高市内閣、骨太の方針決定。370兆円投資へ、予算上限なし。食料品消費税減税は8月に持ち越し、家計への影響は?

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政府は7月21日の閣議で、高市内閣として初となる「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2026)」を決定した。「責任ある積極財政」を掲げ、実質1%・名目3%を上回る経済成長の実現を打ち出した一方、目玉だった食料品の消費税減税の具体策は示されなかった。

食料品消費税減税、「8月上旬までを目途」に方針決定。具体策はなし

食料品の消費税減税をめぐっては、「8月上旬までを目途に、その方針を決定する」と記すにとどまった。6月30日の原案にはなかった一文で、閣議決定までの3週間で急遽加わった形だ。

自民・維新は2月の衆院選で「食料品消費税を2年間ゼロにする」と公約したが、6月に実務者会議の議長(自民党税制調査会長)が示した実際の案は異なっていた。税率は2027年4月から2年間「1%」に下げるにとどめ、残り1%分は現金給付で補うことで「実質ゼロ」とする内容だ。公約の「ゼロ」と実際の「1%+給付」をどうすり合わせるかが焦点となっている。

当初の「ゼロ」案をもとにした試算では、税収減は年4.8兆〜5兆円規模とされ、財源は与野党の間でも意見が割れている。効果の中身にも論点があり、大和総研のレポートによると、食料品購入額が大きい高所得層ほど恩恵が大きく、上位2割の世帯は下位2割の倍近い軽減額を受ける計算だという。

減税は「2年限定」とされ、中低所得者向けの「給付付き税額控除」が整うまでの「つなぎ」という位置づけだが、2年後に税率を戻せるかは別問題として残る。

370兆円投資と財政目標の転換

投資面では、17の戦略分野・62の主要な製品・技術を対象に、2040年度までに官民で累計370兆円を超える資金を投じる「官民投資ロードマップ」を推進する。

AI・半導体、量子、防衛産業、創薬、造船など幅広い分野が対象だが、中でも規模が大きいのがフィジカルAI・半導体分野だ。国産マルチモーダル基盤の構築などにより370兆円のうち80兆円の官民投資を引き出すとされている。

これらの投資を下支えするため、毎年の予算とは別枠で『「強く豊かな日本」投資枠』を新設。危機管理・成長投資については、通常なら財務省が事前に定める予算の上限を設けず、必要な額を要求できる仕組みとした。

財源面では、経済安全保障上特に重要な分野について、複数年度分の税外収入などで財源のあてを先に確保した上で「つなぎ国債」を発行する。特別会計で別枠管理する仕組みも設ける。国債発行額や年限構成の変化は、今後の国債需給、金利動向を見るうえでの材料になる。

この投資枠の運用方針は、7月24日に判明した2027年度予算の概算要求基準の素案でも裏付けられた。各省庁からの事業費要求に上限を設けない方向で調整が進む一方、年金・医療など社会保障費の自然増は前年度並みの4000億円程度に抑える。与党との調整を経て、月内にも閣議了解される見通しだ。

財政の健全性を測る目標も変わった。これまでは「基礎的財政収支(PB)」、つまり税収など毎年の収入で政策経費をどれだけ賄えているかを、単年度で黒字にすることを目指してきた。今回はこの物差しを外し、代わりに「国と地方の借金(債務残高)が、経済の規模(GDP)に対してどれだけ大きいか」を安定的に下げることを最優先の目標に据えた。

分母のGDPさえ成長で膨らませば、借金が一時的に増えても許容するという考え方で、財政規律が緩むとの懸念も残る。格付け会社や海外投資家が日本国債をどう評価するかにも関わる論点であり、長期金利の動向を通じて円債・為替市場への影響も注視されている。

策定過程も異例だった。例年は財務省が原案を主導し市場の反応を見ながら調整するが、今回は官邸が起草。市場との対話が手薄になったためか、6月30日の原案は日銀へ「適切な金融政策運営」を期待する記述にとどまり、利上げ牽制と受け止められて長期金利が急騰した。決定は当初の7月14日ごろから21日にずれ込み、日銀法第3条を明記する文言が土壇場で追加された。

暮らしへの影響は?

消費税減税は8月上旬までの決定持ち越しに加え、7月22日に行われた実務者会議でも野党の反対が相次ぎ調整は難航し、家計への具体的な影響は依然見通せない。反対理由には財源の不透明さや、2年後に減税が終わる際の負担増懸念が挙がる。

さらに、今回の骨太の方針でPB黒字化目標を外し債務残高対GDP比を重視する方針へ転換したことで、財政規律が緩むとの懸念が市場で強まっている。これも一因となり、長期金利(10年国債利回り)は2024年ごろの1%程度から2026年7月には2%後半まで上昇し、約30年ぶりの高水準に近づいている。

長期金利は住宅ローンの固定金利の目安にもなっており、上昇が続けば、これから住宅ローンを組む人や借り換えを検討する人の返済負担が増す可能性がある。

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