ピンハネ、キャッシュカード預かり強要など劣悪な「貧困ビジネス」と、「困難女性支援法」からも取りこぼされる女性たち

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「女性 正社員 奨学金の残債が300万ほどあり、返済ができず生活が苦しい。生活費をリボ払いに頼っており、今後どうしたら良いか困っている」(2025年12月)

「50代女性 母親の介護をしつつ生活をしていた。介護のためフルタイムで仕事ができずにパートの収入と、母親の年金、足りない部分を消費者金融などで借りてきた。母親が亡くなり、一人となったが生活が回らない。債務の返済を求められているがどうしたらよいか。収入は5万円程度、残金も5万円程度。生活保護の申請に行ったが、借金をどうにかしてから来て欲しいと言われた」(25年7月)

「50代女性 単身。両親は亡くなり一人になった。障害や病気もあり、年金と生活保護を利用して生活しているが、米や野菜が高騰し、生きているのが辛い。死にたい」(25年12月)

「70代女性 単身。年金3万5000円/月で生活できない。夜も寝れず死にたくなる時がある」(25年4月)

「50代女性 やむを得ない転職から給与が下がった。今後、昇給の見込みもない中で貯金を切り崩している。生活保護の可能性を考えているが、どのような条件なのか知りたい」(25年4月)

「30代女性 事務職(派遣)。光熱費が高くてエアコンも付けられない。また正社員で働きたいが、なかなか仕事が見つからない」(25年4月)

これらの言葉は、「いのちと暮らしを守る なんでも電話相談会」に寄せられたものだ。

全国で弁護士さんなどが無料で相談を受け付けるこの取り組み、コロナ禍では私も相談員をつとめてきた。

紹介したのはすべて女性からの相談だが、「女性不況」と言われたコロナ禍以降、女性の貧困がひっそりと深刻化しているという実感がある。

例えば私が世話人をつとめる「反貧困ネットワーク」には月に数十件のSOSが寄せられるが、多い月ではその半数ほどが女性。

これは私が貧困問題に関わり始めた20年前との大きな違いだ。例えば08年末から09年明けまで開催された「年越し派遣村」。6日間にわたって住まいも職も所持金もなくした人々が極寒の日比谷公園でともに年を越した場には505人が訪れたが、女性は5人。わずか1%だった。

が、この十数年、女性比率は困窮者支援の現場でじわじわと増え続け、コロナ禍が始まった頃、2〜3割ほどとなる。相談会に来る人やSOSメールをくれる人の中で、それくらいの割合を女性が占めるようになったのだ。多くが住まいを失う寸前だったり、すでに失っていたりという状況。この女性比率は大阪など他の支援現場でも同様だった。この20年で、社会から女性を守る余力が失われた結果だろう。

さて、相談を受けたら、男女限らず少なくない人が生活保護申請をすることになる。住まいも職も所持金もない場合、使える制度がそれくらいしかないからだ。が、住まいがない場合、その日からの宿泊場所が課題となる。

そんな時、コロナ禍の都内ではビジネスホテルに宿泊することができた。東京都がホテルを借り上げていたからだ。そこに1カ月ほど滞在し、アパートに移るという流れができていたのだ。

一方、コロナ以前に住まいがない状態で生活保護を申請した場合、無料低額宿泊所という施設に案内されることが多かった。が、そこは「耐えられない」と逃げ出す人が後を絶たない場所だった。理由は、不衛生だったり相部屋だったり、入居者同士のトラブルが絶えなかったりなど劣悪な施設が多いこと。

それだけでなく、生活保護費の大半を施設側に取られて手元に1万円ほどしか残らない、なんてこともよくある。食費や施設利用などさまざまな名目で、保護費から差っ引かれてしまうのだ。

また、施設がある場所も駅から徒歩2時間など不便なところが多く、そこにいて最低限「死なない」ことは可能であるものの、就職活動などには著しく不利。逃げ出す人が多いのも頷けた。

コロナ禍、そんな無料低額宿泊所ではなくビジネスホテルを使えたことは、支援業界にとっては「革命的」なことだった。その措置により、多くの人が途中で逃げ出すことなく実にスムーズにアパートに移ることができたからだ。

中には早い段階で保護を「卒業」できた人もいる。ネットカフェ生活が長い人などだと、住民票や保険証などがないことが多い。そうなると身分証明がないわけだが、生活保護というワンクッションを挟んでアパートに入れば住民票などを取得できる。それによって安定した仕事につけて、保護の廃止となったのだ。

しかし、ビジネスホテル提供はすでに終了。残念ながら現在、住まいがない人が生活保護を申請した場合、また無料低額宿泊所に入れられるという「コロナ前」への逆戻りが起きている。

そんな無料低額宿泊所に現在、女性も入れられているという話を聞いた。

教えてくれたのは、反貧困ネットワークで日々駆けつけ支援に駆けずり回る瀬戸大作さん。そんな状況をなんとかしようと7月17日、「悪質無料低額宿泊所と女性支援策を考える自治体議員と支援者の会」が開催され、参加した。

