イルカのメスは強引な交尾をする「ヤバいオス」を避けるために、犯人の声を聞き分ける

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オスの強制交尾にメスはなすがままなのか?

オスの強制交尾にメスはなすがままなのか?オスの強制交尾にメスはなすがままなのか? / Credit:Canva

これまでの研究でイルカたちは、それぞれが自分専用のオリジナルメロディを持っていることが知られています。

専門的にはこれを「シグネチャーホイッスル(個体識別の鳴き声)」と呼びます。

このメロディの面白いところは、子供のころに自分で作るという点です。

生まれて間もないころに、自分だけのフレーズを試行錯誤しながら組み立て、いったん完成すると、そのメロディは生涯ほとんど変わりません。

一頭ごとに違うので、聞いている仲間からすれば、まさに「名前」として機能するわけです。

仲間のイルカたちは、その鳴き声を聞き分けて、「ああ、あの個体だな」と認識します。

さらに、他のイルカのメロディを真似ることで、その個体を「呼ぶ」こともできることがわかっています。

声で名乗り、声で呼び合う社会。

それがイルカの世界です。

しかも、このシャーク湾の個体群では、この鳴き声は条件のよい場所で最大2.2キロメートル先まで届くといいます。

広い海の中で、姿が見えなくても、声だけで「誰がそこにいるか」が伝わってしまうのです。

またこの「声で互いを認識し合う社会」においてオスたちは「同盟」を組んでいることが知られています。

目的はメスに対する交尾行動です。

繁殖期になると、オスたちは仲間と協力して、特定のメスを取り囲み、自分たちのそばに留めようとします。

この行動はときに数時間、ときに数週間も続くことがあります。

日本語にすれば「強引な囲い込み」とでも言うのが近いかもしれません。

そして、この囲い込みは、しばしば暴力をともないます。

メスが逃げようとすると、オスたちは噛みついたり、体を打ちつけたり、追いかけ回したりします。

さらに「ポップ」と呼ばれる威嚇音を出して、メスに「離れるな」と圧力をかけることもあります。

メスにとっては、怪我の危険があるだけでなく、餌を探す貴重な時間まで奪われてしまうわけです。

これが、シャーク湾の海の中で繰り広げられている現実でした。

そして研究者たちは、長年この光景を見ながら、ある問いを抱えていたのです。

——メスのほうは、何らかの対策をとっているのではないのか?

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