参院選敗北「最大の原因」。野田佳彦という“自民の手先”をそのまま代表に留任させる立憲民主党「人事刷新」の奇々怪々

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th20250916

今夏の参院選で事実上の敗北を喫した立憲民主党。この結果を受け同党は9月11日に執行部の刷新を発表しましたが、代表は野田佳彦氏の留任となりました。この人事に異を唱えるのは、ジャーナリストの高野孟さん。高野さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で今回、野田氏の代表据え置きを「間抜けな人事」としてそう判断する理由を解説。さらにかような決定を下した同党の先行きを絶望視しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:真っ先に刷新すべきは野田佳彦代表自身だというのに、そこは触らない立憲民主党の奇怪な人事

自民党の手先どころか「トロイの木馬」だった野田佳彦という人物

2016年9月に蓮舫が民進党の代表となり野田を幹事長に選んだ時に、私は「日刊ゲンダイ」のコラムで野田が犯した「7つの大罪」を列記し、彼が安倍長期政権の生みの親であるばかりか、安倍がやった禍々しいことの多くを準備していたことを指摘した。そのコラムはこう書いた。

「野田佳彦幹事長」には驚いた。旧民主党OBの何人かと話をすると、みな「安倍政権下で起きている悪いことのほとんどは、野田政権時代に始まった。そのことを蓮舫新代表は知らないとでも言うのだろうか」と怒っている。その通りである。

第1に、安保法制。野田政権の国家戦略会議フロンティア分科会は12年7月、憲法解釈を変えて集団的自衛権を行使を認めるべきだと提言し、それを「能動的な平和主義」と名付けた。それと連動して自民党もほぼ同時期に「国家安全保障基本法(概要)」を発表して政権交代後に備えた。

第2に、武器輸出。藤村修官房長官は11年12月、佐藤・三木両内閣以来の武器輸出3原則を見直して「包括的な例外協定」案を発表した。それを受けて安倍は14年4月、同3原則を廃止した。

第3に、オスプレイ配備。米国の言いなりで受け入れ、12年10月に沖縄に配備を強行させた。

第4に、尖閣国有化。12年9月、中国への根回しを欠いたまま尖閣諸島の国有化に踏み切り、日中関係が一気暗転、安倍政権の扇情的な「中国脅威論」キャンペーンに絶好の材料を提供した。

第5に、原発再稼働。野田内閣は12年6月、3・11後初めて大飯原発3、4号機の再稼働を決定し、7月から運転させた。また同時に、再稼働の「新安全基準」を定め、それを担う「原子力規制委員会」を設置する法案を成立させた。同委員会は12年9月に発足し、せっせと再稼働推進に取り組み始めた。それを受けて安倍は、全面的な原発復活・輸出路線に突き進んだ。

第6に、TPP。最初に「参加を検討する」と言ったのは菅直人首相だが、野田は11年11月「参加のため関係国と協議に入る」と表明、12年に入り各国に政府代表団を派遣し始めた。それを引き継いで安倍は13年3月、TPPに正式に参加表明、甘利明特命大臣を任命して交渉をまとめさせた。

第7に、消費増税。野田内閣は12年2月に「社会保障・税一体改革」大綱を閣議決定し、8月に「14年に8%、15年に10%」とする消費税法改正案を成立させた。これをめぐる安倍との駆け引きの中で、やれば負けると分かっている解散・総選挙を打って、同志173人を落選させ、安倍に政権をプレゼントした。その野田が蓮舫の傀儡師になって、一体どのように自民党と対決して政権を奪い返すというのだろうか。見えているのは「自公民大連立」という悪夢の予兆だけである。

こうしてみると、野田は自民党の手先というか、予め送り込まれた「トロイの馬」だったとさえ言えるのではないか。そういう野田を昨秋、代表に選び、それが敗因だという総括も出来ずにそのまま留任させるというのは、一体どういう了見なのか。この党にもはや先行きはないと断ぜざるを得ない。

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2025年9月15号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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