(CNN) 過酷な熱波到来の頻度が高まっている欧州。記録的な猛暑が続く中で、逃げ場はほとんどない。エアコンのある家は極めて少なく、住民は扇風機や保冷剤、冷たいシャワーなどで暑さをしのぐ。
住宅のエアコン普及率は、米国の90%に対し、欧州はわずか20%程度にとどまる。
気候変動の影響で熱波は過酷化、長期化が進み、到来時期も早まっている。熱中症による死者も増える中、豊かな欧州諸国がエアコンの導入に対して消極的に見えることを不思議がる声もある。
大きな一因として、欧州諸国、特に北欧では歴史的に冷房はほとんど必要とされなかった。熱波が発生することはあっても、現在の欧州のように長期間にわたって暑さが続くことは極めてまれだった。
「欧州には単純に、エアコンを設置する伝統がない。つい最近まではほとんど必要なかった」。国際エネルギー機関(IEA)の専門家、ブライアン・マザウェイ氏はそう解説する。

野外音楽祭中、ミスト噴霧器の下で涼む女性=6月21日、フランス南西部/Romain Perrocheau/AFP/Getty Images

魚市場で水飲み場から水が流れる様子=ドイツ・テューリンゲン州エアフルトの旧市街/Martin Schutt/picture alliance/dpa/Getty Images
設置や稼働が高くつくこともあるエアコンは伝統的に、必需品というよりぜいたく品と見なされてきた。欧州では米国に比べてエネルギーコストが高く、所得が低い国も多い。
欧州の多くの世帯にとっては今も、エアコンはコストが高すぎて手が届かないのかもしれない。
加えて建築設計の問題もある。
南欧では暑さを前提として設計された建物もある。そうした建物は壁が厚くて窓が小さく、直射日光が入りにくい。通気性が高い設計によって室内は涼しさが保たれ、人工的な冷房の必要性は低い。
しかしそれ以外の欧州では、住宅は暑さを想定した設計になっていない。
「我々には、夏をどう涼しく過ごすかを考える習慣がなかった。それはごく最近の現象だ」とマザウェイ氏は言う。
欧州大陸は、エアコン技術が普及する前に建てられた古い建築物が多い傾向がある。6月の最高気温を更新したばかりの英イングランドでは、1900年以前に建てられた住宅が6軒中1軒を占める。
古い住宅にセントラル冷房装置を取り付けることは、不可能ではないとしても、難しいことがあるとマザウェイ氏は指摘する。

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