地球上で最も厳しく監視されている人物の1人であるドナルド・トランプ大統領の陰に立ちながらも、ナタリー・ハープ氏はこれまで、世間の鋭い視線をうまく回避してきた。
しかし、それもここまでのようだ。
トランプ氏に対する並々ならぬ忠誠心を持つ、35歳のエグゼクティブ・アシスタントへの注目が、今急激に高まっている。
8月16日に民主党のジョン・オソフ上院議員がトランプ氏を批判する演説でハープ氏の名前に言及した後、Google検索数は5000%急増した。
オソフ氏は演説で、トランプ氏がゴルフに没頭し、イラン情勢を混迷させ、会議中に居眠りしているように見えることを挙げ、「大統領の仕事をする気がない」と批判。そして「彼は自身のボールルームを建て、カタール首長から贈られた防御機能もない『空飛ぶ宮殿』でナタリーと共に移動することを望んでいるだけだ」と語った。
その直前には、トランプ氏がトルコから出国する際、イランに脅威を受け、本来の大統領専用機(エアフォースワン)に閣僚やホワイトハウス記者団を取り残し、密かに別の飛行機で退避していたことが報じられた。
その際にトランプ氏との同行を許されたのは、ハープ氏を含むわずか3人の側近のみだった。
一体、ナタリー・ハープとは何者なのかーー。
ナタリー・ハープとは
要約すると、ハープ氏はカリフォルニアで生まれ、ホームスクール(在宅教育)で育ち、FoxニュースやOne America News Network(OAN)など右派系テレビ番組の元司会者であり、トランプ氏を心から信奉する30代半ばの女性だ。
政治コラムニスト、マイケル・ウォルフ氏の2025年の著書『全てか無か:トランプ復帰の内幕』によると、ハープ氏は2つの敬虔なキリスト教系大学で学位を取得している。2012年にカリフォルニア州のポイント・ロマ・ナザレン大学を卒業し、2015年にはヴァージニア州のリバティ大学で経営学修士(MBA)を取得した。
2019年、ハープ氏はFoxニュースで、骨髄腫に対する未承認薬の投与を可能にした「Right to Try Act(試用の権利)」を支援したとしてトランプ氏を称賛。ハープ氏はこの法律のおかげでガンに対する実験的治療を試すことができたと主張している。
同書によると、ハープ氏はOANで自身の名を冠した番組の司会者を数年間務めた後、2022年にトランプ陣営に加わった。
陣営内での評判
ハープ氏はホワイトハウスで、トランプ氏のSNSアカウント管理や、彼が喜ぶような肯定的な記事をプリントして届けており、彼女が持ち歩くポータブルプリンターから、陣営内では「人間プリンター」との異名も持つ。
ウォルフ氏は著書『全てか無か』の中で、ハープ氏がもたらす安全保障上のリスクから、最終的に彼女は「大統領にとっても自身にとっても潜在的な危険人物」とみなされていたと記している。
しかし、トランプ氏が常にスタッフの忠誠心を最優先にしてきたため、誰一人としてハープ氏にその気まずい事実を告げる役割を引き受けようとはしなかったようだ。
New York Times紙の2024年の報道によると、ハープ氏がボスであるトランプ氏に宛てた手紙には「私にとって重要なのはあなただけです」「あなたに喜びをもたらしたい」などと書かれており、中にはトランプ氏こそ「この人生における私の守護者であり保護者」であると感謝を述べているものもあったという。
ウォルフ氏によると、それらの手紙はトランプ氏の他のスタッフたちの間で「戸惑い」と「疑念」をもって回覧されていたという。ハープ氏は、分厚く印刷された書類の山としてトランプ氏に絶え間なく吉報を供給する中で、それらの手紙をただ資料の束の中に滑り込ませていたようだ。
トランプ氏の最も熱心な補佐官であるハープ氏を、良く知るための5つの事実を紹介する。
1. 「心を込めて、ナタリーより」
New York Times紙が確認したトランプ氏宛ての手紙の中で、ハープ氏はスコットランドでゴルフコースを一緒に歩いた際、トランプ氏に恥をかかせたかもしれないと謝罪している。
