
この記事の要点
- 米財務省が越境詐欺組織への制裁を拡大し、9名・26団体を新たに指定
- FinCENがHuione規制改正案、東南アジア詐欺資金網を強化規制
被害1.6兆円超、越境詐欺組織を追加制裁
米財務省の外国資産管理局(OFAC)は2026年6月23日、東南アジアを拠点とする越境犯罪組織「Prince Group(プリンスグループ)」に関係する9名と26団体を制裁したと公表しました。
財務省はこれと並行して、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)を通じ、詐欺収益の洗浄拠点とされる金融グループ「Huione Group(フイオネ・グループ)」向けの規則改正案を公表しており、越境詐欺を支える資金移動ルートへの規制も強化しています。
ベセント財務長官は「東南アジアの詐欺拠点は毎年、米国の被害者から数十億ドルを奪っている」と述べ、制裁と規制を組み合わせて越境犯罪組織の資金網を断つ方針を示しました。
財務省によると、2024年に米国人が東南アジアを拠点とする詐欺で被った被害額は少なくとも100億ドル(約1兆6,170億円)に達しており、前年から66%増加しました。
被害の大半は、正規の投資サイトを装って仮想通貨(暗号資産)を購入させる手口によるものとされ、当局は犯罪組織だけでなく資金洗浄ネットワークへの対策も同時に進めています。
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OFAC制裁の拡大と連動する規制・捜査
側近・ダミー企業にも制裁対象を拡大
今回の追加制裁は、2025年10月14日にOFACが英国の外務・英連邦・開発省(FCDO)と協調し、プリンスグループを越境犯罪組織として初めて指定した措置を踏まえ、対象を組織の中枢や資金管理網まで広げる措置となりました。
今回の措置では、組織の幹部に加え、詐欺拠点へ資金を提供した人物や、不正な資金移動の隠れみのとして利用されたダミー企業も新たに制裁対象に指定されています。
財務省は組織の指導者を2025年に制裁対象となったチェン・ジー(陳志)氏と認定しており、今回は同氏を支えてきた側近にも制裁対象を広げることで、組織全体への圧力を強めました。
組織「ナンバー2」フー氏にも制裁拡大
今回の制裁の中心となったのはフー・シャオウェイ氏で、財務省は同氏を組織の「ナンバー2」、チェン・ジー氏の「兄貴分」と位置付けています。
フー氏は2025年10月にも、別名「チェン・シャオアル(Chen Xiao’er)」名義でOFACの制裁対象となっており、今回の指定により関連資産や企業網への制裁範囲がさらに拡大しました。
財務省によると、同氏は英領バージン諸島に登記した3社を含む複数の企業を通じて資金や不動産を管理してきたとされており、香港やシンガポールに広がる関連企業も今回の制裁対象へ加えられています。
これらの企業は組織の資産管理や資金移転を支える役割を担っていたとされ、当局は関連ネットワークを一体的に指定することで資金の流れを遮断する方針です。
仮想通貨洗浄拠点にFBI摘発と規制強化
組織の資金移動を支えたインフラへの対応として、FinCENは2025年10月に発効したHuione Group向け規則の対象へ、「H-Pay Service PLC」と後継事業体を新たに加えるよう求めています。
FinCENはHuione Groupを、サイバー窃盗や仮想通貨投資詐欺の収益を洗浄する中継拠点と位置付けており、プリンスグループも資産の移転や集約に利用してきたと説明しています。
こうした規制強化と歩調を合わせる形で、FBI(連邦捜査局)のサンフランシスコ支局は同日、Huione Groupが米国人を狙う詐欺で運用していたインフラを押収しました。
一連の措置は、トランプ大統領が2026年3月6日に署名した大統領令(E.O.14390)に基づいて実施されており、国土安全保障タスクフォースや国家調整センターとも連携して捜査が進められています。
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東南アジア詐欺に国際包囲網が拡大
今回の措置は単独の制裁ではなく、東南アジアを拠点とする越境詐欺組織への包囲網を広げる取り組みの一環として位置付けられています。
OFACは2026年4月23日にも、カンボジアの上院議員コック・アン(Kok An)氏と関連ネットワークを制裁しており、犯罪組織を支える資金や利害関係者への対応を段階的に拡大してきました。
2025年9月には、カンボジアとミャンマーを拠点に人身売買やサイバー詐欺へ関与したとして、12社と7名を指定する措置も講じられ、各国当局との共同対応が継続しています。
今回の制裁でも、オーストラリアのAUSTRAC(取引報告・分析センター)が捜査に協力し、日本の警察庁とも緊密に連携したと財務省は明らかにしました。
FinCENの改正案は連邦官報への掲載後、30日間の意見公募を経て正式決定される予定となっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=161.75 円)
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Source:米財務省
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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