(CNN) 米国の民間機2機が撃墜された30年前の事件に関連して、キューバのラウル・カストロ元国家評議会議長が米国で起訴される可能性が浮上した。米国人3人が死亡したこの事件は、米国とキューバの関係を急激に悪化させる発端となった。
米ボランティア団体「ブラザーズ・トゥー・ザ・レスキュー」(本部フロリダ州マイアミ)の航空機2機が撃墜されたのは1996年。これが引き金となった対キューバ禁輸措置は、現在に至るまで続いている。
複数の関係者は先週、米連邦検察が96年当時のキューバ国防相だったラウル氏の起訴を検討しているとCNNに語った。米司法省は、犠牲者の追悼式典に合わせてマイアミで20日に発表を行うとしているが、発表内容は明らかにしていない。
ラウル氏起訴に向けた動きは、米トランプ政権がキューバに対する圧力を強め、制裁強化や石油封鎖に乗り出す中で浮上した。
ブラザーズ・トゥー・ザ・レスキューは90年代、船で米国へ渡ろうとするキューバ人を発見して支援するため、定期的に航空機を飛行させていた。
米議会の記録によると、96年2月24日、キューバ沿岸付近でそうした活動を行っていた同団体の航空機2機を、キューバ軍が熱追尾ミサイルで撃墜。米国籍の3人と米国在住者1人が死亡した。もう1機は被害を免れた。
キューバ政府は事件直後、ブラザーズ・トゥー・ザ・レスキューがキューバ政権に対する秘密作戦にかかわっていたとして非難した。米国は即座に否定している。
米政府によると、ブラザーズ・トゥー・ザ・レスキューの航空機は非武装で、搭乗していたボランティアはキューバ政府や軍、国民にとっての脅威ではなかった。
在米キューバ大使館は19日、X(旧ツイッター)への投稿で、「キューバ領空への侵犯」は単発的な出来事ではなく、「25回を超す重大で意図的かつ組織的な侵犯」の一環だったと強調。「あれは誤算ではなく、国際的な航空安全を脅かす連続的な作戦だった」と位置付けた。
ブラザーズ・トゥー・ザ・レスキュー(既に活動を停止)は、キューバから亡命した反体制派のホセ・バスルト氏が91年に創設した団体。独裁政権から自由になろうとするキューバ人を非暴力的な手段で支援する、民主化推進の人道団体を自称していた。

フロリダ州マイアミのオレンジボウルでは1996年3月2日、撃墜された「ブラザーズ・トゥ・ザ・レスキュー」のパイロット4人を追悼する式典が開催された/Manny Hernandez/Hulton Archive/Getty Images
96年の撃墜についてはラウル氏の兄フィデル・カストロ氏が、キューバ領空を侵犯した航空機の撃墜は自分が軍に命じたと述べていた。これに対して米国は、2機が撃墜されたのは国際空域だったと主張した。
当時の国連安全保障理事会キューバ代表は、2機が撃墜される前にキューバの領空を侵犯していたことを裏付ける証拠があると主張。キューバ当局は両機に対して翼を揺らすなどの警告を発したが、無視されたと語っていた。
フィデル・カストロ氏は2010年9月、ハバナで演説を行い、地域監視組織「革命防衛委員会」の設立50周年を記念した(Cubavision)
フィデル氏が2016年に死去した後、キューバ系米国人の議員らは司法省に対し、後継者で弟のラウル氏の起訴を働きかけていた。マリオ・ディアス・バラルト下院議員らは2月にパム・ボンディ司法長官(当時)に宛てた書簡の中で、ラウル氏が撃墜を命じたことを示唆する無線通信記録などの証拠があると主張した。
ただ、キューバ国民の中には、当時の政府の行動は国家の安全を守るためだったとしてラウル氏の起訴に反対する声がある。

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