「私たちの関係が常に良好であることを望んでいます」「今週はずっと気が散っていました(連日食事をとるのを忘れ、睡眠をとるのも忘れて、一度に数時間しか眠れませんでした)」などと書かれているという。
そして手紙は「心を込めて、ナタリーより(With each my heart, Natalie.)」と結ばれていた。
2. 過去にも大統領に手紙を書いたことがある
兄のプレストン・ハープ氏によると、彼女の大統領への執着はトランプ氏に始まったものではないという。
プレストン氏はCNNに対し、ジョージ・W・ブッシュ元大統領に触れながら、「彼女は16歳くらいから、その...どう言えばいいのか...他の大統領にも手紙を書いていたんです」と語り、「だから、彼女の夢がようやく叶ったというわけです」と付け加えた。
また、プレストン氏は妹に目を覚まして欲しいと願っているといい、「考えを改め、地球上の誰もが人類という1つの家族であり、どの国も他の国より優れているわけではないと気づいてほしい」と述べた。
38歳のプレストン氏はさらに、妹とトランプ氏との関係について「きわめて不健全」「彼女はまさにトランプ氏のファンクラブのようなもの」とDaily Mail紙の取材で語っており、トランプ氏と同じく不動産業を営んでいた父ロバート・ハープ氏が2020年に他界して以来、妹や母のジル・ハープ氏とは疎遠になっているという。
3. トランプ氏の近くにいるための大胆な行動
CNNによると、2023年10月、トランプ氏がニューヨーク市の裁判所に向かうためトランプタワーを出発する際、ハープ氏の席が車列内にないことが判明し、「大声での口論」に発展した。そこでハープ氏は、トランプ氏の近くにとどまるためにSUVのトランクに飛び乗ったと報じられている。
また、ウォルフ氏によると、2023年、ニュージャージー州ベッドミンスターにあるトランプ氏のゴルフクラブで夏を過ごした際には、側近たちが宿泊先を用意しないことでハープ氏を排除しようとしたが、彼女は女子ロッカー室に寝泊まりすることでそれに対抗したという。
4. メラニア夫人とプライベートエリアで鉢合わせ
Axiosのアレックス・アイゼンシュタット記者の著書『REVENGE: The Inside Story of Trump’s Return to Power(復讐:トランプ権力奪還の内幕)』によると、ファーストレディのメラニア・トランプ氏が、マール・ア・ラーゴにある大統領のプライベートエリアでハープ氏と出くわしたことがあるという。
Daily Mail紙によると、アイゼンシュタット記者は著書で、以下のように記しているという。
「ハープは境界線を保つのが得意ではなかった」「夜遅く、トランプ氏のマール・ア・ラーゴ(フロリダの別荘)のプライベートエリア(通常はトランプの家族以外は立ち入り禁止の場所)で、驚いたメラニア・トランプ氏がハープ氏と鉢合わせたことがあった」「ハープはトランプ氏に書類を届けるためにそこにいて、朝まで待つのが嫌だったのだ」
New York Times紙によると、トランプ氏の他の側近たちは、ハープ氏がいることで大統領が「未検証の情報(中には有害で逆効果なものもある)を受け取っている」と語っている。
5. トランプ氏のSNS投稿を入力する映像が存在する
ハープ氏は、トランプ氏が「Truth Social」への投稿に使用するスマートフォンを、別の側近であるダン・スカヴィノ氏の支援を受けながら管理しているとされる。
かつてバラク・オバマ元大統領夫妻を猿になぞらえた差別的な動画がトランプ氏のアカウントにリポストされ削除される事態となったが、この投稿を行ったのも彼女だとみられている。
トランプ氏の2回目の勝利を描いた2024年のドキュメンタリー『Art of the Surge』の動画には、終始静かなハープ氏が、2024年民主党全国大会を視聴しながらトランプ氏の発言をそのまま打ち込み、彼のSNS「Truth Social」アカウントに投稿する様子が収められている。

6 日前
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