中国、西沙諸島に新たな軍事基地 米が強く非難

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8月18日に撮影されたこのヴァントール衛星画像は、ヤゴン礁を捉えたもので、アナリストらは、約9マイル離れたアンテロープ礁における人民解放軍の軍事作戦を支援する可能性のある、中国の早期警戒レーダーの開発を示していると指摘している。(画像提供:衛星画像 ©2026 Vantor)

8月18日に撮影されたこのヴァントール衛星画像は、ヤゴン礁を捉えたもので、アナリストらは、約9マイル離れたアンテロープ礁における人民解放軍の軍事作戦を支援する可能性のある、中国の早期警戒レーダーの開発を示していると指摘している。(画像提供:衛星画像 ©2026 Vantor)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, August 26, 2026

 米国務省は26日、中国が南シナ海の係争中の島に新たな軍事基地を建設していることについて、「容認できない」と批判し、地域の平和と安定を損なうとの見解を示した。

 国務省報道官は、商業衛星による最近の画像で、中国、台湾、ベトナムが領有権を主張するパラセル(西沙)諸島のアンテロープ礁(中国名・羚羊礁)に、大規模な新軍事基地とみられる施設が建設されていることについてコメントを求められた。

 報道官はワシントン・タイムズに対し、「中国が係争中の地形を軍事化することは容認できず、地域の平和と安定を損なう」と述べた。

 さらに、アンテロープ礁での建設について、「これは南シナ海における中国の拡張的かつ不法な海洋権益の主張を進める大胆な試みだ」と指摘した。

 アンテロープ礁の埋め立て拡張は2017年以来、中国によるものとしては初めて。アンテロープ礁は、南シナ海で最大の人工地形になるとみられ、その規模は、南に位置する中国の軍事基地、ミスチーフ礁やスプラトリー(南沙)諸島の他の拠点を上回る可能性がある。

 商業衛星会社スカイファイのバントール衛星が撮影した画像によると、アンテロープ礁では計約1490エーカー(約603ヘクタール)の大規模な埋め立てが進んでいる。画像からは、港湾、埠頭、2本の滑走路、軍用兵舎、ヘリパッドの建設が確認できる。艦艇の接岸が可能な桟橋も確認されている。

 新たな深水港や埠頭、滑走路によって、中国はベトナム沿岸や南シナ海北部を通る戦略的な海上輸送路に近い前進基地を手にすることになる。

 アンテロープ礁が軍事化されれば、中国がパラセル諸島に置く2番目の主要軍事基地となる。同諸島は中国が1974年に南ベトナムから奪取した。

 近くのウッディー島はパラセル諸島の中国の主要軍事拠点で、8900フィート(約2710メートル)の滑走路や強化型の戦闘機格納庫、HQ9地対空ミサイルを備えている。

 さらに、8月18日に撮影されたバントール衛星の画像では、アンテロープ礁から8マイル(約13キロ)離れたヤゴン島で、同礁での軍事活動を支援する早期警戒レーダーとみられる施設の建設が確認された。ロイター通信が25日に報じた。

 新たなアンテロープ基地の滑走路は、この地域で5本目の軍用機の運用が可能な規模の滑走路となる。

 ウッディー島に加え、中国はすでに、フィリピンに近い南沙諸島のミスチーフ礁、スービ礁、ファイアリークロス礁に軍用滑走路やミサイル施設を建設している。

 この3礁はいずれも中国とフィリピンが領有権を主張している。

 中国問題の専門家らは、アンテロープ礁での建設は、中国が南シナ海で軍事力をさらに拡大するためと指摘する。同海域では年間約5兆ドルの物資が行き交い、有事や紛争の際には中国の基地によって海上交通が遮断される可能性がある。

 衛星画像を使って南シナ海での中国の活動を監視しているアジア海洋透明性イニシアチブは3月、アンテロープ礁は規模が大きいため、発電所、地下貯蔵施設、沿岸防衛施設、地対空・対艦ミサイル施設、多数の監視・電子戦施設など、中国軍の軍事関連設備を置くことが可能だと指摘した。

