自民党が大敗。国民民主党と参政党が大勝しました。これで自民党プラス公明党は、衆議院、参議院で過半数割れし、少数与党になりました。
ですが、石破さんは辞めていません。そのロジックが興味深いです。「自民党が負けたのは、石破さんのせいじゃない!裏金問題を起こした旧安倍派のせいだ!」というのです。
これを聞いて、皆さんどう思います?一見、「その通りだ」と思えるロジックです。しかし、じっくり考えてみると、「そうではない」ことがわかります。
今回勝ったのは、「手取りを増やす」(つまり減税)を掲げている国民民主党。国民は、減税によって手取りを増やすことを望んでいるのです。
そして、「日本人ファースト」を掲げる参政党。参政党支持者が望んでいるのは、「移民政策」「外国人優遇政策」を改めることでしょう。
2024年の衆議院選挙とは違い、今回の参議院選挙で「裏金問題」は争点になっていませんでした。石破さんたちが、いまさら「旧安倍派が起こした裏金問題のせいで負けた」主張するのは詭弁です。
石破政権の本質
さて、私はなぜ、2024年の衆議院選挙、2025年の参議院選挙で「自民党にいれるのはやめましょう」と主張しつづけていたのでしょうか?
日本が35年間経済成長していないのは、自民党のせいだからです。具体的には、自民党(と民主党)の「増税政策」「緊縮財政政策」のせいです。
それで私は、2024年9月に実施された自民党総裁選で、「減税派」「積極財政派」の高市さんを支持しました。しかし、残念ながら「増税派」「緊縮財政派」の石破さんが勝ってしまった。
石破さんは、「増税クソメガネ」と呼ばれた岸田さんの「長い増税リスト」を継承し、どんどんステルス増税を進めていく方針。
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これに加えて石破さん自身も、「金融所得増税」「法人増税」「さらなる消費税率引き上げ」に言及していました。石破さんの政策は、「経済成長」や「国民の生活を楽にすること」ではなく、「ひたすら増税すること」なのです。
石破政権がつづけば、増税によって国民負担率はさらに増え、当然経済成長はしません。結果、暗黒の35年は、40年、50年とつづいていく。
「同じことをすれば、同じ結果になる」のは当然のこと。それで私は、「増税派、緊縮財政派の石破自民に入れるのはやめましょう」と呼びかけていたのです。
予想通り、願い通りに石破増税自民党は惨敗しました。そして、過半数を占める野党は、「総減税派」という状況(立憲民主のように、「表向きだけ」減税派の党もありますが、支持率を下げないために増税を主張できません)。それで、「増税が難しくなった」ので、参議院選挙結果は、国益にかなっているのです。
しかし、石破さんは増税を画策する
さて、自民党、公明党惨敗を受けて、事態は好転しつつあります。
国民民主党、参政党、立憲民主党、日本維新の会、日本共産党、日本保守党、社会民主党の7党は8月1日、「ガソリン暫定税率廃止法案」を提出しました。
野党7党が、減税で協力する。実に喜ばしい光景です。
しかし、例のごとく、石破増税自民党が、ガソリン暫定税率廃止に反対しています。なぜ?「恒久的な財源が確保できなければ、賛成できない」そうです。
つまり、石破増税自民党は、「ガソリン暫定税率を廃止して減税したければ、同じ額だけ【増税しろ!】」と主張している。
つまり、「1兆円減税したら、1兆円増税しろ!」と。これって、全然減税じゃないですよね?
減税してこそ、国民の生活は楽になります。国民の生活が楽になってこそ、消費が増える。消費が増えれば、生産者は生産を増やし、従業員の所得をあげることができる。所得が上がれば、また消費が増え、生産が増えという好景気スパイラルを起こすことができる。
石破増税自民党は、「絶対に減税はさせない!」「絶対に国民負担率は下げさせない!」と主張しているようです。「絶対に経済成長はさせない!」「絶対に日本暗黒時代を終わらせない!」と主張しているのと変わりません。これに関連して『朝日新聞』8月24日付。
老朽化が進む道路や上下水道などの維持・補修に充てる財源を確保するため、政府は新税の創設に向けた検討に入る。自動車の利用者から徴収する案が有力で、年末にかけて具体化の議論を進める。新税は事実上、与野党が年内に廃止すると合意したガソリン税の旧暫定税率にかわる財源とみられ、実現には野党側の協力が欠かせない。
残念ながら自民党は変わっていません。石破増税自民がつづく限り、日本の暗黒時代はつづいていきます。
私たちは、このことをしっかり理解しておきましょう。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2025年8月25日号より一部抜粋)
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