
この記事の要点
- ブラックロック、BTC50%下落後も長期保有を再支持
- 投機解消で市場は健全化、資金回帰の可能性を指摘
BTC50%下落でも「長期保有の意義は不変」
米資産運用最大手BlackRock(ブラックロック)は2026年8月17日、ビットコイン(BTC)への投資判断を再検証したレポート「Re-Underwriting Bitcoin」を公表しました。
レポートでは、ビットコインが2025年10月の過去最高値から約50%下落した背景を検証し、仮想通貨(暗号資産)市場で積み上がったレバレッジの解消と資金フローの変化が急落を招いたと分析しています。
執筆を担ったデジタル資産部門のロバート・ミッチニック氏らは、この下落を投機マネーの巻き戻しによる価格調整と捉え、ビットコインを長期で保有する意義は変わらないとの見方を示しました。
こうした評価を裏づけるデータとして、過去10年では伝統的な資産配分にビットコインを加えることで、リスク調整後のリターンが改善してきたと報告しています。
今回のレポートでは、短期的な価格変動と長期的な投資特性が異なるビットコインの「二面性」についても、市場データをもとに検証しています。
BTC市場に「2023年夏の既視感」
清算連鎖と資金流出が招いたBTC急落の背景
膨れ上がったレバレッジが売りの連鎖を誘発
レポートによると、ビットコインが2025年10月に12万ドル(約1,910万円)を突破するまでの上昇局面では、先物市場の未決済建玉も900億ドル(約14.3兆円)を超える水準まで膨らんでいました。
このうち約8割は最大125倍のレバレッジをかけられる海外の無期限先物に集中しており、価格が下落に転じると強制清算が新たな売りを招きやすい状態にあったと同レポートは指摘しています。
こうした状況で2025年10月10日に米国が中国への追加関税を打ち出したことをきっかけに、ビットコイン市場では強制清算が相次ぎ、売りが連鎖しました。
1日で建玉3兆円減、ETFからも資金が流出
清算が相次いだこの日、先物市場の未決済建玉は約200億ドル(約3.2兆円)縮小し、1日あたりの減少幅として過去最大を記録したと同レポートは伝えています。
その後、株式市場が数週間で値を戻したのに対し、ビットコインは下落基調を抜け出せず、2026年6月には6万ドル(約960万円)を割り込みました。
価格の低迷が続くなかで資金の流れも変化し、現物ビットコインETFでは2024年1月から2025年10月までに約600億ドル(約9.6兆円)が流入した一方、その後は50億ドル(約8,000億円)を超える資金が流出しています。
その一方で生成AI関連のファンドには同じ時期に460億ドル(約7.3兆円)が集まっており、ブラックロックは投資需要そのものが失われたのではなく、資金が一時的に別の投資先へ移ったと分析しています。
BTCの二面性、有事にヘッジ・長期で低相関
こうした下落局面でリスク資産としての性格をみせる一方、同レポートは「ビットコインが二面性を持つ」と分析しており、レバレッジ解消が広がる場面では株式などとともに下落すると説明しています。
これに対し、米国とイランの対立など地政学的な緊張が高まった局面では、安全資産に近いヘッジ機能を発揮する値動きもみられたと指摘しました。
ただし、株式などとの相関が高まるのは短期的な局面に限られ、長期では株式や債券との低い相関を維持しながら、リターンが上振れしやすい特性も保っていると同レポートは強調しています。
各国の債務膨張がBTC長期保有の根拠を強化
長期保有を支えるもう一つの根拠として、レポートは米国をはじめ各国で政府債務と財政赤字が拡大し、財政再建への明確な道筋が見通せない状況にも懸念を示しました。
こうした財政環境を背景に、ブラックロックは中央銀行の政策の影響を受けず、供給量に上限がある資産を保有する戦略的な意義が高まっているとみています。
その具体例として同社は、地質学的な制約によって採掘量が限られる金(ゴールド)と、数学とプログラムによって供給上限が定められたビットコインを挙げました。
両資産を法定通貨の価値下落に対するヘッジ手段と捉えたうえで、ビットコインについては長期投資家がポートフォリオを補完するための戦略的な選択肢の一つと捉えています。
CoinShares「日本の金利に警戒せよ」
構造的な需要は健在、BTC資金回帰の可能性
ブラックロックは2026年6月にも、金融アドバイザー向けにポートフォリオへのビットコイン1〜2%組み入れを提言しており、今回のレポートでは50%規模の下落を経た市場データをもとに、その配分方針を改めて検証しています。
同社の経営陣はこれまでも、過度なレバレッジが市場から取り除かれたことで、ビットコインの取引環境はむしろ健全さを増したとの見方を示してきました。
生成AI関連へ向かう資金の流れが落ち着けば、ビットコインをはじめとする仮想通貨へ構造的な資金流入が戻る可能性があると同レポートはみています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.49 円)
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Source:BlackRockレポート
サムネイル:AIによる生成画像

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