
国立アレルギー感染症研究所の元所長、アンソニー・ファウチ博士が、2024年6月3日、ワシントンD.C.の連邦議会議事堂で行われた下院特別小委員会の新型コロナウイルス感染症に関する公聴会で証言した。(AP通信/マリアム・ズハイブ撮影)
By Susan Ferrechio – The Washington Times – Updated: 10:42 a.m. on Wednesday, July 29, 2026
トランプ米大統領の新型コロナウイルス対策顧問を務めたアンソニー・ファウチ氏がパンデミック(新型コロナ大流行)当時に記した膨大なメモが今週、ロバート・ケネディ厚生長官によって発見され、ランド・ポール上院議員(共和、ケンタッキー州)が公開した。
ケネディ氏によると、新型コロナに関連し、ほぼ毎日付けられたこの記録は計1000ページを超え、政府の11のサーバーに分散して保管され、「隔離され、隠されていた」という。 ファウチ氏の「日記」から明らかになった主な内容は次の通り。
■「研究所流出説」の可能性を認識しながら公には否定
ファウチ氏はテレビ出演などで、新型コロナが中国の武漢ウイルス研究所から流出したとの説を陰謀論として退け、ウイルスは動物から自然発生し、武漢の生鮮市場を介して人に広がった可能性が高いと主張していた。
しかし、パンデミック初期の日記には、研究所流出の可能性を認識し、感染源は市場ではないと考えていたことが記されている。
当時、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長だったファウチ氏は2020年2月1日、この新型ウイルスについて約12人の科学者と電話会議を行った。日記によると、参加者10人が「研究所で作られた」との見方を示した。
ファウチ氏は会議後、「意図的に組み込まれ、研究所から誤って、あるいは狂人によって意図的に放出された可能性が提起された。前者の方が可能性は高い。市場は発生源ではなく、感染拡大の場だったことが今では分かっている」と記している。
それにもかかわらず、ファウチ氏は2024年6月になっても、公の場では「データと科学者の見解は、起源は生鮮市場であり、武漢ウイルス研究所からの流出ではないことを支持している」と述べ続けた。
■学校閉鎖を促しながら関与を否定
ファウチ氏は長期にわたる学校閉鎖について、自らは決定に関与していないと繰り返し主張してきた。
しかし日記には、2020年3月15日にニューヨーク市のビル・デブラシオ市長とカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事に学校閉鎖を勧告し、両氏がこれを受け入れたと記されている。その結果、700万人以上の児童・生徒が1年以上教室を離れることとなり、全米各地で学校閉鎖が相次いだ。
一方、ファウチ氏は2022年10月、ABCニュースのインタビューで「学校閉鎖には何の関係もない」「学校は可能な限り開けておくべきだと一貫して言ってきた」と述べていた。
■ワクチン効果低下の公表を抑制
2022年8月13日付の日記には、米疾病対策センター(CDC)が公表予定だった「ワクチンは感染防止と感染拡大防止に全く効果がない」との文言を取り下げるよう働き掛けたことが記されている。
ファウチ氏はCDCに対し、「ワクチンは一定の効果があるものの、その効果は限定的で時間とともに低下する」と表現を改めるよう求めたという。
ワクチンの効果不足を強調すれば、バイデン政権のワクチン接種義務化政策や追加接種の推進に悪影響を及ぼすことを懸念していたと記している。
一方、米医師会の医学誌「JAMA」によると、新型コロナワクチンや追加接種は感染防止効果こそ限定的だったものの、重症化を抑え、入院率をほぼ半減させる効果が確認されている。
■自身の肺梗塞を公表せず
ファウチ氏は2021年6月、新型コロナワクチン接種から5カ月後に肺梗塞を発症したことを公表していなかった。
日記には、ジョンズ・ホプキンズ大の医師団からCT検査で肺梗塞と診断され、直ちに抗凝固薬「エリキュース」による治療を開始したことが記されている。
ケネディ氏はFOXニュースで、「肺梗塞は国立衛生研究所(NIH)、CDC、食品医薬品局(FDA)がワクチンの副作用として想定していた症状の一つだった。ファウチ氏は誰にも明かさず、米国最高の医師団から極秘に治療を受ける一方で、それは副作用ではないと国民に説明していた」と批判した。
肺梗塞は肺内の血栓によって生じる疾患で、政府データではmRNAワクチン接種後に報告された副作用の一つとされる。ただし、新型コロナ感染そのものによって発症する場合もある。
■国家危機の中で名声を満喫
全米が新型コロナ禍に揺れる中、ファウチ氏は自身の知名度の高まりにも強い関心を示していた。
2020年5月21日付の日記には、「ワシントン・ポスト紙の1面に私の記事が掲載された。非常に好意的だった」と記されている。この日、米国では5300人の新規感染者と73人の死亡が報告されていた。
さらに「国内外での私の知名度は爆発的で、自分でも信じられない」と記し、翌日には「報道機関は私一色だ」と続けている。
2021年2月には歌手バーブラ・ストライサンド氏からワクチンについて電話を受け、「アレクサで彼女の曲をよく聴いている」と伝えたところ、「彼女は大笑いして、とても喜んでいた」と記している。
その後も、「PBSのドキュメンタリー撮影班が来ている」と記録。CNNのジェイク・タッパー氏夫妻とは電話や自宅での会食を重ね、「友情を築くため」と日記に書き残した。
一方で、全米各地の感染急増の状況も日々記録し、2020年夏にはワシントン・ポスト紙の著名記者ボブ・ウッドワード氏と30分間の「詳細な背景説明」を複数回行い、トランプ政権の新型コロナ対応を扱う著書の取材に応じていた。
パンデミック対応の第一人者として絶大な影響力を持つ中、その立場を本人自身が大いに楽しんでいた様子がうかがえる。

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