ここでこれまで私の見てきた女性支援について、書いておきたい。

住まいがない女性が役所に相談に行くと、コロナ禍以外での行き先は無料低額宿泊所ではなく「宿所提供施設」というのが東京23区では一般的だった。生活保護法にもとづく保護施設で、住居がない人に提供される。そこに滞在しつつアパートを探して転宅するという流れだ。

が、昨年頃からこの宿所提供施設に入る条件が厳しくなっているというのだ。服薬管理ができる、通院していないとダメなどの理由で入所OKが出ないという(もともと入所の条件としてそのようなことが定められているわけではないのに)。

そうして、困窮した女性が入れられているのが無料低額宿泊所。

が、女性専用と謳われている施設の中には同じ建物に男性の無料低額宿泊所がある場所もあり、前述したように施設に保護費をほとんど巻き上げられるなどの問題もある。

しかも、場所によっては入居者の「金銭管理」が行われているところもあるという。キャッシュカードを預けることが強要されているのだ。返してほしいというと「退去しろ」と脅されることもあるというから悪質である。

それだけではない。管理する側も入居者という施設もある。施設スタッフを入居者がやっている形だ。この場合、スタッフが大勢のカードを預かったまま「飛んだ」ら終わりではないか……。と、いろいろ想定されることを考えるほどに「法的にどうなの?」「人権侵害では?」という言葉が頭に浮かぶが、このような状況が長らく放置されてきた。

さらに驚くのは、これほどに課題だらけの場所なのに、役所の中には「無料低額宿泊所に入らないと生活保護は受けられません」と、まるで「生活保護利用の条件」のように説明する職員もいるところ。

「自治体議員と支援者の会」の日、日頃から無料低額宿泊所の入居者支援をしている弁護士さんは、高齢者も多いのに病院も行けず、役所のケースワーカーも来ないので放置され、ただただ「死ぬのを待っているような」場所もあるという実態を語ってくれた。

しかもある無料低額宿泊所(男性用)では、今年に入ってから風呂場で二人が死亡。部屋で亡くなる人もいるという。

事故物件どころの騒ぎじゃないが、最悪、そんな施設でも「アパートが決まるまでの2週間だけ」など期間限定であれば耐えられるかもしれない。が、一度入ってしまうと、なかなか出られないというのはよく聞く話だ。入ったことがある人からも、いつ出られるかわからなかったことが精神的にもっともキツかったと聞いたことがある。実際、中には何年も出られずにいる人もいる。

無料低額宿泊所の中には、県から行政監査指導を受けている施設もある。それなのに、まともな対策がなされているとは到底言えない。背景には、行政が無料低額宿泊所に依存しているという構図もあるだろう。が、自分たちに使い勝手がいいからと言って、人権侵害が疑われるような施設を容認することは大問題だ。

一方、女性困窮者の場合、DV被害者ではないのに、DV被害者が利用するシェルターに案内されることもあるようだ。が、多くの場合、そこでは携帯の利用も外出も禁止。

今まさに命の危険があるDV被害者になら必要な対策だが、そうでない場合、生活の立て直しの足枷になることは明白だろう。

さて、ここまで問題点をいろいろ書いてきたが、このようなことが起きること自体、女性の「困窮」が想定されていない証拠のようにも思えてくる。

だからこそ、この国のホームレス支援施策は男性中心。女性の存在がほとんどカウントされていない。

いや、掘り下げると、そもそもこの国では「女性が一人で生きる」ことも想定されていない。よってあらゆる社会保障制度は世帯を前提とし、単身女性というだけで貧困リスクは爆上がりだ。

そんなことの結果、困窮した女性のセーフティネットはつぎはぎだらけのものになっている。

が、残念ながら、困窮に性差はなくなってきている。

思えば女性の方がはるかに非正規雇用率が高く、ずっと低賃金なのだから当たり前と言えば当たり前だ(ちなみに非正規女性の平均年収は174万円。これに対して非正規男性は271万円。また男女合わせての正社員の平均年収は545万円 24年、国税庁)。そうして前述したように、家族からも企業からも、女性を支える余力は失われる一方だ。

もちろん、DVやストーカーなど女性に多い被害や女性特有の事情などに配慮することが必要なのは大前提だ。しかし、今やそのような事情がなくとも女性が困窮する時代ということは行政も頭に叩き込んでおいてほしい。

24年、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が施行された。私はこの法律に期待した一人だが、ここまで書いたような部分で言えば、法律はうまく機能しているとは言えないだろう。

またこれは男女関係なくそもそもの話として、家賃が上がり続ける現在、生活保護で認められる家賃以内のアパートを見つけるのが以前にも増して至難の業となっている。女性という枠組みだけでなく、あらゆる分野の専門家や省庁の協力が必須だろう。

そんなことも含め、これからさまざまな提言をしていきたいので注視していてほしい。

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