 退役海軍大佐のジェームズ・ファネル氏は、中国が2013~15年に南沙諸島で7カ所の軍事基地を建設したのに続き、パラセル諸島でベトナムを標的とする積極的な島嶼(とうしょ)拡張を進めていると指摘した。

 これは19世紀の欧州列強による領土拡張に似た、中国の帝国拡大に向けた「力が正義を決める」という姿勢の一環だと同氏は述べた。

 アンテロープ礁の軍事基地は、中国人民解放軍にとって、南シナ海西部のベトナムに対する中国の不当な領有権主張を押し通すための新たな拠点となる。ベトナムの排他的経済水域(EEZ)の近く、またはその内部に位置することになると、太平洋艦隊の元情報部長であるファネル氏は述べた。

 「中国によるこのむき出しの侵略行為は、過去80年以上にわたって比較的平和で安定していた南シナ海の現状を脅かしている。米国とその他の文明世界は、反発すべきであり、この略奪を続けさせてはならない」とファネル氏は述べた。

 中国問題の専門家リック・フィッシャー氏は、完成間近の同礁の航空・ミサイル・海軍基地は、スービック湾から170マイル(約274キロ)離れたスカボロー礁の中国人民解放軍基地と連携し、海域の制海権確保を支えることになると指摘した。スービック湾には新たな海軍艦艇修理基地が建設されている。

 国際評価・戦略センターの上級研究員であるフィッシャー氏は、「米国が同盟国フィリピンに対し、日本とともに、航空・海軍・ミサイル装備の大規模な供与計画をまとめる時期はとうに来ている。売却やリース方式も考えられる。そうしなければ、南シナ海という海上交通の大動脈が完全に中国の支配下に置かれるようになる恐れがある」と述べた。

 中国問題の専門家でグローバル・リスク・ミティゲーション財団会長のデービッド・デイ氏は、アンテロープ礁での建設はベトナムへの警告であり、南シナ海で対立する他の領有権主張国に対抗して、中国が領有権主張を強化・固定化しようとする継続的な取り組みの一環だと述べた。

 「現段階で具体的な軍事利用を予測するのは難しいが、中国がアンテロープ礁の計画によって、ベトナムによるさらなる岩礁開発を阻止しようとしていることは間違いない」と同氏は述べた。

 中国外務省は、最近のアンテロープ礁での建設についてコメントしていない。

 ただ、中国共産党系の英字紙グローバル・タイムズは8月30日、アンテロープ礁での建設を外国メディアが誇張して報じていると伝えた。

■中国、AI搭載の極超音速ミサイルを開発

 中国軍が、米国のミサイル防衛を突破する極超音速ミサイルの能力向上に人工知能(AI)を利用する研究を進めていることが、米空軍系シンクタンクの報告書で明らかになった。

 ただ、米空軍の中国航空宇宙研究所(CASI)の報告書は、こうした高速で機動するミサイルの能力向上が実際に可能なのか、また新たに開発が進む米国のミサイル防衛を突破できるようになるのかについて疑問を呈している。

 報告書はまた、現在、中国が極超音速ミサイルで現在優位に立っていることを、台湾侵攻の際に利用し、米国や同盟国による介入を脅かす可能性があると警告した。 中国が運用する2種類の主要な極超音速滑空兵器(HGV)はミサイル「東風(DF)17」「東風(DF)27」に搭載され、飛行中に機動することで攻撃能力を高める。「しかし、どのように機動するのか、また防御側の迎撃ミサイルを回避するためにどの程度軌道を変更できるのかについては、なお疑問が残る」と、8月3日付の報告書は指摘した。

 HGVの機動の多くは、発射前に高度なコンピューターアルゴリズムを使って設定される。中国の南京航空航天大学の科学者らは、防空・ミサイル防衛による迎撃をかわし、ミサイルが目標に到達できるようにする「迎撃回避」のため、高度なAI対応ニューラルネットワークを研究している。

