乳首に吸いつくだけでは「飲んでいる」と限らない
オランウータンは、哺乳類の中でもとくにゆっくり成長し、ゆっくり繁殖する動物として知られています。
母親が次の子どもを産むまでの出産間隔は平均7〜8年とされ、ゾウやクジラよりも長い期間です。
一方で、子どもの生存率は非常に高く、少なく産んだ子を長く大切に育てる戦略を取っています。
このためオランウータンは、研究者たちから「少子化の極み」とも表現されています。
以前から、オランウータンの子どもは生後6〜7年ほど母親の乳首に吸いつく行動を続けることが知られていました。
しかし、この行動だけでは、本当に母乳を飲んでいるのかはわかりません。
人間の子どもでも、離乳後に母親の乳房に触れて安心しようとすることがあります。
同じように、オランウータンの子どもが乳首に吸いついていても、母乳が実際に分泌され、摂取されているとは限らないのです。
本研究で対象としたボルネオ島のダナムバレイ保護区 (マレーシア、サバ州) に生息する野生のボルネオオランウータン/ Credit: 九州大学(2026)これまでにも、窒素やバリウムなどの元素を調べることで、授乳の痕跡を探る研究は行われてきました。
しかし、窒素を使った研究では2歳8カ月以降に授乳のシグナルが見られないとされる一方、バリウムを使った研究では食物の豊富さに応じて母乳の摂取が止まったり再開したりする可能性が示されていました。
これらの元素は母乳以外の食べ物の影響も受けるため、オランウータンが本当に何歳まで母乳を飲んでいるのかは、はっきりしていなかったのです。






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