サメは海の「地獄耳」だったと判明

5 時間前 1

浮き袋のないサメは「遠くの音」を聞けないはずだった

浮き袋のないサメは「遠くの音」を聞けないはずだった浮き袋のないサメは「遠くの音」を聞けないはずだった / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

水の中では、音は獲物を探したり、敵から逃げたり、繁殖の相手を見つけたりするための大切な手がかりです。

ただしサメは、多くの魚が音を聞くのに使う、気体の入った「浮き袋」を持っていません。

浮き袋は、水の圧力の変化を振動に変えて、音をとらえる手助けをしています。

また音は、音源のすぐ近く(近距離場)では水の粒を大きく揺らしますが、離れた場所(遠距離場)では主に圧力として伝わり、水の粒の揺れはかすかになります。

そのためサメは、近距離場の音には反応できても、その外から届く音は感じ取れないと考えられてきました。

さらに水槽の実験では、音が壁に跳ね返り、研究者が「鏡の家」にたとえるような、ややこしい信号になってしまう問題もありました。

そこで研究チームは、米フロリダ州南東部の沖で、野生のカマストガリザメ(英名ブラックチップシャーク)を観察しました。

このサメは毎冬、浅くて澄んだ海に大きな群れをつくるため、上空から自然な姿を見るのにうってつけなのです。

チームは水深2〜5mの場所に船を止め、そこから13〜19mほど離れた海面下1mに水中スピーカーをつり下げました。

流したのは、不規則に途切れる3種類の音で、高さはそれぞれ100〜200ヘルツ、200〜400ヘルツ、400〜800ヘルツ(ヘルツは音の高さの単位で、数が小さいほど低い音)です。

比べるために、サメには聞こえないとされる1万ヘルツの高い音も、同じ音量で流しています。

音の大きさは水中マイクで測り、離れるにつれてどれだけ弱まるかも現地で調べました。

そして上空40〜50mのドローンから、サメの動きを撮影したのです。

果たしてサメは、どれほど離れた場所から音に気づいたのでしょうか。

サメが音に気づいた「距離」は?

サメが音に気づいた「距離」は?サメが音に気づいた「距離」は? / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

結果は、それまでの見方とは違うものでした。

サメは3種類すべての音に対して、少なくとも62m離れた場所から反応していたのです。

最も遠かったのは、1匹のサメが74m先で見せた反応でした。

音に気づいたサメは、急に20〜160度向きを変えてスピーカーから離れ、素早く泳ぎ去りました。

どの反応も音源から離れる向きだったことから、サメは音がどこから来るのかも分かっていたと考えられます。

しかも全209回の反応のうち約7割(71.6%)は、近距離場の外である遠距離場で起きていました。

3種類の音にサメが反応した割合は、音によって約71〜87%でした。

一方、同じくらいの音量で流した1万ヘルツの音には、一度も反応しませんでした。

チームは、測った音の弱まり方をもとに、サメが反応した地点に届いていた音の強さも1回ずつ計算しました。

すると、高い音ほど、サメを反応させるにはより大きな音が必要だと分かりました。

これは、サメが低い音に最も敏感だとした以前の研究を裏づける結果です。

浮き袋を持たないサメが遠距離場の音に気づけたことから、研究者たちは、サメが遠くでもかすかな水の粒の揺れを感じ取っているのではないかと考えています。

動物学者のスティーブン・カジウラ氏は、こうした検出は、これまで自由に泳ぐサメでは示せなかったことだと述べています。

ただし、サメの感覚の仕組みがどうやって遠くの音を拾い、読み解いているのかは、まだ分かっていません。

カジウラ氏も、それが次に解くべき問いだと語っています。

「海は音の世界であり、サメは私たちがようやく理解し始めた形で、その音にしっかり耳を傾けている」と同氏は話します。

静かに見える海の中も、サメにとっては数十m先の物音が届く、にぎやかな場所なのかもしれません。

次に海で鼻歌を歌うときは、観客がいないとは限らないことを思い出してください。

記事全体を読む