多くの人が、予算を立てたり、支出を分析したり、投資や借金の返済についてシミュレーションしたりするために、AIを活用している。
理論上は便利に聞こえるが、金融の専門家は、ChatGPT、Claude、Grok、Geminiなどの大規模言語モデルに対して、自身の財務に関する絶対に共有してはならないことが1つあると警告している。
それは、「個人を特定できる財務情報」だ。
そうした情報を伏せると、AIを使った家計管理は難しくなるものの、それでも守るべき助言だ。
口座番号などの具体的な情報を入力したり、書類の写真をアップロードしたりすると、その情報がAIサービス上に保存され、詐欺やなりすましなどの被害につながるおそれがある。
National Bank Financialのリスク担当者であるナヴァ・ネイフォ氏はハフポストUS版に対し、「顧客には、個人を特定できる情報や、口座へのアクセスを可能にする情報は一切共有しないよう強く勧めている」と語った。
「一度チャットボットに入力してしまえば、それがどこへ行くのかコントロールできなくなるからだ」
これには、銀行口座やカードの番号、あらゆる銀行口座のパスワードや暗証番号、政府発行の身分証明書などが含まれる。また、銀行の取引明細書や納税申告書、ローン関連の書類なども、氏名、住所、勤務先、口座情報などがまとめて記載されているため、ChatGPTのようなAIチャットボットに共有するのは危険だ。
ネイフォ氏によれば、サービスの設定によっては「会話が保存されたり、内容を確認されたり、モデルの改善に使われたりする可能性がある。また、どんなシステムでも不正アクセスの被害に遭うおそれがある」という。
さらに、「チャットボットは、銀行や認可を受けたアドバイザーに適用される守秘義務やセキュリティ上の義務に縛られていない」と指摘する。
盗まれた個人情報は、アカウントの乗っ取りやなりすましなどの犯罪に悪用される。こうした情報をChatGPTにアップロードすると、犯罪者にその情報を入手されるおそれがある。
AI・テクノロジーサービス企業「Cognizant」で金融サービス・フィンテック部門責任者を務めるグル・サハジパル氏は、ハフポストUS版に次のように語った。
「一般的に、AIツールがこの情報を必要とする理由はなく、不必要に共有することは、アカウントへの不正アクセスや個人データ・財務データの悪用といった、プライバシーおよびセキュリティ上のリスクを生み出す可能性がある。AIが金融サービスに広く導入される中で、消費者は、AIツールにどんな情報を、なぜ共有するのか、またその情報が本来の目的以外にどう使われる可能性があるのかを理解し、共有する情報を自分で管理する必要がある」
代わりにどうすべき?
情報をむやみに明かすのは危険だ。ただし、それでもお金の管理にAIを使いたいのであれば、一般的な金融情報や、個人を特定できないよう匿名化した情報を共有することは問題ない。
グローバル情報サービス企業「Experian」の消費者教育や権利擁護の専門家であるクリスティーナ・ローマン氏はハフポストに、「AIツールは、お金について学んだり、家計管理に関する疑問を解消したりするのに役立つ可能性がある」と語る。
「例えば、予算管理の戦略、信用スコアの基礎、債務返済の方法、大きな買い物のための貯蓄、あるいはさまざまな金融商品がどのように機能するかについて質問することができる」
プロンプト(指示文)の例は以下のようになる。
「半年後に[行き先]へ[日数]日間の旅行に行きたい。航空券、宿泊費、食費、現地での活動費を考慮して、現実的な予算を立ててほしい。予期せぬ出費に備えて、20%の予備費も含めてほしい」
「適切に使えば、AIはお金について学ぶための貴重な手段となり、消費者が選択肢への理解を深め、十分な情報を踏まえてお金に関する判断をする助けになる」とローマン氏は語った。
すでに情報を共有してしまった場合は?
もしすでに、個人の財務情報をAIチャットボットに共有してしまっている場合でも、パニックに陥らないことが重要だとネイフォ氏は述べる。
「共有したからといって悪用されたとは限らないが、情報が外部に漏れたものと想定し、適切な対策を取るべきだ。まずは会話履歴を削除し、チャットボットのプライバシー設定を確認して、自分のデータがAIの学習に使われないよう設定を変更するとよい」
AIサービスの運営会社がデータを一定期間保存する場合があるため、会話を削除してもすぐに消去されるとは限らない。それでも、実行すべき極めて重要なステップだ。
次に、パスワードを変更し、多要素認証を有効にしてアカウントの安全を確保する。そして、銀行やカード発行会社にすぐに連絡し、不正利用の可能性を伝えた上で、口座番号やカード番号を変更できるか確認する必要がある。
「もし、氏名、住所、雇用主がひとまとめになっている給与明細のような書類を共有してしまった場合は、信用情報や口座の利用状況を、普段以上に注意深く確認すること」とネイフォ氏は説明する。もし不審な動きが見つかったり、自分の情報が悪用されている疑いがあったりする場合は、直ちにクレジットカード発行会社や銀行などに報告し指示を仰ぐこと。
ChatGPTなどのAIツールを使う際は、「自分が共有する情報を、不特定多数の人に見られても構わないか」と考えることが、一つの判断基準になる。不特定多数の人が見る場所や共用のパソコンで公開したくない内容であれば、まず個人を特定できる情報を削除すべきだ。
個人情報をむやみに明かさないことは、情報を盗まれるのを防ぐうえで重要だ。また、AIにお金の相談をする場合について、ネイフォ氏は「AIの回答はあくまで判断の出発点とし、正しいかどうかを必ず確認すること。AIは自信満々に間違った答えを出すことがあるからだ。投資や税金、借金に関する判断では、AIは資格を持つ専門家の代わりにはならない」と忠告した。

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