 研究では、極超音速ミサイルの飛行経路を感知、分析、推定するとともに、飛行中に飛行パターンを学習して適応させる方法が研究されている。

 報告書によると、中国は2022年以降、レーダーとミサイル迎撃システムの双方を回避できるよう、極超音速攻撃兵器の能力向上を試みてきた。

 報告書は、「人民解放軍は、迎撃を回避できるHGVの誘導システムを開発することで、国防総省が進める初期段階の『ゴールデンドーム』構想に対抗するAI技術を探っている可能性が高い」と指摘した。これは新たな国家ミサイル防衛構想の発表前に行われた研究で、トランプ政権が国防総省の非公式名称にも言及している。

 国防総省も極超音速ミサイルを撃墜する技術やシステムを開発しており、中国人民解放軍の研究者らは米国の取り組みを上回ろうとしていると報告書は指摘した。

 AI搭載の極超音速ミサイルは、攻撃側のミサイルの運動特性に基づき、ミサイル防衛システムを回避するための指令を迅速に計算することを目指している。

 報告書によると、中国が迎撃ミサイルを突破するための能力は、より長い距離にわたって機動できるようにし、射程を延ばすことでさらに高められる。

 極めて高速な極超音速ミサイルは、地上、海上、航空機に搭載されたレーダーで連続的に追跡することが難しい。速度が速いため、1つのレーダーの探知範囲から別のレーダーの探知範囲へ移る間に追跡が途切れやすくなるからだ。

 こうした脅威に対処するため、国防総省は新たな防衛技術を開発している。低軌道と中軌道の衛星による大容量のデータ処理能力に依存する極超音速弾道追跡宇宙センサーや滑空段階迎撃ミサイル(GPI)などが含まれる。

 この2つのシステムは、極超音速ミサイルへの対処に使われるゴールデンドーム防衛構想の主要な要素になるとみられている。

 米軍は極超音速ミサイルで中国とロシアの双方に後れを取っているため、報告書は、中国人民解放軍がミサイル攻撃能力で優位に立つ当面の期間を利用し、「拒否区域、あるいは特定の攻撃圏を設定し、侵入しようとする相手を危険にさらす」可能性があると警告した。台湾侵攻での利用も想定される。

 報告書は、「ここでの構想は、高い殺傷能力を持ち、防御が困難な極超音速兵器を使って台湾を迅速に併合し、台湾防衛のために米国や同盟国の部隊が介入するのを阻止することにある」と指摘した。

 狙いは、台湾を速やかに占領し、その後、米国や同盟国による反撃を極めて困難にすることだという。

 報告書によると、中国は西太平洋の外国軍基地や艦艇を攻撃するため、極超音速ミサイルDF17を使用する計画だ。

 国防総省が2024年に公表した中国軍に関する年次報告書によると、人民解放軍の公開文書では、DF17はレーダーや迎撃ミサイルを回避できる高度な技術を備えているとされている。射程4000マイル(約6440キロ)の極超音速ミサイルDF27は米本土を脅かすことも可能だ。新型の極超音速ミサイルとしては、YJ15、YJ19、YJ17、YJ20などがあり、航空機、地上、艦艇、潜水艦から発射できる。

 迎撃回避技術は、米国のミサイル防衛システムからミサイルの誘導やネットワークを守るため、中国人民解放軍が進めてきた取り組みの次の段階に当たる。

 中国人民解放軍の研究者らは、AI搭載ニューラルネットワークを使い、迎撃ミサイルの飛行経路や信号、センサーから発せられる情報、誘導に関する詳細を学習させ、極超音速ミサイルが迎撃を回避できるようにすることを目指している。

 ただ報告書は、「人民解放軍のHGVが現在、迎撃回避能力を備えているかどうかは依然として不明だ」と指摘。ミサイルに深層ニューラルネットワークを実際に組み込んで運用することには難しさがあるとした。

 米国の高度な迎撃技術もまた、攻撃能力の一環として、中国の高度な極超音速ミサイルの誘導を欺いたり混乱させたりできる可能性があると報告書は指摘した。

 また、大規模な米国の衛星群を利用してAI搭載の極超音速兵器を追跡し、迎撃ミサイルを誘導することも可能だという。

 追跡・照準用のセンサーにもAIを搭載し、極超音速ミサイルの機動に合わせて飛行経路を修正すれば、迎撃回避能力を克服できる可能性があると報告書は指摘した。

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