あのトランプまで出席したG7首脳会議をドタキャン。高市早苗が議長国フランスを激怒させた“嘘っぽい”欠席理由

1 日前 1

km20261028

G7オンライン首脳会議の欠席を巡り、有権者の納得が得られる理由を提示できない状態が続いている高市首相。外務省の国会答弁や過去の首相自身のSNSへの投稿などから、その説明の「食い違い」が浮かび上がる事態ともなっています。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、高市首相の欠席理由をめぐる一連の発言を検証。その上で、首相の言動が日本の外交や経済的利益に及ぼしかねない影響について持論を展開しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:嘘で国益を損なう高市外交

思い出さずにはいられない「早苗のための奈良鹿」騒動

…というわけで、ちょっと表現が酷くなって来たので、いったん深呼吸してから続けますが、G7のオンライン会議が行なわれていた時、高市首相は何をしていたのかと言うと、ご本人いわく「会議中は所信表明演説を書いていた」とのこと。でもこれって「どうしても会議に出られない物理的な理由があり、仕方なく欠席した」という大前提があって、初めて成立する説明ですよね?もしも会議に出られる状態だったのに、自分が「出たくない」から欠席して「所信表明演説を書いていた」のだとしたら、とんでもない話ですよね?

で、ここまでずっと言わずに来たことを言っちゃいますが、あたしはこの「嘘に嘘を塗り重ねて行く」という高市首相のお家芸を見て『風の谷のナウシカ』ならぬ『早苗のための奈良鹿』を思い出してしまいました。まだ首相になる前、昨年10月4日投開票だった自民党総裁選に出馬した高市氏が、9月22日の告示日の所見発表演説で述べた「外国人観光客が奈良の鹿を暴行している」というデマについてです。

まず高市氏は『万葉集』に収められている大伴家持の「高円(たかまど)の秋野の上の朝霧に妻呼ぶ雄鹿(おじか)出で立つらむか」という有名な和歌を歌い「1,300年も前から奈良にはもう鹿がいて、それも夫婦仲むつまじい鹿がいて、それが歌になっていたのです」というトンチンカンな説明をしました。そして、次のように続けたのです。

「そんな奈良の鹿をですよ、足で蹴り上げる、とんでもない人がいます。殴って怖がらせる人がいます。外国から観光に来て、日本人が大切にしているもの、わざと痛めつけようとする人がいるんだとすれば、皆さん、何かが行き過ぎている、そう思われませんか?」

そして、次のように続けました。

「SNSでも目にしますよね。神社の鳥居を鉄棒かなんかのようにですね、見立てて、ぶら下がって、そして遊ぶ観光客。神社をなんと思うとるんでしょうか?古い古いものが、大切に大切にされているところ、そういう日本人の気持ちを踏みにじって喜ぶ人が外国から来るようなら、何かをしないといけません」

ようするに反中や嫌韓のネトウヨに対する稚拙な愛国者アピールですが、古典マニアとしては、まずは大伴家持の歌のデタラメ解釈からツッコミを入れて行きます。高市氏は『万葉集』どころか『小倉百人一首』の歌すら読んだことがないのだと思いますが、家持の歌は「夫婦仲むつまじい鹿」など詠んでいません。たぶん高市首相は「妻」という言葉から「夫婦の鹿」だと思い込み、夫の鹿が妻の鹿を呼んでいるのだと勘違いしたのでしょう。でも、まだ古文を習っていない小学生じゃあるまいし、言っちゃ悪いけど無知にもホドがあります。

多くの動物は春が発情期ですが、鹿は秋が発情期です。奈良の春日大社では秋になるとオスの鹿の角をノコギリで切り落とす「鹿の角切り」が行なわれますが、あれは発情したオス同士がメスを奪い合ってケンカをするので、ケガを防ぐためにやっているのです。

9月に入ると、山のあちこちから「ピーー」とか「フィーー」というオスの鹿のかん高い鳴き声が聞こえ始めます。発情期を迎えたオスが、周辺のメスに自分をアピールしているのです。そして10月に入ると、さらに多くのオスが鳴き始めます。近くで聞くとやかましいですが、山から聞こえて来る声は、どこかもの悲しく、これを万葉の歌人たちは「秋の寂しさ」ととらえました。

家持の歌は「高円山の秋の野を流れる朝霧の中に、妻となる雌鹿を求めて寂しく鳴く雄鹿が出て来ている頃だろう」という意味で、妻となるメスを見つけたオスは鳴きません。

メスを見つけてカップルが成立すると、オスは交尾をするだけで、出産も子育てもメスのワンオペです。その頃、そのオスは、他のメスを探しています。ケンカの強いオスは他のオスたちを追い払い、自分の縄張りを広げ、何頭ものメスを引き連れてハーレム状態で冬を迎えます。現実的にも「夫婦仲むつまじい鹿」など存在しないのです。

この記事の著者・きっこさんのメルマガ

初月無料で読む

「自分で自分の首を絞め最後には開き直る」という持ち芸

さて、「安倍首相の国葬に反対するSNS上の書き込みの8割は隣りの大陸からのもの」など、以前から大嫌いな中国を貶めるためには息を吐くように嘘を垂れ流して来た高市氏ですが、この総裁選時の「奈良の鹿を蹴る外国人観光客」という発言も、県の担当者に問い合わせると「そのような報告は1件もないし、目撃情報もない」とのこと。そこで高市氏本人に発言の根拠を聞くと「自分なりに確認した」と繰り返すのみで、どのように確認したかについては明確に答えず、質問をはぐらかしたのです。

こうした報道が続き、SNS上でも高市氏の発言の信ぴょう性を疑う声が多くなると、高市氏は突然「自分が見た」と言い出したのです。自分が見たのなら最初からそう言えばいいのに、最初は人から聞いた話、SNS上で見た投稿のように言っていて、その根拠は答えない。そして説明に窮すると「自分が見た」、もはや子どもの開き直りです。

後先のことなど考えずに嘘をつき、根拠が示せなかったり辻褄が合わなくなると別の嘘を塗り重ね、自分で自分の首を絞めて行き、最後には開き直り。こんな人物が国会議員であるだけでも大問題なのに、日本の首相だと言うのですから絶望的です。今回、高市首相が嘘をついてG7の会議を欠席したことで、議長国のフランスとドイツは、EUによるEVとハイブリッド車への優遇策から、日本車メーカーを除外する案で合意してしまったのです。

これはEU内での自動車販売で、EVやハイブリッド車への補助金や税優遇を受ける条件の取り決めですが、除外されてしまったらハイブリッド車に力を入れて来た日本車メーカーは大打撃を受けてしまいます。就任早々、中国にケンカを売って今もなお国益を損ねつつある支持率女王が、今度はEUまで敵に回してしまったのです。一体、これのどこが「世界の真ん中で咲き誇る高市外交」だと言うのでしょうか?あたしには「嘘で国益を損なう高市外交」にしか見えません。

(『きっこのメルマガ』2026年10月28日号より一部抜粋・文中敬称略)

★『きっこのメルマガ』を2026年10月中にお試し購読スタートすると、10月分の全コンテンツを無料(0円)でお読みいただけます。

¥550/月(税込)初月無料 毎月第1~第4水曜日配信

MAG2 NEWS

記事全体を読む