本物の抽象画のほうがAIアートよりも高く評価された
抽象画は、人物や風景のような分かりやすい対象を描くわけではありません。
そのため「本当に意味があるのか」「ランダムな模様と何が違うのか」と疑問を持たれやすい芸術です。
そこで研究チームは、色や雰囲気ではなく、絵の中で形がどうつながり、どこに輪や穴のようなパターンが生まれるのかに注目しました。
研究では、解析手法である「パーシステントホモロジー」を使い、画像の中にある「つながり」「輪」「穴」「模様の密度」などを調べています。
そして研究チームは、ポーランドの芸術家Lidia Kot氏による抽象画と、AIを使って生成された「疑似アート」を比較しました。
疑似アートは、本物の作品と色や明るさの傾向が近くなるよう調整され、参加者にはどちらも本物の展覧会作品であるかのように提示されました。
アーティストの抽象画(上)とAIによる疑似アート(下) / Credit:Emil Dmitruk(University of Hertfordshire)et al., PLOS Computational Biology(2026), CC BY 4.0実験室では、これらの画像を1枚ずつ決まった時間だけ見せ、視線の動き、脳波、美的体験の評価を測定しています。
その結果、本物の抽象画は疑似アートよりも高く評価されました。
参加者は、本物の抽象画に対して、視覚的要素を把握しやすい、感情的に強く感じる、作者の意図を理解しやすい、流れや没入感を得やすいと評価したのです。
また実験室の初回では、本物の抽象画を見ると視線がより長く留まる傾向が見られました。
研究チームはこれを、より深い視覚処理を反映している可能性があると考えています。
脳波の解析からも、本物の抽象画を見ると、より安定した統合的な処理が起きていた可能性が示されました。
では、同じ画像を「展覧会」という現実の文脈で見せると、反応はどう変わるのでしょうか。






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