子どものスマホやタブレットの使いすぎが気になる――。特に長い休みは自由な時間が増え、つい長時間スマホを見てしまう子どもも少なくありません。
こども家庭庁の調査によると、10~17歳の青少年の78.5%がスマホをインターネット利用に使っています。インターネットの平均利用時間は平日1日あたり、小学生(10歳以上)で約3時間54分、高校生では約6時間44分に上ります。しかも、全体の平均利用時間は前年度から約25分増加しています。
では、家庭ではどのようにルールを決め、スマホと上手に距離を取ればいいのでしょうか。
子どものスマホ依存を防ぎ、勉強にも集中できる環境をつくるために、家庭でできる具体的な対策を『脱スマホ術』の著者、戸田大介さんに聞きました。

ダイヤモンド社
スマホ依存を防ぐため、家庭での対策は?
ーー子どもたちの「スマホ依存」が問題に。特に夏休みなどは自由時間が増える分、スマホやタブレットに触れる機会が増えます。家庭でできる対策は?
まずは利用時間に制限をかけることが有効です。大人でもスマホの誘惑に逆らうのは難しいのに、子どもに無防備にスマホを渡してしまったら、依存につながる可能性は高くなります。
たとえば「1日3〜4時間」など、子どもと話し合ってルールを決め、iPhoneなど端末側にも設定しておく。はっきりとした上限があれば、限られた時間の中で「本当に見たいものはなにか」と考え、惰性で見ていたショート動画を削るなど、自分で取捨選択できるようになるはずです。
また、親も一緒に取り組むこともおすすめです。子どもに一方的にルールを課すのではなく、親も「食事中はスマホを触らない」「寝る時はスマホを部屋の外に置く」といった行動を一緒にすれば、説得力が生まれます。
勉強も同じで、親が子どもと机を並べて英語や資格の勉強をする。「○時から○時までは一緒にやろう」と時間を決めて取り組むだけでも、子どもがつられて勉強する効果はあると思います。
ーー子どもとは、どうルールを決めるとよいのでしょう?
一方的に押し付けるのではなく、子ども自身にも考えてもらいながら擦り合わせることが大切です。
たとえばスマホのスクリーンタイムを一緒に確認してみる。実際の利用状況を見ながら話すことで、子ども自身も「こんなに使っているんだ」と自覚し、今後の使い方を考えるきっかけになります。
罰としてスマホを禁止するのが良くない理由
ーー何かの“罰”としてスマホを禁止したり、ご褒美でスマホを使わせたりするのはどうでしょうか?
正直、あまりおすすめしません。スマホの使用時間という問題だけを見れば、それで解決するかもしれません。ただ、長期的な教育や人格形成の面で考えると、アメとムチで行動をコントロールすることには注意が必要です。
人間のモチベーションには、大きく分けて「外から与えられるもの」と「自分の内側から生まれるもの」があります。
たとえば「小説家になりたい」と思って本を書き始めるのは、内側から生まれるモチベーション。一方、「小説を書いたら1万円あげるよ」というのは、外から与えられるモチベーションです。
アメであってもムチであっても、外的なものに反応して行動するという点では同じです。こうした外的な動機づけに頼りすぎると、「この活動が好きだからもっとやってみたい」といった気持ちや、創造性を奪ってしまうことがあります。
「文章を書くのが好き」だったはずなのに、「どうすれば一番楽をして、効率よく1万円をもらえるか」と考えるようになってしまう。そうした影響は、さまざまな研究でも示されています。
それでもなお、アメとムチが使われ続けるのは、子どものことを深く理解していなくても、簡単に行動をコントロールできるからです。
だからこそ、スマホを取り上げて言うことを聞かせるのではなく、子ども自身が「どう使いたいのか」「何をしたいのか」を考えられるようにすることが大切だと思います。
「夏休み最終日エフェクト」を再現するには
ーースマホから距離を置かせた上で、勉強に集中させるにはどうしたらよいのでしょう?
一度の勉強時間を長くするのではなく、細かく時間を区切ることが有効です。
簡単な方法はタイマーを使う方法です。20分、30分など時間を決めて、タイマーがなったら手を止めて数分間休憩する。そして、またタイマーをセットして勉強を始める。これを繰り返すことで、集中力を維持しやすくなります。
タイマーを使うことで、私はこれを「夏休み最終日エフェクト」と呼んでいますが、「夏休みの最終日だけ異様な集中力を発揮して、宿題を終わらせる」ような状態を日常でも作ることができます。
「あと◯分しかない」と時間を区切ることで、夏休み最終日のような追い込まれた状態を再現できるんです。
自分で設定したタイマーは、いわば“架空の締切”です。でも、人間の脳は、現実のものと架空のものを見分けるのが意外と苦手です。
たとえば、ホラー映画を見ていて「これは作り物だ」と分かっていても、怖いシーンでは身体が縮こまったり、心臓がドキッとしたりしますよね。それと同じで、架空の締切でも「時間がない」と脳が反応すれば、緊張感が生まれて、集中力を引き出すことができるんです。
私が手がけたアプリ「集中」も、タイマー機能を使って作業と休憩を繰り返すというデザインですが、この方法は小学生や中学生でも強い効果を発揮していることが分かっています。
ーーもし決めた時間内で、その日中に終わらせたかった課題が終わらなかったら?
終わっていなくても、いったん区切るのが理想的です。
集中力が切れた状態で机に向かい続けても、生産性は落ちて、単に時間を浪費してしまいます。でも、それ以上に問題なのは、「勉強すること」そのものにネガティブなイメージがついてしまうことです。
特に子どもは、やる気が切れているのに長時間机に向かっていると、「勉強は苦しいもの、つまらないもの」という意識が染みついてしまいます。そうすると、次に机に向かうときに「うわ〜やりたくないな」という気持ちにつながってしまう。
だからこそ、終わっているかどうかに関係なく、時間が来たら一旦やめる。そうやって「勉強する時間」と「休む時間」をドライに区切ることが大切です。
【PROFILE】戸田大介さん
山形県尾花沢市出身。新卒で電通アイソバー(現・電通デジタル)に入社し、データアナリストとして勤務した後、bondavi 株式会社を創業。2016年に習慣化アプリ「継続する技術」、18年に集中アプリ『集中』をリリース。データと行動科学の知見をもとにした各アプリが評判となり、累計ダウンロード数は1000万を超える。著書に『継続する技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

8 時間前
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