蚊の中には冬を生き延びるものもいる
蚊の中には冬を生き延びるものもいる / Credit:Canva多くの人は「蚊は寒くなると死ぬ」と思っています。
確かに、その年の夏に飛び回っていた蚊の多く、とくにオスは、寒さとともに死んでいきます。
ところが秋までに交尾を済ませたメスだけは話が別です。
物陰にもぐり込み、成虫のまま、じっと冬を越します。
春、日が長くなると目を覚まし、また血を吸い、卵を産みはじめるのです。
夏の蚊が数週間ほどで一生を終えるのに対し、この越冬メスは半年近くも生きることがあります。
ちなみに冬ごもりに向かうメスは、血ではなく花の蜜などの糖分をがぶ飲みし、それを脂肪に変えて越冬の燃料にします。
いわば「血食いから“砂糖食い”への切り替え」のような大変身です。
ではそもそも、蚊はどうやって「そろそろ冬だぞ」と気づくのでしょうか。
意外にも、頼りにしているのは気温だけではありません。
主な合図は「昼の長さ」です。
一日のうち明るい時間がじわじわ縮んでいくのを感じ取って、蚊は活動をぴたりと止め、冬ごもりの状態――休眠――へ入ります。
なぜ気温ではなくわざわざ昼の長さなのか。
理由はシンプルです。
気温は年ごとに大きくぶれますが、昼の長さは同じ日付ならピッタリ同じだからです。
10月10日の気温は年によってバラバラですが、その日の昼の長さだけは、毎年きっちり変わりません。
気温が気まぐれな友人だとすれば、昼の長さは何百万年にわたって一度も嘘をついたことのない、律儀なカレンダーです。
蚊はこの暦を全面的に信じきっています。
そしてこの冬ごもりは、人間にとっても大きな意味があります。
冬ごもり中のメスは血を吸いません。
血を吸わなければ、病気を人へ運ぶこともない。
蚊が秋に静かになるのは、ただ刺されなくなるだけでなく、「蚊が運ぶ病気の季節」が閉じていく合図でもあるわけです。
問題は、ここに人工の光が割り込んできたとき、何が起きるかでした。






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