虚数を「柱」にしたのは量子力学だけだった
Credit:Canvaニュートンの運動方程式、マクスウェルの電磁気学、アインシュタインの相対性理論――。
物理学の歴史を彩る大理論は、どれも「実数」だけで書くことができます。
もちろん計算の途中で虚数が顔を出すことはあります。
電気回路の計算では複素数が頻繁に登場しますし、波の干渉を扱うときにも便利な道具です。
しかしそれはあくまで「近道」であって、最終的な答えはいつも実数に戻せました。
虚数はいわば「足場」のようなもので、建物が完成すれば外してしまっても問題はなかったのです。
ところが、量子力学だけは事情が違いました。
量子の世界を記述するシュレーディンガー方程式には、虚数単位 i が方程式の骨格そのものに組み込まれています。
計算の便宜ではなく、理論の構造の一部として。
物理学の長い歴史のなかで、虚数を「足場」ではなく「柱」として必要とした理論は、量子力学だけだったのです。
では、虚数は量子世界そのものに埋め込まれた部品なのでしょうか?
それとも、量子世界をもっとも読みやすく表現するために人間が選んだ、優秀な記述法にすぎないのでしょうか?






English (US) ·
Japanese (JP) ·