【分析】トランプ氏のらしくない「安物」スーツ、ちぐはぐな装いに浮上する疑問

10 時間前 1

(CNN) トランプ米大統領が輸入スーツを安価で販売するブランドのタグをちらりと覗(のぞ)かせる姿が撮影された。これ自体は本来、ニュースになるような話ではない。

政治の世界に身を置く女性なら、政治家の服装についてあれこれ論じるべきではないと口をそろえるだろう。

だが、大富豪のトランプ氏が比較的手頃な「ジョス・A・バンク」のタグが付いたジャケットを着ている姿を写真に撮られたとなれば、色々と気になる点が出てくる。

CNNはホワイトハウスにコメントを求めている。

らしくない装い

フロリダ州の邸宅「マール・ア・ラーゴ」に会員制クラブを立ち上げた人物が、ショッピングモールでスーツを買うだろうか?

トランプ氏といえば、自身の名前入りの腕時計を10万ドルで売り、米経済誌フォーブスの長者番付に名前を載せる目的で純資産を水増しした疑いを持たれている大統領だ。ステータスを誇示するものには、強いこだわりがある。

トランプ氏はホワイトハウスを金箔(きんぱく)やコリント式の大理石で豪華に飾り立てたほか、寄付金や税金を投じて、世界最大規模の宴会場の建設に乗り出している。高級品に囲まれた姿を見せるのが好きなのは一目瞭然だろう。

カタールからは、大統領専用機「エアフォースワン」の機材として使用する4億ドルの豪華ジェットも贈られた。それなのに、身に着けるのは堅実なセダン車の乗り手が選びそうなスーツなのか。

トランプ氏のスーツから覗いていたタグは、ジョス・A・バンクの上下別売りスーツ「トラベラー」シリーズのものと似ている。ビッグサイズは現在、279ドルで販売中だ。しわや汚れが付きにくいとうたっており、全米各地を回るには丁度いい一着だろう。

「米国第一主義」とややちぐはぐ

ジョス・A・バンクの親会社であるコングロマリット(複合企業)の「テイラード・ブランズ」は、紳士服ブランドの「メンズ・ウェアハウス」も傘下に持つ。テイラード・ブランズの商品には米国内で製造されるものもあり、その一例が700ドルで販売されるブランド「ジョセフ・アブード」だ。ジョス・A・バンクが手掛ける「アメリカン・ビスポーク」シリーズも米国製とうたわれているが、公式サイトに掲載されたタグは、ちらりと見えたトランプ氏のタグとは異なる。

トランプ氏のジャケットの内側に見える「ジョス・A・バンク」のタグ/Win McNamee/Getty Images
トランプ氏のジャケットの内側に見える「ジョス・A・バンク」のタグ/Win McNamee/Getty Images

つまり、トランプ氏のスーツは中国かバングラデシュで製造された可能性が高い。米国製造業の復活を約束してきた大統領としては、ややちぐはぐなメッセージだろう。

トランプ氏のオンラインストアでは、「ビンヤード・バインズ」による米国製のネクタイが125ドルで販売されている。とはいえ、これはあくまでネクタイの話だ。

トランプ氏ならどんなスーツでも購入可能

トランプ氏に批判的な層からはこれまでも、長すぎるネクタイや、首都ワシントンの穏やかな午後にオーバーコートと手袋を着込んで中国の習近平(シーチンピン)国家主席を出迎えた姿を揶揄(やゆ)する声が出ていた。今回の手頃な価格のスーツも、格好の批判材料になっている。

物価高にあえぐ米国民の中には、こうしたチョイスに庶民感覚や親しみやすさを見いだす人もいるかもしれないが、トランプ氏自身はほぼ何も困っていない。欲しいスーツは何でも買えるはずだ。

資産開示によると、トランプ氏一族の企業は、仮想通貨(暗号資産)への投資で10億ドル超を得ているとされる。トランプ氏の企業は、本人のSNSへの投稿を公開前に閲覧できるサービスも販売しており、資金力のあるウォール街の企業がその情報で稼ぐ構図が浮かび上がる。トランプ氏はデータセンターを受け入れるよう米国民に迫っているが、これはトランプ氏の投資先の企業の利益につながる可能性がある。

庶民派を演出する狙い?

トランプ氏のような陰謀論者なら、手頃なスーツのタグが見えたのは、庶民派に見せかける意図的な演出ではないかと勘繰るかもしれない。

服装で親しみやすさを演出した例は過去にもある。ゴア元副大統領のセーターや、ケリー元国務長官が着ていた迷彩柄の狩猟ジャケット、さらにはジョージ・H・W・ブッシュ元大統領のカウボーイブーツが思い浮かぶ。

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