胃で子どもを育て、最後は「口から出産」していた
一般的なカエルは、水中に卵を産み、そこでオスの精子と受精させます。
孵化したオタマジャクシは水中で成長し、やがてカエルへと姿を変えていきます。
しかし胃内育児ガエルは、そこからがまったく違いました。
メスは受精した卵を自分で飲み込み、胃の中に取り込んでしまうのです。
卵はそこで孵化し、オタマジャクシから小さなカエルへと成長します。
そして十分に成長すると、母親の口を通って外の世界へ出てきました。
つまりこの期間、通常なら食べ物を消化するはずの胃が、子どもを守る「育児室」のような役割を果たしていたのです。
この奇妙な生態が知られていたのは、オーストラリア・クイーンズランド州に生息していたカモノハシガエル(R. silus)と、その近縁種(R. vitellinus)の2種でした。
カモノハシガエルは1973年に科学的に記載されましたが、1981年までには野生から姿を消し、飼育されていた最後の個体も1983年に死亡しました。
もう一種も1984年に発見されたばかりでしたが、その後ほどなくして姿を消しています。
両種の絶滅には、両生類に深刻な感染症を引き起こすツボカビが関与したと考えられています。
こうして、地球上でも類を見ない「胃で子どもを育てるカエル」は、発見からわずかな期間で人間の前から消えてしまったのです。
しかし研究者たちは、この奇妙な生き物を完全に諦めたわけではありませんでした。






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