免疫が弱った患者に起きた脳炎
ウイルス検査の結果と症状を、日付の順に並べた模式図です。赤い丸の陽性は脳の症状より少なくとも2か月前から続き、移植片は陰性でした(線の形は模式的で、縮尺は正確ではありません)。Credit: ナゾロジー編集部(編集部が作成した図、論文の図1(Bonnet et al., Eurosurveillance (2026)、CC BY 4.0)をもとに作成)患者は、免疫の働きがひどく弱まった状態にあったフランスの人でした。
この患者は、他人から提供された幹細胞を移す治療(同種幹細胞移植)を受けていました。
その1か月後の2026年9月、患者は脳に炎症が起きる脳炎を発症し、その後亡くなりました。
原因を探るため、脳と脊髄をひたす液体(脳脊髄液)が調べられました。
腰の背骨の間に針を刺して採った、人の脳脊髄液が入った4本の容器です。見た目はふつうの状態の脳脊髄液です。Credit: James Heilman, MD / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)使われたのは、試料の中の遺伝物質をまとめて読み取り、何がいるかを洗い出す方法(メタトランスクリプトミクス)です。
すると液体の中から、シャモンダウイルスの欧州の新しい系統「SHAV-EU1」が見つかりました。
ウイルスの遺伝子を狙って増やす別の検査(RT-PCR)でも、同じ結果が確かめられています。
さらに、中枢神経から採った組織を調べると、ウイルスが大量に含まれていました。
牛で流行していたウイルスが、人の脳の周りで数多く見つかったのです。
調べはそこで終わらず、患者から以前に採られていた試料にも及びました。
対象になったのは、血液、呼吸器、便の試料です。
その結果、脳炎が始まる少なくとも2か月前から、これらの試料にウイルスがいたことが分かりました。
つまり脳炎は、感染してすぐに起きたものではなかったことになります。








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