明るい銀河に「目隠し」をして、空を丸ごと調べる
ろ座にある空の小さな一角を、ハッブル宇宙望遠鏡が2003年9月3日から撮りためたデータを重ねて作った画像です。Credit: NASA and the European Space Agency. / Wikimedia Commons(Public domain)観測の舞台は、ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドと呼ばれる空の一角です。
ここは、宇宙をとびきり深く撮った写真がそろっている場所として知られています。
研究チームが探したのは、天体が特定の色だけで強く光る「輝線(きせん)」です。
光を虹のように色ごとに分けると、輝線は細い1本の線として現れます。
水素を入れた放電管の光を色ごとに分けた、目に見える光の範囲のスペクトルです。Credit: Umop503 / Wikimedia Commons(CC0)赤方偏移6を超える遠い宇宙の天体が紫外線で出す輝線は、波長1〜2.5マイクロメートルの、目に見えない赤外線の範囲に届きます。
この1〜2.5マイクロメートルの範囲で最も細かく色を分けられるのが、ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の分光装置NIRSpecです。
ただしこの装置は、ふつう観測する天体を前もって選んでから光を集めます。
すると明るさや色で選んだ天体しか見られず、まだ知られていない天体は探せません。
そこでチームは、MOCSSと名付けた新しい観測法を編み出しました。
NIRSpecには、光を通すかどうかを決める小さなシャッターがたくさん並んでいます。
MOCSSでは、ハッブルの画像ですでに知られている近くの天体の上にあるシャッターを閉じ、残りをほぼすべて開けます。
明るい天体の光が邪魔をしないように、いわば目隠しをしておくわけです。
ウェッブ宇宙望遠鏡の分光装置で、光の通り道をどう開け閉めしたかを表した模式図で、数や大きさは正確ではありません。閉じるのは明るい天体の上だけなので、残りの広い所で未知の天体の光を探せます。Credit: ナゾロジー編集部(編集部が作成した図)壊れたシャッターなどを差し引いても、面積の9割以上が開いた状態になりました。
こうして、狙いを決めずに、空の広い範囲から輝線を探せるようになったのです。
チームは同じ空を、向きを約89度ずらした2つの角度から撮影しました。
光学部のカバーを外した状態の、ウェッブ宇宙望遠鏡の分光装置NIRSpecです。この装置に並ぶたくさんの小さなシャッターを新しいやり方で開け閉めしたのが、今回の観測法です。Credit: Astrium GmbH / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)撮影位置も少しずつずらし、それらを重ね合わせた画像を4枚作りました。
本物の輝線なら、ずらした分だけ決まった動き方をして、画像の上に現れるはずです。
この確かめ方を通った輝線の候補は、合わせて42本でした。






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