ネパールのインフラ建設に従事する中国人作業員たち、洪水後に消息途絶える 家族らに安否情報届かず

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北京(CNN) CNNがリリという仮名で報じたその中国人女性は、何度も何度も夫に電話をかけ続けたが、相手が出ることはなかった。リリさんによれば夫は8月26日の午前8時27分に友人と会話をしている。その約10分後、ネパールの山で大規模な土砂崩れが発生。爆発的な勢いの洪水が中国との国境地帯に流れ込んだ。

それ以来、リリさんは夫と連絡が取れていない。夫は中国企業が手掛けるネパールでの建設プロジェクトに従事していた。

災害発生時に国境を越えてネパールで作業していたとみられる中国人は数十人。彼らの家族は今、現地での救助活動が愛する人に届いているのかどうかを案じる一方、救助の進捗(しんちょく)に関するより積極的な情報提供を強く求めている。

8月31日には被災した作業員の家族数人が中国チベット自治区の中心都市ラサを訪れ、親族を雇用していた国営建設会社からより詳しい情報を得るとともに、救助活動の強化と情報公開の徹底を求めた。CNNが入手した当局宛ての書簡の草案によると、家族らはチベット自治区の地方当局に対し、ネパールの建設現場での救助活動を迅速化するよう要請している。

中国とネパールの当局によると、今回の災害による死者は1000人を超え、数千人が行方不明となっている。ネパール側では救助者数や死亡者数に関する最新情報が頻繁に発表されている一方、中国側からの情報発信ははるかに遅く、透明性に関する疑問が投げかけられている。中国政府は遠い被災地からの情報だとしつつも、その内容は透明性が高く、タイムリーだと主張している。

中国国内の報道は厳しく統制されたメディア環境の下、国営メディアの報道が中心で、中国・ネパール国境地帯における緊急対応部隊の活動に焦点が当てられている。安否情報を待つ中国人家族たちの状況は、ほとんど伝えられていない。

リリさんの夫は50代で、ネパールのシャブルベシ・ラスワガディ高速道路の再建工事に従事していた。ネパール北部を通り中国国境まで続くこの道路の建設は、中国国営建設会社のチベット天路公司が担当。同社はネパール各地のインフラプロジェクトに参加している複数の中国企業の一つだ。

2019年、ネパールを通るシャブルベシ・ラスワガディ高速道路の再建工事の着工式/Tibet Tianlu Company Limited
2019年、ネパールを通るシャブルベシ・ラスワガディ高速道路の再建工事の着工式/Tibet Tianlu Company Limited

災害発生後、同社は専門家、救援物資、重機を派遣。経営陣はチベットの被災地である国境検問所「ギロン港(吉隆口岸)」周辺を視察した。オンラインで出した声明によれば、現地では救助活動が行われているという。

しかしリリさんをはじめとする同プロジェクトに従事する作業員の家族は、プロジェクトの作業現場が中国国境に近いことから救助活動に支障が出ているのではないかと危惧する。同じ高速道路建設プロジェクトに従事する別の作業員の姉妹はCNNの取材に答え、ネパールの救助隊はまだプロジェクト現場に到着できていないのではないかと語った。「全く情報が入ってこない。家族全員がとても心配している」

CNNが入手したチベットの地方当局者宛ての書簡草案によると、高速道路建設工事に従事していた作業員24人の家族は、「国境を越えた救助活動」に支障が出ていることを懸念。「ネパール側の救助資源と人員は極めて限られており、現場の中心部まで到達して捜索活動を行える状況ではない。一方、国境での制約により、中国の救助隊員も一時的に越境して直接救助活動を行うことができていない」と指摘している。CNNは書簡が当局に届けられたかどうかを確認していない。

書簡の中で家族らは当局に対し、捜索救助活動の進捗状況を定期的に報告する仕組みを会社に確立させるよう求めている。

8月30日、チベット自治区ギロン県の被災現場に集まった数十人の地元住民/Tibet Radio and Television Station
8月30日、チベット自治区ギロン県の被災現場に集まった数十人の地元住民/Tibet Radio and Television Station

電話取材に答えたチベット天路の取締役会事務局の担当者は、災害発生後に対策チームが設置されたと説明。8月31日に同社の事務所に到着した家族とも連絡を取っていると述べた。ネパール側での会社の救助活動計画について尋ねたところ、担当者は「そのような情報は受けていない」と答えた。

中国外務省によれば、ネパール側の被災地で行方の分かっていない中国人は約100人。ネパール当局は31日夜の時点で、国内全体で500人以上の外国人が行方不明だと明らかにした。

中国外務省は同日、「国内外で行方不明と報告されている人々の捜索と救助に全力を尽くしている」と発表。ネパールの被災地で連絡が取れた中国国民は全員無事に避難したと付け加えたが、具体的な人数は明らかにしなかった。

中国人作業員は、公的融資機関や建設会社と並んで、近年ネパールで進められる道路や水力発電所その他の建設プロジェクトにおいて重要な役割を果たしてきた。これは習近平(シーチンピン)国家主席が推進する世界的なインフラ整備構想「一帯一路」の一環だ。

CNNの取材によると今回の災害発生以来、ネパールの少なくとも三つのプロジェクト(うち二つは水力発電所)に従事していた作業員の家族が互いに連絡を取り合うようになった。情報を交換し、オンラインで懸念を共有しながら、公式発表を待ち続けているという。

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