従来の治療は「街ごと焼き払う」方式だった
歯周病と聞くと「歯茎が腫れる病気でしょ?」と思う方も多いかもしれません。
確かにそれも正しいのですが、実は歯周病の影響は口の中だけにとどまりません。
歯周病の主犯格であるポルフィロモナス・ジンジバリスという細菌は、歯茎の境目にある歯垢に住みつき、そこで炎症(歯肉炎)を引き起こします。これが悪化すると慢性歯周炎となり、歯茎が後退して歯がグラグラになってしまいます。
しかし本当に怖いのはここからです。
歯周病に関わる細菌が血流に入ると、糖尿病、関節リウマチ、心血管疾患、慢性炎症性腸疾患、さらにはアルツハイマー病にまで関与する可能性が指摘されているのです。
たかが歯周病、されど歯周病。口の中のトラブルが、全身の健康を脅かすリスク要因になりうるわけです。
ポルフィロモナス・ジンジバリスが優勢になり、口の中のバランスが崩れた状態を示した模式図です。歯茎が下がり、炎症で赤く腫れているのが見て取れます。茶色や黄色の塊として描かれているのが、歯と歯茎の境目に溜まった歯垢。歯周病はまさにこの場所から、静かに、しかし確実に進行していきます。Credit: PerioTrapでは、これまで私たちはどうやって歯周病と戦ってきたのでしょうか。
代表的なのは、アルコールベースのマウスウォッシュや、歯科医院で使われるクロルヘキシジンという殺菌剤です。これらは確かに歯周病菌を殺してくれます。
しかし問題は、善玉菌まで巻き込んで減らしてしまうことです。
ここで厄介なことが起こります。殺菌後、口の中の細菌たちが「よーいドン」で再び増え始めるのですが、この競争で有利なのは実は悪玉菌のほうなのです。
なぜなら、ポルフィロモナス・ジンジバリスのような病原菌は、炎症を起こした歯茎の組織が大好物。すでにダメージを受けた環境では、悪玉菌のほうがスタートダッシュを決めやすいのです。
一方、善玉菌は増殖がゆっくり。結果として、治療後にむしろ悪玉菌が優勢になる「ディスバイオシス(細菌叢の不均衡)」という状態に陥り、歯周病が再発してしまうことがあります。
せっかく治療したのに元の木阿弥……というわけです。






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