国立西洋美術館など6館の入館料が最大3倍超に。国が展示での「自己収入」求める。目標は65%からいずれ100%へ

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国立西洋美術館など全国6つの国立美術館で、常設展の入館料が上がる。

10月24日の京都国立近代美術館を皮切りに2027年6月までに順次改定され、一般料金はおおむね2倍以上になり、国立工芸館では3倍を超える。物価高に加え国が今年、展示で収入を増やすよう数値目標を課したことが背景にある。

6館の常設展、一般はほぼ一律1000円に

独立行政法人国立美術館が9月18日に発表した。対象は同法人が運営する7施設のうち、所蔵作品を持たない国立新美術館を除く6施設。東京国立博物館など、別の法人(国立文化財機構)が運営する国立博物館は今回の改定の対象外だが、同様の中期目標が示されている。

改定日は、京都国立近代美術館が10月24日、国立国際美術館(大阪)が12月1日、国立映画アーカイブ(東京)が2027年1月5日、東京国立近代美術館が2月9日、国立西洋美術館(東京)が3月20日、国立工芸館(石川)が6月22日だ。

値上げは、常設展など「所蔵作品展」の料金。一般は国立映画アーカイブを除く5館で1000円にそろう。国立西洋美術館と東京国立近代美術館は500円からの倍増、京都国立近代美術館と国立国際美術館は430円から、国立工芸館は300円からの引き上げだ。

大学生は5館とも500円になる(現行は西洋美術館と東京国立近代美術館が250円、京都国立近代美術館と国立国際美術館が130円、国立工芸館が150円)。

国立映画アーカイブは一般が250円から500円に、大学生が130円から250円になる。高校生以下と18歳未満、65歳以上、障害者手帳を持つ人と付き添い1人は引き続き無料。企画展は従来どおり展覧会ごとに料金を決める。

値上げの背景には物価高と国の「数値目標」

同法人は理由として、物価やエネルギー価格の高騰で、展示に伴う輸送、看視・警備、展示造作などの経費が増えていることを挙げる。

もう一つの理由が、国の「中期目標」だ。国立の美術館・博物館は独立行政法人として運営され、国がおおむね5年ごとに示す目標に沿って、法人が具体的な計画を立てる。

文部科学省は今年2月27日、国立美術館の2026〜2030年度の中期目標を決め、展示事業の費用に対する自己収入の割合を最終年度に65%以上とする目標を掲げた。2024年度の実績は53%。中期目標は、次の中期目標期間中に100%を目指すとしている。

目標がかかるのは「展示」だけだ。文化庁によると、館の仕事は「収集・保管」「教育普及」「調査研究」「展示」の4つ。前の3つは引き続き国の予算でまかない、展示は館の工夫で収入を増やしてほしいという考え方だ。

中期目標は、所蔵作品展の入場料の引き上げに加え、訪日客と国内居住者で料金を分ける「二重価格」を、中期目標期間が終わる2031年3月までに導入するよう求めている。文化庁は、物価高への対応や、多言語対応など鑑賞環境の改善に必要だと説明する。

これを受けて同法人は、今年度からの中期計画に、所蔵作品展の入館料引き上げと二重価格の導入を盛り込んだ。今回の値上げは、その計画の実行にあたる。

ただし、今回の改定は全ての来館者に共通の料金で、二重価格は含まれていない。同法人は今年度の年度計画で、二重価格の導入に向けた検討を始めるとしており、今後、料金を分ける改定が改めて行われる見通しだ。

収入が費用の4割未満なら「再編」対象に。文化庁「閉館は想定せず」

中期目標は、期間の4年目にあたる2029年度の時点で展示収入が展示費用の4割を下回り、社会的に求められる役割を十分果たせていないと考えられる館を「再編」の対象とし得るとしている。

一方、文化庁は再編は閉館を想定したものではなく、4割未満というだけで直ちに対象にはならないと説明する。役割分担を見直して法人全体の機能を強めるのが目的だという。

国の予算は減るのか?文化庁「必要な予算の確保に努める」

入館料などの収入が増えれば、その分、国の予算が減らされるのではないか。こうした懸念に対し、文化庁は、必要な予算の確保に努めるとしている。

実際、2026年度予算では、国から各法人に配られる運営費交付金に、初めて物価高への対応分などを盛り込み、国の文化施設を運営する国立美術館、国立文化財機構、国立科学博物館の3法人で計6.5億円を増額した。

訪日客対応の予算も新たに設け、同じ3法人で計31億円を積み増している。少なくとも今年度の予算では、国費は増えた形だ。

文化庁は、国費を確保しつつ、展示では収入も伸ばす「2本立て」の考え方を示す。ただ、来館者にとっては、美術館を支える費用の一部を、入館料としてこれまでより多く負担することになる。

入館料を上げれば、美術館は遠い存在になりかねない。収入目標と美術館の役割をどう両立させるのか。そもそも国が収入目標を課すことに、慎重な見方も出ている。

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