人間だけの能力と思われた「ビート感覚」をアシカで検証
私たちは音楽に合わせて踊ったり、手拍子をしたりできます。
しかも単に音を聞いて反応しているわけではありません。
拍の間隔を捉え、次の拍に自分の動きを合わせようとしています。
このように、耳で聞いたリズムに体の動きを同期させることは、リズム感の中核をなす能力の1つです。
長年、この能力は人間に特に発達したものではないかと考えられてきました。
その後、オウムなど一部の鳥類でも確認されたことから、「声真似に関わる脳の仕組みが、拍に合わせる能力にも関係しているのではないか」という仮説が提唱されます。
ところがアシカの「ローナン」は、その考えに疑問を投げかける存在でした。
ローナンは、生後1年目に複数回の座礁を経験した後、カリフォルニア大学サンタクルーズ校のロングマリン研究所で暮らすことになったカリフォルニアアシカです。
2013年には、初めて聞くテンポや音楽にも頭を上下させて同期できることが報告され、世界的な注目を集めました。
しかし当時の研究には、「本当に人間並みなのか」「訓練による特殊な例ではないのか」といった疑問も残されていました。
そこで研究チームは、実験時点で15歳だったローナンの能力を改めて検証することにしました。
実験では、ローナンにメトロノーム音を聞かせながら頭を上下に動かしてもらいます。
テンポは112、120、128 BPMの3種類で、このうち112 BPMと128 BPMはローナンにとって初めて聞くテンポでした。
さらに大学生10人にも同じ音を聞かせ、ローナンの頭の動きに近い大きさになるよう腕を上下に振ってもらいました。
そして研究者たちは1秒間に240コマで撮影できる高速カメラを用いて、頭や腕が最も下がった瞬間と拍が鳴った瞬間のズレを詳細に分析しました。
その結果、ローナンは初めて聞くテンポにも安定して同期し、人間たちと比較しても非常に高い精度を示しました。
では具体的にどれほど優れていたのでしょうか。次項で詳しく見ていきましょう。






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