
2026年7月22日(水)、コンゴ共和国イトゥリ州ブニア総合病院のエボラ治療センターで、医療従事者が救急車を消毒している。(AP通信/ディロール・ロツィマ・ディウドネ撮影)
By Joseph Hammond – Special to The Washington Times – Tuesday, August 4, 2026
【ロンドン】アフリカ中部、コンゴ民主共和国(旧ザイール)の首都キンシャサの空港に1日、中国の医療専門家チームが到着し、保健当局者が歓迎した。
人口約1億1600万人のコンゴでは、エボラ出血熱が過去最悪のペースで拡大し、当局は対応に苦慮している。5月15日以降、3400人超の感染者と1600人超の死者が報告されている。
トランプ政権下で米国がアフリカ支援を縮小する中、中国はその隙を突き、この大陸での影響力拡大に力を入れている。先週末に到着した医療チームは、中国が派遣した3組目となる。
感染拡大は主に東部イトゥリ州の遠隔地に集中しており、全体の約9割を占める。一方で、主要都市の1つキサンガニを含む5州でも感染が確認されている。
エボラ出血熱はまれな感染症だが、血液や嘔吐物、精液などの体液を通じて感染しやすく、重症化しやすい上、致死率も高い。
これまでに少なくとも44人の医療従事者が感染して死亡した。給与未払いへの抗議から職場を離れた医療従事者も多い。5月中旬に流行が宣言されて以降、医療施設や医療チームへの襲撃も少なくとも12件発生している。
逼迫した医療現場にとって、中国の医療チームはまさに「救援部隊」のような存在となっている。
一方、中国にとってエボラ危機は、アフリカ中部で米国との影響力争いを有利に進める好機でもある。
トランプ大統領がコンゴとの和平や戦略鉱物へのアクセス確保を進める一方で、中国は医療支援や外交を通じて存在感を示している。
中国は7月17日、アフリカ疾病対策センター(CDC)が主導するアフリカ連合(AU)エボラ対策に対し、新たに250万ドルの支援を表明した。
また、中国政府によると、約1000人の中国人医療関係者がアフリカ各国で感染拡大防止に当たっている。
こうした派遣は、トランプ政権による対外援助削減で支援の空白が生じる中で行われた。米政権は同時に、この地域で長年続く紛争の終結にも取り組んでいる。
コンゴのアナリストで人権活動家のパッシー・ムバラマ氏は「米国の援助はコンゴにおける人道支援の主要な柱の一つだった。今回の流行は、国際支援なしではエボラ封じ込めがいかに困難かを示している。その結果、中国がその空白を埋めようとしている」と語った。
米国のエボラ対策で最も目立つのは、ケニア中部に設置した隔離施設で、コンゴから戻ってきたばかりの米国人援助関係者7人を受け入れている。この施設は建設時に住民の抗議を招き、裁判所が建設停止を命じるなど論議を呼んだ。
トランプ政権はまた、米疾病対策センター(CDC)、国務省、戦争省(国防総省)で構成するエボラ対策タスクフォースを設置した。さらに、感染国を最近訪れた人々に対する渡航制限も導入している。
トランプ氏は「エボラ感染者を米国に入れることは断じて許さない」と述べた。今回の感染拡大は、米国が後押しするコンゴ東部の和平仲介にも影響を及ぼしている。
欧州でも感染が確認されたが、フランス帰国後に感染が判明した人道支援団体の医師は、その後回復した。
隣国ウガンダでは、最後の患者が7月16日に退院し、流行終息宣言に必要な42日間の観察期間に入っている。
中国は、新興国グループ「BRICS」がエボラ対策で主導的役割を果たすべきだと主張している。国際的な影響力を強め、米ドルへの依存を下げることを目指すBRICSには、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、インドネシアが加盟している。
米シンクタンク、ハドソン研究所の上級研究員ケン・モリヤス氏はワシントン・タイムズの取材に対し、「新型コロナウイルス禍では、中国は戦略的利益の大きい国々への支援を積極的に展開した。今回のエボラ対応が比較的抑制的なのは、中国の対外関与がより選択的になり、費用対効果を重視するようになったことを示している」と指摘した。
中国の対外政策では、人道支援が重要鉱物へのアクセス確保や、サプライチェーン支配といった長期的な戦略目標と結び付けられることが少なくない。
2022年のBRICS首脳会議でも、感染症の予防や対応における協力強化が打ち出された。
今回のエボラ危機は、中国にとって新型コロナ禍で得た経験を生かす好機となっている。
モリヤス氏は「ギニアでは、中国は新型コロナワクチンを供与する一方、世界最大級で未開発の高品位鉄鉱石鉱床シマンドゥへのアクセス確保を目指した。この事業は、中国がオーストラリア産鉄鉱石への依存を減らす好機となった。その後、中国企業はシマンドゥ開発に必要な鉄道や港湾整備にも資金を提供した」と説明した。
中国は既にコンゴの鉱業分野の大部分を支配しているが、米国は中国の優位性を崩そうとしている。米国は関与を強化することで、自国企業による銅やコバルトなど戦略鉱物への参入機会を広げたい考えだ。
トランプ第2次政権は、コンゴをアフリカ外交の重要課題に位置付けている。
具体的には、コンゴとルワンダの関係改善を仲介するとともに、ルワンダが支援する反政府武装組織「M23」との個別交渉も支援している。M23はコンゴ東部の広範な地域を支配している。
コンゴでは1997年にモブツ政権が崩壊して以降、武装勢力による戦闘が続いてきた。戦闘やその余波による死者は推計570万人に上り、その多くは疾病や飢餓によるものとされている。

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