【分析】トランプ氏によるイランからの出口戦略、一つだけ残る大問題

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ANALYSIS

2026.08.28 Fri posted at 15:00 JST

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5月14日、北京で会談した中国の習近平(シーチンピン)国家主席(右)とトランプ米大統領/Brendan Smialowski/Pool/Getty Images

5月14日、北京で会談した中国の習近平(シーチンピン)国家主席(右)とトランプ米大統領/Brendan Smialowski/Pool/Getty Images

北京(CNN) ベッセント米財務長官が「経済的追放作戦」を発表し、イランとの取引中止を拒否した国に改めて厳しい制裁を科すと予告した時、同氏は作戦の成否を決めるかもしれないある国の名前を挙げなかった。それは中国だ。

世界第2位の経済大国である中国はこれまで長年、イランが輸出する原油の大半を買い取り、そのほかの取引も含めてイラン経済の重要な命綱となってきた。昨年の原油輸入は数百億ドル分に上ったと推定される。

しかし、過去6カ月近くに及ぶ戦争を経てもなお頑として抵抗を続けるイラン指導部を抑え込もうと、ホワイトハウスが乗り出した新たな取り組みに、中国を誘い込むのは至難の業だ。

中国政府は米国の制裁を「一方的」だとして一蹴し、これまでイランやロシアのような相手と通常の貿易を続ける権利を主張してきた。中国はまた、中間選挙を目前に控えた米政府が、米中両国の利益を損なうような、より広範な経済対決を引き起こすことには慎重になっているとの見方を示す。

中国外務省は25日、ベッセント氏の記者会見の後、米国による制裁の脅威に対して自国の「正当な権利と利益を守る」ために、「必要なあらゆる措置を講じる」と表明した。

同省の林剣(リンジアン)報道官は「経済戦争も最大限の圧力も、この問題を解決する助けにならない。緊張と対立を激化させ、波及リスクを生じさせ、国際経済・金融秩序を混乱させるばかりだ」と述べた。

ベッセント氏が制裁を予告したのは、中国の習近平(シーチンピン)国家主席による来月の訪米に大きな期待がかかるタイミングでもあった。米中はそこで、この秋に期限が切れる重要な貿易休戦の延長に向けて前進する可能性もある。

トランプ米大統領は先日、習氏との5月の会談ではイランについて何も頼みごとをしなかったと述べていた。たとえその通りだとしても、そうした発言から中国は米国が戦争終結を切望している気配を察知する公算が大きい。

ベッセント氏は「静かな外交」の期間、つまりイランの経済パートナーに水面下で最終的な要求を伝える期間を設けると述べたが、会見の中で具体的な国名は挙げなかった。両国は今後これにどう対処するか、慎重に計算することになる。

中国のアナリストは、米国の要求を受け入れる余地はあまりないことを示唆している。中国のシンクタンク、上海国際問題研究院の一部門である国際戦略・安全保障研究所の趙隆(ジャオロン)所長は、「どの中国企業が第三国と合法的に取引できるかを米国に決められるような状況を、中国側が受け入れる可能性は低い」と述べた。

「そんなことをすれば、米国の二次制裁が事実上、中国と第三国の通商関係を決定し得るという前例ができてしまう」

米国に何ができるか

中国がイラン産原油の輸入に使う不透明なシステムは、米ドル体制や制裁の影響を受けない仕組みになっている。

制裁対象のイラン産原油は、「ティーポット」と呼ばれる民間の製油所が買い取って精製する。ここで使われる港や金融機関、タンカーのネットワークも同様に、国際市場への露出から遮断されている。第1次トランプ政権がオバマ政権時代のイラン核合意から離脱して対イラン制裁を再開してから何年もの間、中国はこうした購入を公式に記録していない。

とはいえ、急所は確かに存在すると、アナリストらは指摘する。

米シンクタンク、民主主義防衛財団の上級リサーチアナリスト、マックス・メイズリッシュ氏は「こういう事業者の所有権をさかのぼると、中国の大型国有企業が直接または間接的に所有していることが多い。それらの企業は米ドル体制に深く組み込まれている」と述べた。

「米国は子会社に制裁を科すことで親会社に圧力をかけ、制裁対象を直接または間接的に支援しているとみられないために手を引くよう促すことができる」と、同氏は説明する。

ベッセント氏は今年、米国が中国のある2銀行に対し、イランに関係する取引への関与をめぐり警告を発したと述べていた。同氏は24日の記者会見で、違反した中国の銀行や海運会社に対して米国はどんな措置を取るかと問われ、米国による制裁の「適用対象から外れる者などいない」と語った。

こうした強気の発言にもかかわらず、米国がこれまで大規模な制裁を予告しながら撤回するのを、中国はずっと見てきた。中国の大きな経済的影響力、特に戦略的に重要なレアアース(希土類)の世界への供給を担っているという形での影響力を米国が痛感していることも、中国は承知している。

北京にある清華大学・戦略安全研究センターの上級研究員、孫成昊(スンチェンハオ)氏は、「もし米国が(中国の主要銀行に制裁を科すという)一線を越えたら、中国政府はほぼ確実に反撃し、(トランプ氏と習氏の)首脳会談に向けた政治的なムードは急激に悪化するだろう」と話す。

それによって会談が自動的に中止されることはないかもしれないが、「首脳会談の方向は安定化から火消しへと転換するだろう」と、孫氏は語った。

首脳会談への配慮

習氏の訪米は11年ぶりとなる。米中双方とも、緊張の激化が首脳会談に及ぼす影響を考慮するだろう。

中国は自国が反対する制裁体制に協力しているように見えることを嫌うだろうが、目立たないように原油の購入量を減らしたり、イランに対して政治的メッセージや自制を促す呼びかけを強めるなど、慎重に行動を起こすことはできる。

米国の封鎖でイランからの原油輸出が制限された結果、中国が購入するイラン産原油はすでに昨年に比べて急減している。

また中国のアナリストはここ数週間、米中の利害は重なる部分があることを示唆してきた。この中には特に、戦争で航行が停止しているホルムズ海峡で通商の流れを再開させることが含まれる。そしてまた、より広い地域の安定を回復することも通商の助けになる。

中国側はこの数日間、ホルムズ海峡周辺での自制と正常な運航を求めるメッセージを改めて強めている。

習氏は24日、北京市内でヨルダンのアブドラ国王と会談した後の共同声明で、ホルムズ海峡の「正常な通航」と紛争の「包括的解決」を呼びかけた。

中国の苗得雨(ミャオデユー)外務次官は先週、北京にイラン当局者らを迎えた際に、中国は「和平交渉の推進に積極的に取り組んでいる」と述べた。

とはいえ、中国は直接の仲介役を務めることには慎重な姿勢を示し、それよりも自国の経済的利益を守り、米国の優柔不断さとは対照的に地域の平和を支える安定した大国というイメージを打ち出す立場を選んできた。

地域の平和回復に向けて米国と協力するとしても、「トランプ氏の頼みを聞くという次元に成り下がるべきではない」と、上海国際問題研究院の趙氏は強調する。

同氏は「中国政府は危機の収束に貢献する用意がある」とする一方で、「イランに最大限の圧力をかけるという米国の戦略に利用されるつもりはない」と述べた。

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