(CNN) トランプ米大統領は23日、イランとの間で近々和平が成立し、ホルムズ海峡が再開されるとの見通しを示した。
さて、どうだろう。トランプ氏は何度もまやかしの平和を叫んで、信用を失っている。これまで3カ月間フェイントを繰り返した結果、市場は同氏の動きを逐一追わずに無視し始め、イランと合意したことが具体的にはっきり分かるまで待とうとしている。
イランはこの戦争で軍事的には劣勢に立たされたが、ホルムズ海峡を最大の切り札に使い、その全面再開については強気の姿勢を貫いてきた。高速艇や機雷、改良型ドローン(無人機)でタンカーの海峡通過を阻止し、世界経済から石油輸送量の5分の1を奪い去っている。
だがこれが本当に、真の戦争終結となり、海峡がすぐにも再開されるとしたら、次に何が起きるだろう。
物価はいつ戦争前の水準に戻るのか。
すぐには戻らないだろう。年内はほぼ確実に無理だ。二度と戻ることはないかもしれない。
次に何が起きるか
ホルムズ海峡が本格的に再開したら、その先には実務上の無理難題が待ち構えている。
第一段階は海峡の目詰まりを解消することだ。タンカーが移動するスピードは自転車程度なので、これには長い時間がかかるだろう。
欧州の調査会社ケプラーの主任石油アナリスト、マット・スミス氏によると、まずペルシャ湾で計1億7000万バレルの石油を積んだまま滞留する166隻前後のタンカーを脱出させる必要がある。それが済めば、空のタンカーが海峡に入り、石油を積み込んでまた海峡経由で戻れるようになる。
ケプラーの上級石油アナリスト、ビクトリア・グラベンべガー氏によると、タンカーの通航が最大量に戻るまでには3カ月かかる可能性がある。
第二段階は、貯蔵されている原油の在庫削減だ。空のタンカーはまず、生産後に行き場を失って貯蔵施設にたまった原油を積み込むことになる。
ここで朗報だ。製油所が現実的に対応した結果、貯蔵施設は満杯までうまってはいない。原油生産の回復にかかる期間がいくらか短縮できるだろう。とはいえ、在庫が通常の量を超えているために、石油生産をフル稼働まで回復させる時期は遅れることになるだろう。
第三段階は生産の再開だ。戦争の間、中東の油田は大半が操業を停止した。生産再開はスイッチを入れるだけというわけにいかない。複雑な技術的課題があり、厳密な物理学に基づく何週間かの作業が必要になる。
原油の貯留層が崩壊しないよう、生産再開はゆっくり進めなければならない。掘削のやり直しや、かなりの修理が要求される。油田に注入された水やガスのバランスを取り直すのも、一筋縄ではいかない作業だ。
中東の油田は大規模で互いの距離が近いため、各社、各国が水とガスの圧力を均一に保つようしっかりと調整しなければならないだろう。
第四段階は修理だ。戦争中に数カ所の製油所、天然ガス生産施設、産油施設が損壊した。石油会社によると、重要な設備の修理に何年間かかかることもあり得るという。
流通の復活を待つ石油の量は膨大だ。ケプラーによると、サウジアラビアとイラクを中心に、中東全体で日量1200万バレルの原油と300万バレルの石油製品の供給がストップしている。復活は決してたやすいことではない。

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