ハエトリソウの葉の開閉、「大きいほど素早い」のはなぜ?
ハエトリソウ(Dionaea muscipula)は、葉の内側にある感覚毛が短い間に刺激されると、1秒以内に葉を閉じて獲物を捕らえる食虫植物です。
特に、約30秒以内に2回刺激を受けると葉が閉じることが知られています。
しかも、動物のような筋肉を持っているわけではありません。
このため、ハエトリソウがどのようにして高速で葉を閉じるのかは、長く研究者たちの関心を集めてきました。
これまでには、細胞内の水の出入りによって圧力、つまり膨圧が変化し、葉が変形するという説がありました。
また、葉に蓄えられた弾性エネルギーが一気に解放され、構造が反転するように急速に閉じる「座屈不安定性」という説も提案されてきました。
しかし、ひとつの疑問が残っていました。
それが、「なぜ大きい葉ほど速く閉じるのか」という問題です。
普通に考えると、小さい葉のほうが軽く、すばやく動きそうにも思えます。
ところが、ハエトリソウでは大きな葉ほど速く閉じる傾向が知られていたのです。
そこで研究チームは、葉の大きさ、開き具合、閉じる速度、そして葉の曲がり方を詳しく測定しました。
さらに、CTスキャンによって葉の立体構造を取得し、三次元再構築データをもとに、ハエトリソウの閉合運動を再現する数理モデルを開発。
このモデルでは、葉がどのような形からどのような形へ変化するのかを、立体的な特徴として扱います。
特に重要になったのが、葉の「曲がり具合」です。
研究チームは、開いたときの曲がり具合と、閉じたときの曲がり具合を数値で比べています。
その結果、やはり葉が大きいほど速く閉じる傾向が確認されました。
一方で、葉のサイズが6mm未満、または21mmを超える場合には、葉はほとんど閉じないことも確認されました。
つまりハエトリソウの閉合運動には、単純な「大きいほどよい」という関係ではなく、動きやすいサイズ範囲があると考えられます。
では、なぜ小さい葉は大きな葉のように高速で閉じられないのでしょうか。
より詳細な結果は、次項で見ていきます。






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