金融庁・警察庁、暗号資産業界団体に詐欺対策11項目を要請|不正送金に包囲網

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この記事の要点

  • 金融庁・警察庁が交換業者に詐欺対策11項目を要請
  • 出庫制限・事前登録制など不正送金防止策を具体化

暗号資産詐欺対策を業界に要請

金融庁は2026年8月6日、警察庁と連名で、日本暗号資産等取引業協会に対し、暗号資産(仮想通貨)を悪用した詐欺被害等の防止に向けた対策を一層強化するよう改めて要請しました。

今回の要請は、特殊詐欺の被害金が交換業者の口座宛てに送金される事例が確認されるなか、不正送金やなりすましへの対策を業界全体で強化することを目的としています。

両庁は、これらの対策は事業規模を問わず全ての交換業者に必要だとしており、直ちに実施することが難しい場合でも計画的に導入を進めるよう求めています。

あわせて公表された概要資料では、交換業者に求める対策も示されました。

出庫管理から情報共有まで11項目を要請

両庁は、交換業者に求める11項目の対策として、口座開設時の審査から暗号資産の出庫管理、警察との連携までを対象とする具体的な内容を示しました。

番号 要請内容
口座開設時における不正防止・実態把握の強化
詐欺被害等防止のための確認・注意喚起
法定通貨入金後・暗号資産購入後の一定期間の出庫制限
出庫先の事前登録制・登録後一定期間の出庫制限
出庫限度額の適切な設定
取引モニタリング・アクセス環境モニタリングの強化
疑わしい取引検知後の確認・取引制限・口座凍結等の迅速化
なりすまし等が疑われる場合の認証強化
送金依頼人名と口座名義人名の一致確認等
検知のきっかけ・実態把握・対策高度化のための情報共有
警察への情報提供・連携の強化

出庫先の事前登録と一定期間の送付制限

11項目の中でも、両庁は不正送金の防止に向けた出庫管理の強化を重視しており、法定通貨の入金後または暗号資産の購入後には、一定期間の出庫制限を設けるよう全ての交換業者に求めています。

この措置が導入されれば、利用者が入金や購入の直後に保有資産を外部のウォレットへ移す取引には、一定期間の待機を経てからの出庫が求められることになります。

これに加えて、新たな送付先を登録する際には詐欺などとの関連性を確認し、登録から一定期間は出庫を制限するなど、送付先そのものの管理強化も両庁は要請しました。

出庫制限の解除後についても、多額・多頻度の送付を行う顧客には取引の背景を確認し、顧客ごとのリスク評価や保有資産額に応じた出庫限度額を設定するよう求めています。

取引監視と多要素認証でなりすまし対策

出庫管理の強化とあわせて、取引モニタリングやアクセス環境モニタリングの充実も盛り込まれており、顧客の申告情報や過去の利用状況と整合しないアクセスの検知などが求められています。

疑わしい取引を検知した場合には、その度合いに応じて顧客への確認や取引制限、口座凍結などを速やかに実施できるよう、夜間や休日を含めた対応態勢の整備も要請しました。

本人確認の強化では、なりすましが疑われる場面でフィッシングに耐性のある多要素認証(複数の要素による本人確認)の導入に加え、送金依頼人名と口座名義人名の一致確認も求めています。

本人確認の厳格化と業者間の手口共有

取引時の対策だけでなく、口座開設の段階でも、本人確認書類の真正性を確認する仕組みの構築や、不正利用リスクが高い顧客への審査の厳格化を交換業者に要請しました。

利用者に対しては、口座の売買が犯罪に当たることの周知に加え、第三者の指示による口座開設や暗号資産の購入・出庫は詐欺のおそれが高いとして、注意喚起を徹底するよう求めています。

あわせて、被害や不正利用の手口を交換業者間で共有するとともに、詐欺のおそれが高い取引を検知した際には警察へ速やかに情報提供するなど、業界と捜査機関が連携した対応も盛り込まれました。

官民両面で詐欺・マネロン対策を強化

交換業者への対策強化が求められるなか、行政と民間では詐欺やマネーロンダリング対策を支える体制整備も進められています。

金融庁は2026年8月5日、暗号資産とステーブルコインを所管する「暗号資産・ステーブルコイン課」を8月7日付で新設し、監督局を2局体制へ再編する組織改正を公表しました。

一方、民間では、金融庁の支援のもとで金融機関や暗号資産関連事業者など17社と実証を重ねてきた日立製作所が、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の共同監視を2026年10月からサービスとして提供する方針です。

交換業者による対策強化に加え、行政では監督体制の再編、民間では監視サービスの提供が進められるなど、官民双方で詐欺・マネーロンダリング対策の強化が図られています。

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Source:金融庁発表
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