中国、南シナ海で支配強化 米国務省が「安定損なう」と異例の非難

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2025年2月18日、スカボロー礁上空で、中国軍のヘリコプターがフィリピン水産局(BFAR)の航空機に接近飛行している。(AP通信/ジョエル・カルピタン撮影)

2025年2月18日、スカボロー礁上空で、中国軍のヘリコプターがフィリピン水産局(BFAR)の航空機に接近飛行している。(AP通信/ジョエル・カルピタン撮影)

By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, August 11, 2026

 中国が、南シナ海で係争中の岩礁への支配を強める措置を新たに発表したことに対して米国務省は、「不安定化を招く活動」であり、中国が同海域の自然保護区を守るために講じているとする法的主張にも疑問があると強調、広範囲に及ぶ中国の海洋権益の主張に反論した。

 国務省のトミー・ピゴット報道官は異例の強い表現で、中国が最近発表したスカボロー礁(中国名・黄岩島)に関する措置を非難した。スカボロー礁は中国とフィリピンが領有権を主張しており、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にある。

 ピゴット氏は声明で「中国は、スカボロー礁を一方的に『国の自然保護区』に指定し、それは今も続いている。これは地域の不安定化を招くばかりか、2016年の仲裁判断で認められたフィリピン人漁民の伝統的な漁場への立ち入りを阻止するものであり、米国はこれを拒否する」と述べた。

 「中国は、疑わしい環境・法的根拠を口実に、威圧的行動によって、南シナ海での広範な領土・海洋権益への一方的な主張を拡大しようとしてきた。周辺国がその犠牲となっている」

 ピゴット氏は、米国は自由で開かれたインド太平洋の実現へ、地域の同盟国フィリピンを支持していると述べた。

 中国政府は8月1日、スカボロー礁での漁業、海底採掘、サンゴの採取などを制限する新規則を導入すると発表した。

 数日後には、中国人民解放軍の軍艦や中国海警局の船舶が同礁周辺で大規模な軍事演習を行った。

 中国は昨年、スカボロー礁を自然保護区に指定した。米政府当局者によると、これは南シナ海の約90%を支配下に置こうとする中国のより広範囲に及ぶ取り組みの一環だ。

 同海域は年間推定5兆ドル相当の物資が行き交う戦略的に重要な海上交通路だ。

 2016年にオランダ・ハーグの仲裁裁判所がフィリピン側の主張を認め、中国による南シナ海の広範な権益の主張を違法と判断したにもかかわらず、地域の緊張は緩和されていない。

 中国国営メディアは、ピゴット氏のスカボロー礁に関する声明を批判した。

 中国共産党機関紙系の環球時報は中国当局者の発言を引用し、「国連海洋法条約の締約国ではない米国が、黄岩島国家級自然保護区について判断を下すのはばかげている」と報じた。

 同紙は9日掲載の記事で、米国には南シナ海に対する管轄権も地域情勢を判断する資格もないと主張した。

 「中米関係全体が緊張緩和に向かっている時期に、一部の米当局者が狭い政治的利益のために挑発を促そうとする動きは、全体の流れに逆行する」

 国務省のこのような反応は、エルブリッジ・コルビー国防次官(政策担当)の発言とは対照的だ。コルビー氏は10日、マニラで行った主要演説でも、その後の発言でも、スカボロー礁を巡る対立に言及しなかった。

 コルビー氏は演説で、中国に対する国防総省の新たな融和的な「現実主義」政策について説明したが、中国を直接名指ししなかった。この政策は共産主義国家である中国との静かな外交と敬意ある関係を重視する。

 太平洋軍のサミュエル・パパロ司令官(海軍大将)は8月3日の演説で、地域の一部の国が「正当性に関する虚偽の主張」を用いて威圧的行為を正当化していると述べ、名指しは避けながら、中国の行動を批判した。

 パパロ氏はマレーシアで開かれた地域安全保障会議で「それは法の支配ではない。法による支配だ。秩序を守る手段としての法と、むき出しの権力の武器としての法との違いこそ、われわれの時代を分かつ決定的な亀裂だ」と述べた。

 太平洋軍の法律部門は報告書で、2025年8月の中国による自然保護区指定について、地域を不安定化させる「法戦」と主張し、その法的根拠を否定した。

 報告書は「中国の自然保護区指定は、法戦、すなわち悪意ある行動が正当であるかのように見せ掛けるためのものだ。中国はここでも、法的仕組みを悪用し、武器として利用しようとしている」と指摘した。

