クチバシを失ったオウム、群れで全勝の”絶対王者”となる

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クチバシのないオウムが群れで最強になる

動物社会では一般に、体が大きい個体や、角や牙、クチバシのような武器が強い個体ほど争いに勝ちやすく、群れの中で高い順位を得ると考えられています。

こうした考え方は従来の研究で広く知られており、身体的な不利を持つ個体は、どうしても競争で押し負けやすいとみなされがちです。

ところが今回注目されたオウム「ブルース」は、その常識から大きく外れていました。

ブルースは絶滅危惧種のミヤマオウム(Nestor notabilisです。

そして上クチバシを完全に失っており、群れの中で唯一の重い障害を持つ個体でした。

画像上のクチバシを失ったブルース / Credit:Alexander A. Grabham(University of Canterbury)et al., Current Biology(2026)

本来なら、餌を扱うときも、争うときも、不利になりやすいと考えられる存在です。

それでも過去の研究では、道具を使って自分の不便さを補う行動が報告されており、研究者たちから注目を集めていました。

失ったクチバシを「道具」で補うオウム、世界初の事例

では、そのブルースは群れの中でどんな関係を築くのでしょうか。

今回、研究チームは、飼育下にいるケア12羽、オス9羽とメス3羽を4週間にわたって観察しました。

記録された対立行動は合計227回にのぼり、そのうちオス同士の争いは162回でした。

誰が誰に勝ったのかを細かく記録し、オスたちの社会順位を分析したのです。

その結果は驚くべきものでした。

ブルースは観察されたオス同士の争い36回ですべてに勝利し、オスの中で最上位、つまりアルファオスと位置づけられました。

重い障害を抱えながら、健康なオスたちを相手に無敗だったことになります。

さらに研究者たちは、フンを分析してストレスに関係するホルモンの代謝物も調べました。

すると、順位の低いオスほどストレスの値が高く、反対に最上位のブルースは最も低い値を示していました。

群れの頂点にいる個体は周囲から挑まれ続けて負担が大きいのでは、と想像したくなりますが、この群れではむしろ逆の傾向が見られたのです。

では、ブルースはどのようにして今の地位を得たのでしょうか。

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