仮想通貨課税「世界で73兆円」86%はDEX・DeFiの死角に

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この記事の要点

  • チェイナリシス、世界の仮想通貨課税額を約73兆円と推計
  • 国際報告制度で捕捉できるのは14%、2027年から情報交換開始へ

世界の仮想通貨課税対象「73兆円」と推計

ブロックチェーン分析企業Chainalysis(チェイナリシス)は2026年8月26日、2025年に課税対象となった仮想通貨活動が世界で少なくとも4,570億ドル(約73兆円)に達したとする調査結果を公表しました。

地域別では北米が1,346億ドル(約21.5兆円)で最大となり、その大部分を占める米国だけで1,126億ドル(約18兆円)に上っています。

日本でも課税対象額は132億ドル(約2.1兆円)に達しており、国別では世界8位に位置しています。

その一方で、OECD(経済協力開発機構)のCARF(仮想通貨報告フレームワーク)で捕捉できるのは、こうした課税対象となる活動全体の14%にとどまると同社は指摘しました。

捕捉対象から外れる残り86%にはDEX(分散型取引所)を通じた取引やP2P送金、DeFi(分散型金融)収益などが含まれ、税務当局がその実態を把握するにはオンチェーンデータの併用が必要になるとしています。

仮想通貨課税対象を国別比較、86%が死角に

主要6チェーンの取引データを集計・分析

チェイナリシスは今回の推計にあたり、ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)ソラナ(SOL)トロン(TRX)、BNBスマートチェーン、Baseの6チェーンで確認されたオンチェーン活動を集計対象としています。

課税対象となる活動は譲渡益(キャピタルゲイン)、所得(インカム)、支払い(ペイメント)の3つに分類され、取引所での実現益やマイニング(採掘)ステーキング収益、仮想通貨建て決済などが含まれています。

地域別では北米が1,346億ドルで最大となり、EU(欧州連合)が1,251億ドル(約19.9兆円)、東アジアが547億ドル(約8.7兆円)で続いています。

ただし、取引所内部だけで完結する売買はオンチェーンに現れないため、同社は実際の課税対象額が今回の推計をさらに上回る可能性もあるとしています。

米国が首位、日本は2兆円規模で世界8位

国別では米国が1,126億ドル(約17.9兆円)で突出しており、ドイツ、中国、英国、インドなどが後に続いています。

主要国における課税対象額の内訳は、所得・譲渡益・支払いの3区分で次のように推計されています。

国 所得 譲渡益 支払い 合計
米国 179億ドル(約2.9兆円) 301億ドル(約4.8兆円) 646億ドル(約10.3兆円) 1,126億ドル(約17.9兆円)
ドイツ 24億ドル(約3,800億円) 61億ドル(約9,700億円) 156億ドル(約2.5兆円) 241億ドル(約3.8兆円)
中国 22億ドル(約3,500億円) 49億ドル(約7,800億円) 139億ドル(約2.2兆円) 210億ドル(約3.3兆円)
英国 33億ドル(約5,300億円) 60億ドル(約9,600億円) 101億ドル(約1.6兆円) 194億ドル(約3.1兆円)
インド 32億ドル(約5,100億円) 51億ドル(約8,100億円) 107億ドル(約1.7兆円) 190億ドル(約3兆円)
ブラジル 31億ドル(約4,900億円) 43億ドル(約6,900億円) 86億ドル(約1.4兆円) 161億ドル(約2.6兆円)
カナダ 49億ドル(約7,800億円) 33億ドル(約5,300億円) 69億ドル(約1.1兆円) 151億ドル(約2.4兆円)
日本 28億ドル(約4,500億円) 42億ドル(約6,700億円) 61億ドル(約9,700億円) 132億ドル(約2.1兆円)
韓国 20億ドル(約3,200億円) 32億ドル(約5,100億円) 56億ドル(約8,900億円) 109億ドル(約1.7兆円)

このうち世界8位の日本では、ステーキングや採掘などによる所得が28億ドル(約4,500億円)、資産売却による譲渡益が42億ドル(約6,700億円)と推計されています。

残る61億ドル(約9,700億円)は仮想通貨建て決済などの支払いに分類され、日本ではこの区分が3項目のうち最も大きくなっています。

国ごとの経済規模を踏まえて比較すると、ポルトガルや韓国では課税対象額が政府の財政赤字をすでに上回る水準に達したとチェイナリシスは指摘しました。

86%は報告対象外、DEX・DeFiが死角に

こうした課税対象のうちCARFで捕捉できるのが14%にとどまる理由として、チェイナリシスは制度による報告が中央集権型取引所(CEX)などの報告事業者を中心に構成されている点を挙げています。

そのため、DEXを通じた取引やウォレット間のP2P送金、DeFi(分散型金融)からの収益、個人ウォレットで行われる活動などは、CARFの報告だけでは把握できない領域として残ります。

チェイナリシスは、こうした報告対象外の活動が課税対象全体の86%を占めると推計しており、CARFによる報告だけでは課税対象となる活動の全体像を捉えきれないと指摘しました。

2027年に国家間で仮想通貨情報を共有へ

CARFにもとづく国家間の情報交換は、参加を表明した数十カ国で2027年から順次始まる見込みとなっており、各国の税務当局が国境を越えて仮想通貨取引の情報を共有する枠組みが整えられています。

欧州連合ではCARFに沿った「DAC8」がすでに法制化されるなど、2027年以降の情報交換に向けて各国でも報告制度の導入準備が進んでいます。

こうした情報交換が始まれば、中央集権型取引所などを通じた取引については国境を越えた把握が進む一方、DEXやP2P送金などCARFの対象外となる活動は報告網の外に残ります。

チェイナリシスは、CARFの導入後もこうした活動を把握するにはオンチェーンデータによる補完が必要になるとして、税務当局が報告情報とブロックチェーン分析を組み合わせる必要があるとしています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.14 円)

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Source:Chainalysis発表
サムネイル:AIによる生成画像

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