
この記事の要点
- フィデリティが報告書公開、中央銀行の金買い増しとドル離れ進展を分析
- ドル代替決済はUSDTが先行、ビットコイン採用拡大はなお途上段階
ドル覇権の終わりとBTCの台頭、フィデリティ分析
資産運用大手フィデリティ傘下のフィデリティ・デジタル・アセッツは2026年5月28日、ビットコイン(BTC)や金を含むデジタル資産の主要トレンドをまとめた報告書を公開しました。
今回の報告書では、国家や中央銀行が米ドル中心の金融システムへの依存を減らすなか、代替的な準備資産や決済手段として金やビットコインへ関心を強めていると指摘しています。
報告書はその背景として、世界の中央銀行による金保有の拡大や、各国でドル以外の決済インフラ活用が進んでいる状況を挙げており、ドル基軸体制の変化が実際のデータにも表れ始めていると分析しました。
一方で、金需要の拡大に比べるとビットコインの制度的採用はなお限定的で、中央銀行によるドル資産離れの動きがビットコイン市場へ波及するかどうかが報告書の主要な論点となっています。
「なぜ持たない」機関投資家に問う定量分析
中央銀行の選択、ドルから金・ビットコインへのシフト
ドル一強に終止符、中央銀行が金へシフト
世界の中央銀行が金の準備を積み増し、その保有額が米ドル資産を上回ったことで、各国の準備資産において米ドルが占めてきた優位性に変化が生じつつあります。
フィデリティはこうした状況について、年初に示した「ドル基軸体制からの移行」というシナリオと整合すると分析しており、その兆候が各国の準備資産構成にも表れ始めていると説明しました。
一方で、金への資金流入が続くなかでもビットコインの制度的採用はなお限定的であり、中央銀行による資産構成の変化がビットコイン市場に反映されるまでには時間を要するとの見方も示されています。
イランが暗号資産で通行料徴収、ドル回避の実例
準備資産の見直しと並行して、国際決済の分野でも、一部の国でドル依存を避けた決済手段を模索する動きが表れ始めています。
暗号資産政策の研究機関Bitcoin Policy Institute(BPI)によると、イランの議会は2026年3月30日、「ホルムズ海峡管理計画」を成立させました。
この計画は、イスラム革命防衛隊(IRGC)が3月中旬から事実上運用してきた通行料徴収を制度化したもので、料金は1バレルあたり約1ドルに設定されています。
同計画では、大型タンカー1隻あたり最大200万ドル(約3億2,000万円)の通行料が発生し、支払い手段として人民元やドル連動型のステーブルコイン、ビットコインが選択肢に含まれました。
ただし同研究所のサム・ライマン調査部門長は、実際の決済の大半はステーブルコイン「USDT」が占めており、ビットコイン利用を裏づけるオンチェーン上の証拠は限定的だと指摘しています。
USDtを発行するTether(テザー)は2026年4月、米当局の要請を受けてイラン関連とされる2つのアドレスで3億4,400万ドル(約545億円)相当を凍結しました。
ライマン氏は、発行体による凍結や取り消しができないビットコインは金と同様に保有者が資産を直接管理できる特徴を持つとして、制裁下の国家が関心を寄せる背景を説明しています。
金需要が先行、ビットコインは波及待ち
こうしたドル離れをめぐる動きが広がるなか、金価格は中央銀行による継続的な買い需要を背景に高い水準で推移しています。
実際に2026年第1四半期も、各国の中央銀行は金の保有を一段と拡大しており、フィデリティはその裏づけとして各国中銀が金を積み増しているとのデータを引用しました。
一方で、金に続くと期待されたビットコインの制度的需要の拡大はなお限定的であり、フィデリティは金の採用が先行した後にビットコインへ資金が移るという段階的なシナリオを維持しています。
「BTCは5年で75万ドルに」ウッド氏予測
「ドル外し」の現実、USDTが決済を支配
今回の報告書は、中央銀行による金購入の拡大やドル以外の決済手段の利用事例を取り上げ、ドル基軸体制に生じつつある変化を分析した内容となりました。
一方で、ホルムズ海峡の通行料徴収の事例ではビットコインよりもステーブルコインの利用が先行しており、ドル離れの文脈で語られる決済手段も現時点ではUSDTが中心となっています。
現時点では、ドル離れをめぐる決済手段としてステーブルコインの利用が先行しており、フィデリティも金の採用拡大が先行した後にビットコインへ資金が移るという段階的なシナリオを維持しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.29 円)
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Source:Fidelity Digital Assets報告書
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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