中国軍がジブリ風AIアニメで、日本の防衛費増加など批判。長崎の被爆地を現代風に描いた描写も。プロパガンダに使われるケース増

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中国人民解放軍のXアカウント(@ChinaMilBugle)は9月2日、日本の防衛費増加などを強く批判する「ジブリ風」の生成AI短編アニメを公開し、物議を醸している。

中国の動画共有サイトでは以前から、日本の政治などを批判するジブリ風のAI短編アニメが発信されており、今回は軍の公式SNSが類似のアニメを公開した形だ。

中国軍のXアカウントが発信したジブリ風のAI短編アニメ
中国軍のXアカウントが発信したジブリ風のAI短編アニメ

中国軍のXアカウント(@ChinaMilBugle)

「ジブリ風AI作成」がプロパガンダに利用されるケース増

2025年頃から、「ジブリ風AI画像」を作ってSNSにあげる動きがトレンドになり、当初は個人的に楽しく利用するユーザーが多かったが、アメリカのホワイトハウスやイスラエルなど、国家がプロパガンダに利用するケースも増えてきている。

ホワイトハウスが移民強制送還を称賛するジブリ風イラストを投稿するなど、ネガティブな文脈でも使われた。

イスラエルは、イスラエルの国旗が掲げられた要塞で銃を構えて警備する歩兵や、対空砲を背に仲間と通信する水兵、戦闘機に乗るパイロットなどをジブリ風AIで描き、多くの批判が巻き起こった。

今回、公開された約2分の動画では、高市政権における改憲の動きや、アメリカやフィリピンとの合同軍事演習実施、防衛費増加などを批判している。

日本語で歌われている『平和の仮面』という楽曲の歌詞では、「平和の仮面を脱ぎ捨てる」などと、日本の「軍事化」を指摘。

「暮らしを削りミサイルを積む」「保育は来年度 基地なら今年。介護は検討 軍備は前倒し。値上げだけはご理解ください。軍事予算だけ待ったなし」などと、防衛費増額を非難した。

日本の防衛省は2027年度当初予算の概要要求で、過去最高となる8兆8908億円を要求している。

アニメでは、街中で「NO WAR」「戦争反対」とのプラカードを掲げて抗議する人々も描かれた。

アメリカ、フィリピンとの合同軍事演習も批判

「サムおじさんに目配せをする」という歌詞の箇所では、高市首相がアメリカを擬人化したキャラクター「アンクル・サム」と、フィリピンを指すと思われる、バナナの模様の竹笠をかぶった男性と共に、机の上で船を差し出す様子が描かれている。

この様子は、アメリカとフィリピンが長年継続している、フィリピンでの合同軍事演習「バリカタン」への日本の参加を批判した描写と考えられる。

バリカタンをめぐっては、日本はこれまでオブザーバーとして参加していたが、2026年は初めて本格的に参加。実射訓練なども行なった。

中国とフィリピンは南シナ海スカボロー礁などの領有権や排他的経済水域(EEZ)を巡って長年にわたり激しく対立し、衝突も起こっている。

アニメの中では日米は艦艇を差し出しているのにも関わらず、フィリピンは現地で「バンカ」と呼ばれる木・竹製とみられるボートを差し出しており、フィリピンに対する差別的意識も見受けられる。

なお、日本政府はこれまで、政府開発援助(ODA)を通じて10年以上にもわたり、フィリピン沿岸警備隊に大型巡視船や多目的船などを支援し、海上保安庁はフィリピン沿岸警備隊に対し、能力向上支援なども行なっている。

中国は南シナ海で、フィリピンの漁船や巡視艇に対し繰り返し放水砲を発射したり、衝突したりしする、妨害行為を行なっている。

長崎の「一本柱鳥居」背景に、現代風街並みのイラスト

アニメでの「平和を捨てて何を守る」の歌詞の箇所では、1945年8月9日の原子爆弾投下により被爆した山王神社(長崎市)の「一本柱鳥居」が描かれているが、背景には1945年の被爆当時の街並みではなく、現代風のビルが倒壊している。

爆心地から南東約800mの高台にあった山王神社では、社殿などはすべて焼失。一本柱鳥居は、爆風で半分が吹き飛ばされて半分だけ残り、現在も一本足で立っている。

直後には、第二次世界大戦を生きた兄妹を描いたジブリ映画『火垂るの墓』の登場人物、節子を思わせるような少女が、爆撃された現代風の街並みの中で泣いている様子が描かれた。

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