元米国防長官「クラリティ法案は国家安全保障法」ラザルス・中国を警戒

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この記事の要点

  • 元米国防長官、CLARITY法案を「国家安全保障法」と位置づけ
  • 北朝鮮・中国への対抗を理由に早期可決を要求

CLARITY法案に「安全保障」の争点浮上

元米国防長官のマーク・エスパー氏は8月8日、英経済紙フィナンシャル・タイムズへの寄稿で、仮想通貨市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」を国家安全保障に関わる法案と位置づけ、上院に早期可決を求めました

その理由として同氏は、規制の空白が北朝鮮のハッカー集団ラザルス・グループによる米国の金融統制回避を許すだけでなく、中国による米ドルの基軸通貨としての地位の侵食を招く恐れがあると訴えています。

一方、上院では9月15日に法案の採決が見込まれており、8日には多数党院内総務のジョン・スーン議員が本会議への付議に向けた討論終結動議(クロージャー)を提出しました。

これまで金融規制の枠組みを中心に審議されてきたCLARITY法案に安全保障という視点が加わり、上院での賛否をめぐる論点が広がっています。

「ラザルスと中国」2つの安全保障リスク

ラザルス対策で財務省の権限拡大を主張

エスパー氏は最初の安全保障リスクとして、北朝鮮のラザルス・グループが仮想通貨(暗号資産)の規制上の抜け穴を突き、米国の金融統制をすり抜けている実態を挙げました。

こうした資金逃れへの対策として同氏はCLARITY法案に言及し、米国愛国者法第311条にもとづく財務省の「特別措置権限」を仮想通貨分野へ拡張する条項を重視しています。

エスパー氏はこの権限を「不正な主体に対する最も鋭い武器の一つだ」と記しており、銀行口座の凍結などに用いられてきた措置の対象を仮想通貨経由の資金にも広げる意義を強調しました。

「最大の戦略的脅威」中国のドル離れ戦略

もう一つの安全保障リスクとして、エスパー氏は中国が国家主導の決済網への投資を続け、米国の金融システムへの依存を減らそうとしていると警告しました。

同氏は「中国は私たちの世代で最大の戦略的脅威だと、私は長く主張してきた」と記し、こうした取り組みには米国の監視を回避するとともに、米ドルの中心的な役割を切り崩す狙いがあると訴えています。

そのためエスパー氏は、仮想通貨分野の規制を明確にすることが、中国によるドル離れへの対抗策としても重要になるとの立場からCLARITY法案の成立を求めています。

討論終結に60票、超党派の支持が鍵

エスパー氏が安全保障を前面に押し出す背景には、CLARITY法案の上院審議で超党派の支持が必要となる事情があります。

上院で討論を打ち切って採決に進むには60票の賛成が必要となるため、共和党だけで必要票に届かない場合、民主党からの賛同が不可欠となります。

こうした状況を踏まえ、エスパー氏は寄稿の結びで「クラリティ法案は単なる金融サービス法案ではなく国家安全保障法でもあり、緊急性をもって可決されるべきだ」と訴えました。

予測市場や米中競争も審議の争点に

クラリティ法案では、部族団体が予測市場の規制条項の追加を求めるなど、仮想通貨の市場構造とは異なる規制要求も審議に持ち込まれています。

安全保障をめぐっては、トランプ大統領が「中国に仮想通貨を支配させない」と宣言しており、中国による金融面での影響力拡大を警戒するエスパー氏の主張とも方向性が重なります。

金融市場のルール整備を目的とするCLARITY法案をめぐる審議は、予測市場の扱いや中国との競争にも及び、金融規制だけでは収まらない論点へと広がっています。

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Source:FT寄稿
サムネイル:AIによる生成画像

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