 さらに「中国による南シナ海における攻撃的かつ違法な行動パターンは増えている。そこにはフィリピンのEEZ内でフィリピン船舶を執拗かつ危険な形で妨害する行為、国際法上の法的権利を持たない海域で毎年、広範かつ法的根拠のない漁業禁止措置を設定する行為、国際法で認められた伝統的な漁業権を妨げるために海上に障壁を設置する行為などが含まれる」とした。

 報告書によると、中国は、広範囲に及ぶ海洋権益を主張し、国際的な法規範を軽視してきたが、これは法戦の一環であり、「戦わずして勝つ」ことを目指す中国の大きな戦略の一部だ。

 その取り組みは「米国の国家安全保障と、インド太平洋地域の同盟国・パートナー国の利益を直接損なう」と報告書は指摘した。

 中国はスカボロー礁に加え、他にも複数の係争中の島を埋め立て、サンゴ礁を浚渫して滑走路や軍事基地を建設している。

 中国の習近平国家主席は2015年、これらの島々を軍事化しないと約束したが、国防総省によると、中国軍は複数の島にミサイルや電子戦装備を配備している。

 スカボロー礁はフィリピン最大の島ルソン島から124マイル(約200キロ)、中国本土からは数百マイル離れたサンゴ環礁で、現在も両国の主要な火種となっている。

 ここ数カ月、中国船がフィリピン漁船に放水銃を使用し、海域から追い出そうとする事例が相次いでいる。

 両国は同礁周辺で巡視活動を行っている。1年前には、中国海軍艦艇がフィリピン沿岸警備隊の船を妨害していた際、中国海警局の船と衝突する事故も起きた。

 中国は最近、この衝突で自国の船員2人が死亡したことを明らかにした。

 衝突は7月20日にも起きた。別の係争地であるアユンギン礁(英語名セカンド・トーマス礁)で、中国側要員がフィリピン海軍の兵士の頭部を殴り、負傷させた。

 6月には、米シンクタンクの報告書が、アユンギン礁は地域の緊張の主要な焦点として再浮上していると指摘した。

 戦略国際問題研究所(CSIS)のアジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)がまとめた報告書は、「スカボロー礁周辺で空中や海上での接触がますます頻繁になっていることから、中国軍とフィリピン軍の偶発的なエスカレーションの可能性が必然的に高まっている。最終的には米国の条約上の義務が発動され、より広範な紛争へと発展する危険がある」と指摘した。

 報告書によると、中国は過去10カ月間に、2012年にフィリピンから奪取したスカボロー礁周辺で海上巡視を拡大している。

 資源の豊富な同礁については、ベトナム、台湾、マレーシア、ブルネイも領有権を主張している。

 中国問題専門家のゴードン・G・チャン氏は、中国が南シナ海全域を併合し、最終的には太平洋まで支配下に置こうとしていると指摘した。

 中国国営メディアは、中国がスカボロー礁に軍事基地を建設する可能性があると報じている。チャン氏は、その脅威は現実のものだとし、中国側要員が5月、一時的に浮体式プラットフォームを同礁に移したことを指摘した。

 「この礁は特に戦略的だ。マニラ湾とスービック湾の入り口を守る位置にある」とチャン氏は述べた。

 南シナ海は、米海軍が北東アジア、東南アジア、中東、オーストラリアの同盟国との間を往来するための重要な海上交通路となっている。

 退役海軍大佐のストゥー・スバーク氏によると、中国は2013年末から2016年末にかけて、ファイアリクロス礁、スビ礁、ミスチーフ礁など南沙諸島の7カ所で約3200エーカー(約1300ヘクタール)の新たな陸地を浚渫によって造成した。

 同氏によると、その後、これらの島々には新たなレーダーや通信設備、戦闘機用の滑走路や格納庫、地対空ミサイルや対艦巡航ミサイルシステムなどが配備され、軍事化された。

 中国は放水銃を使用し、船舶を衝突させ、場合によってはフィリピン側要員にレーザーを照射することもある。中国は、これらの妨害行動は米国がこの地域を不安定化させているからだと主張するが、スバーク氏はこの主張を否定した。

 「中国共産党は、自国よりもかなり小さな近隣国の漁民や沿岸警備隊に対する威圧を一方的にエスカレートさせている。しかも、中国は海上民兵を使っている。海上民兵を使えば、責任追及を避けることができる。軍事力を露骨に行使することなく領有権を主張する、いわゆるグレーゾーン活動だ」

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