
この記事の要点
- ウォーシュFRB議長が初講演でインフレ警戒を表明
- 追加利上げへの警戒が強まり、BTCは一時7.7万ドルに反落
FRB議長「物価安定優先」BTC上値重く反落
FRB(米連邦準備制度理事会)のケビン・ウォーシュ議長は2026年8月28日、ジャクソンホール経済政策シンポジウムで就任後初となる基調講演を行い、インフレの鈍化はなお不十分だとの認識を示しました。
市場ではこの夏のインフレ指標の改善を受けて金融政策が緩和方向へ傾くとの期待も出ていたものの、ウォーシュ議長が物価安定を優先する姿勢を鮮明にしたことで、9月会合での利上げ確率が前日の約35%から約60%へ急上昇しました。
こうした政策見通しの変化を受け、8万ドル(約1,280万円)の大台をうかがっていたビットコイン(BTC)は上値を切り下げ、講演後には一時7万7,000ドル(約1,230万円)付近まで反落しています。
金利が高止まりするとの警戒も強まるなか、リスク資産への資金流入が鈍り、仮想通貨(暗号資産)市場でも売りが優勢となっています。
CZ氏「ビットコインは金を上回る」
ウォーシュ講演の核心とビットコイン市場への波及
「インフレ鈍化は不十分」と指摘
ウォーシュ議長は講演で「FRBが重視するPCE(個人消費支出)物価指数が前年比3.7%、直近6カ月ベースでも4.1%と、2%の物価目標を上回る水準で推移している」と説明しました。
あわせて同議長は、PCEを構成する199品目のうち54%が過去1年間で3%を超えて上昇し、その比率がパンデミック前20年間の平均である32%を大幅に上回っていると指摘しています。
こうしたデータを踏まえ、この夏のインフレ指標が予想を下回ったことを認めつつも、基調的な物価動向に意味のある改善がみられたと判断するには不十分だとの認識を示しました。
そのうえで同議長は「インフレが目標へ明確かつ十分な速度で向かっていると確信できなければ、やるべき仕事は残っている」と述べ、物価安定を重視する姿勢を鮮明にしています。
さらに、現在の金融環境を広範に引き締め的と評価することは難しいとも語り、経済や金融市場に政策による強い抑制がかかっているとの見方には距離を置きました。
ドル高・金利高でBTCに逆風強まる
講演前のビットコイン価格は、8月中旬にかけて6万ドル台前半から8万ドル近辺まで急回復し、米財務省による長期債の買い戻し拡大などが相場を押し上げていました。
しかし、節目となる8万ドルを突破できないなかで利上げへの警戒が強まり、それまで相場を支えていた買いの勢いは急速に弱まりました。
講演後にはドルが約1週間ぶりの高値圏で底堅く推移したほか、米国債利回りも下がりにくい地合いとなり、ビットコインなどのリスク資産にとって逆風となりました。
7月FOMCで反対票3、引き締め圧力なお残る
追加利上げを求める意見はFRB内部からも出ており、7月のFOMC(連邦公開市場委員会)では政策金利の誘導目標を3.50〜3.75%に据え置くことを、賛成9・反対3で決定しています。
反対した3人はいずれも0.25%の利上げを求めており、FRB内部にはインフレ抑制に向けて追加の金融引き締めが必要だとする意見も残っています。
市場で9月の利上げが意識されるなか、実際に実施されれば政策金利は3.75〜4.00%へと引き上げられることになります。
政策金利が引き上げられれば米国債などの利回りが一段と上昇し、ビットコインへの資金流入が鈍るだけでなく、レバレッジ取引の巻き戻しによって値動きが大きくなる可能性もあります。
一方、ウォーシュ議長は将来の政策方針を事前に示すフォワードガイダンスについて、平時には限定的にすべきだとしており、将来の金利判断をあらかじめ明確化することには慎重な姿勢をとっています。
米財務省が国債買い戻し倍増へ
9月FOMC前に雇用・物価指標が控える
ウォーシュ議長がインフレへの警戒を崩さなかったことで、市場の関心は9月FOMCでの政策判断に集まっています。
次回会合までには雇用統計やCPI(消費者物価指数)、PCEなどの公表が控えており、インフレの鈍化が十分に進んでいるかが問われることになります。
インフレの根強さを示す結果となれば、金利の高止まりや追加利上げへの警戒が強まり、ビットコインの上値を抑える可能性があります。
ビットコインは当面、こうした指標とFRBの政策姿勢を意識した不安定な値動きが続く見通しです。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=160.08 円)
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Source:FRBウォーシュ議長講演
サムネイル:AIによる生成画像

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