(CNN) 1人で働く時間が長すぎると、メンタルヘルスに悪影響を及ぼしかねないことが新たな研究で示唆されている。企業は相次いで職場回帰を義務付けているが、重要なのは働く場所にかかわらず、1日の中に有意義な社会的交流を取り入れることだと専門家は指摘する。
4月以降、マシュー・ジューレンさんは米オレゴン州ポートランド近郊の自宅から、週最大75時間リモートで働いている。その時間の大半はひとりだ。
「これほどひとりで過ごすことはこれまでになく、今までとは違う」とジューレンさんは話す。「外向的な人間にとっては、つらいときもある」
一人暮らしで、リモートでできる仕事に就いている人は、対面で行う必要のある仕事に就いている人より、精神的な苦痛や社会的孤立を感じていることが、科学誌「サイエンス」に最近掲載された研究で分かった。
研究チームは10年分以上の全米調査データを分析し、マーケティングなどリモートでできる仕事の人と、外科手術など対面での勤務が必要な人の回答を比較。ただし具体的に何人がリモートワークをしていたかは測定していない。
一人暮らしでリモートワークが可能な仕事の人は、全体の25%に相当する日を社会的な接触なしに過ごしており、その割合はリモートワークができない仕事の人の2倍超だった。
一部の企業が従業員に週最大5日の出社を求めるようになっていることを考えると、出社回数を増やすのもそれほど悪いことではないように思えるかもしれない。しかし、フルリモートワークが孤独感のリスク要因になり得る一方、対面勤務のほうが必ずしもいいというわけでもないと、組織心理学者のコンスタンス・ヌーナン・ハドリー氏は話す。同氏はこの研究に関与していない。
ハドリー氏は、職場回帰の動きは、オフィスに行けば有意義で社会的に満たされる環境があるという前提に立っていると指摘する。しかし孤独感や孤立感への対処はまず、オフィスであれ別の場所であれ、自分が大切にされ、理解されていると感じられる環境で過ごす時間を増やすことから始まる。
在宅勤務の長所と短所
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から数年がたった今も、米国ではリモートワークが人気だ。米調査会社ギャラップによると、昨年11月の時点で、リモートワークが可能な米国の従業員の61%がハイブリッド勤務を希望し、33%がフルリモートワーク、6%が出社勤務を希望した。
今回の研究では、リモートワークが可能な仕事の人の精神的苦痛の水準が高いことが分かったが、別の専門家らはリモートワークそのものがメンタルヘルスを悪化させると考えることに慎重な見方を示す。7月に学術誌「フロンティアズ・イン・サイコロジー」に掲載された研究では、フルリモート、ハイブリッド、出社勤務の医療従事者約7700人を調査したところ、リモートワーカーが最も高い満足感を報告した。
今回の研究によると、パンデミック以降の精神的苦痛の水準の変化は、リモートワークが可能な仕事に就く一人暮らしの人では、同居人がいる人よりも2倍大きかった。これら人々は他人と接触しない日が続いても、勤務時間外に人付き合いを増やして埋め合わせることはなかった。
こうした行動は、孤独感や、人付き合いの習慣のなさから生じることがあり、結果としてその後の交流も避けやすくなるとハドリー氏は指摘する。孤独な人は社会的に拒絶されることに傷つきやすくなり、防御反応としてその後の交流を避けることがあるという。

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