
この記事の要点
- 米司法省と英当局、詐欺センター解体へ初の同盟結成
- 投資詐欺被害は2年で89%急増、1.3兆円超に深刻化
仮想通貨詐欺センター解体へ、米英が初の共同覚書
米司法省コロンビア特別区連邦検察局は2026年9月3日、英国の司法・捜査当局と仮想通貨投資詐欺の拠点「詐欺センター」の解体に向けた覚書(MOU)を締結したと発表しました。
米側の「詐欺センター打撃部隊」と英ウェールズ王室検察庁(CPS)・英国家犯罪対策庁(NCA)が参加するもので、詐欺センターを標的とした国際的な法執行同盟としては初の枠組みとなります。
三機関は国境をまたいで活動する詐欺ネットワークの摘発に向け、共通する標的への捜査や組織犯罪に関する情報共有を進める方針で、覚書の署名前からすでに複数の重複案件を特定しているといいます。
米英は10月初旬にロンドンで民間企業も参加する妨害作戦を予定しており、詐欺センターの解体に向けて捜査機関と民間企業の連携を広げるとしています。
詐欺による被害は深刻化しており、FBIのインターネット犯罪苦情センター(IC3)によると、サイバー投資詐欺(CIF)の被害額は2025年に86億5,000万ドル(約1兆3,430億円)に達し、2023年から89%増加しています。
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覚書の枠組みと詐欺センターの実態
人身売買・資金洗浄も捜査対象に
米側の「詐欺センター打撃部隊」は、コロンビア特別区連邦検察官のジェアニン・フェリス・ピロ氏が2025年11月に立ち上げた組織で、今回の覚書では英国当局との協力へと枠組みが拡大しました。
打撃部隊は主に東南アジアを拠点とする中国系の組織犯罪ネットワークを標的としており、仮想通貨投資詐欺に加え、人身売買や資金洗浄に関する捜査も進めています。
捜査にはFBIや米シークレットサービス、内国歳入庁犯罪捜査部門(IRS-CI)が参加し、米財務省・国務省や民間企業とも連携する体制を構築しています。
米英が訴追管轄を協議、10月に共同作戦も
今回の覚書では、打撃部隊と英ウェールズ王室検察庁(CPS)・英国家犯罪対策庁(NCA)が、共通する標的への並行捜査や組織犯罪シンジケートに関する情報共有を進めます。
さらに、どの司法管轄で訴追するかについても協議し、国境をまたいで活動する犯罪組織への捜査と訴追を米英間で調整する方針です。
ロンドンでの妨害作戦はNCAが主催し、共通する標的を追う捜査・訴追チームに民間企業のパートナーも加えることで、協力体制の拡大を図るとしています。
仮想通貨詐欺の裏に人身売買の闇
捜査対象となる詐欺センターでは、犯罪組織が偽の仮想通貨(暗号資産)投資プラットフォームなどへ被害者を誘導し、投資資金をだまし取る手口が使われています。
施設内では人身売買によって集められた人々が詐欺行為を強要されるケースもあり、米当局は投資詐欺だけでなく、人身売買や資金洗浄を含む組織犯罪ネットワークとして摘発を進めています。
米が官民連携を拡大
276人逮捕の共同作戦、東南アジアで法整備も
ドバイ主導でFBI・中国公安省が合同摘発
詐欺センターを標的とした国際的な捜査はすでに実施されており、2026年4月29日にはドバイ警察が主導し、FBIと中国公安省が連携した作戦で少なくとも276人が逮捕されました。
この作戦では少なくとも9カ所の仮想通貨詐欺センターが閉鎖され、偽の投資話で被害者の信頼を得て資金を奪ったとされる6人が、詐欺や資金洗浄の罪で起訴されています。
仮想通貨詐欺に終身刑、ミャンマーで法整備
詐欺センターが集中する東南アジアでは、捜査機関による摘発に加えて法整備も進んでいます。ミャンマーの軍事政権は2026年5月、仮想通貨を使った詐欺に最長で終身刑を科す反詐欺法案の草案を公表しました。
同法案には、詐欺行為を強要された人が死亡した場合に死刑を科す規定も盛り込まれており、7月28日に議会で可決された後、大統領の承認と施行日の公示を待っています。
仮想通貨詐欺に「最高で終身刑」
制裁・訴追・共同捜査で詐欺ネットワーク解体へ
詐欺センターへの対策は、現地施設の摘発や関係者の訴追だけでなく、犯罪ネットワークを構成する企業や資金の流れにも及んでいます。
米財務省は詐欺ネットワークに関係するダミー企業も対象に加えるなど、犯罪組織や関連事業体への制裁の網を段階的に拡大してきました。
各国による共同捜査や関係者の訴追、犯罪ネットワークへの制裁が並行して進められており、詐欺センターを支える組織や資金網を国境を越えて追及する動きがさらに広がる見通しです。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.77 円)
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Source:米国司法省発表
サムネイル:AIによる生成画像
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