
この記事の要点
- WintermuteがOTCレポート公表 機関投資家比率72%で過去最高を更新
- アルトコイン市場は選別的な上昇局面へ移行する可能性
アルト相場は「選別上昇」へ、機関比率72%が示唆
主要なマーケットメイカーの1つであるWintermute(ウィンターミュート)は2026年7月30日、OTC(相対取引)の分析レポートを公表しました。
2026年上期に同社のOTCデスクを経由した仮想通貨(暗号資産)のスポット取引では、ヘッジファンドやDAT(仮想通貨トレジャリー企業)、資産運用会社など機関投資家の取引比率が72%に達し、過去最高を更新したとしています。
機関投資家の比率は2025年上期の約59%から同年下期には約61%へ上昇しており、個人投資家の売買が低調となるなか、2026年上期にはその伸びがさらに加速しています。
同社のOTCデスクではデリバティブ(金融派生商品)の利用も拡大しており、アルトコインを対象とするオプションの想定元本(名目上の取引金額)は2025年下期比で約3.4倍に膨らみました。
ウィンターミュートはこうした機関投資家比率の上昇を踏まえ、今後のアルトコイン相場は幅広い銘柄が一斉に買われる展開ではなく、有力銘柄を中心とした選別的な上昇になるとの見方を示しています。
「収益なきアルトは死ぬ」ヨンジュ氏
データで見る機関化、変動率・銘柄数・資金の行き先
BTC変動率、70%から45%へ低下
選別的な相場になるとの見方について、同社はレポートの中で、機関投資家と個人投資家では売買を判断する基準や持ち高を動かす速さそのものが異なると説明しました。
機関投資家はリスク制限と運用マンデート(受託した運用方針)に沿って売買するため、2025年後半の高値圏でも持ち高を売り越しから中立の範囲にとどめたとしています。
その後の下落局面では時間をかけて買い越しを積み増した一方、個人投資家は上昇局面で買い増して下落局面で手放す順張り(値動きに追随する売買)の傾向が続いたといいます。
こうした売買行動の違いは値動きにも表れており、レポートによるとビットコイン(BTC)の30日実現ボラティリティ(変動率)は3回目の半減期後の年率約70%から45%近辺まで低下しました。
銘柄増加率、機関24%に対し個人76%
売買のタイミングだけでなく対象とする銘柄の数でも差は開いており、2024年上期から2026年上期にかけての増加率は機関投資家の24%に対し個人投資家は76%だったとしています。
値動きと出来高が急拡大した銘柄に両者が参入した場合でも、機関の取引量は約1日でもとの水準へ戻り、個人はおよそ3日間にわたって高い売買水準を保ったといいます。
こうした売買傾向の違いを受け、アルトコインの上昇局面は以前のサイクルより短い期間で買いの勢いを失い、水準を保ちにくくなったと同社は分析しました。
値動きの安定を支える流動性(売買のしやすさ)も機関が選ぶ一部の銘柄へ偏っており、それ以外の時価総額が小さい銘柄群では取引の厚みが薄くなっていると同社はみています。
アルトオプション12倍、CFDは58銘柄に
レポートによると、機関投資家は売買する銘柄だけでなく、持ち高の取り方も現物から派生商品へ移しており、アルトコインのオプション取引量は2025年上期を1.00倍とする指数でみて12.12倍へ達しました。
これらの取引は利回りの獲得を狙う売り建てが中心のため、そのヘッジ(損失を抑えるための反対売買)が小幅な値動きを打ち消し、主要銘柄の変動幅をさらに抑えているといいます。
CFD(差金決済取引)で扱う原資産も1年前の32銘柄から58銘柄へ増えており、価格形成におけるデリバティブの役割も高まっていると同社は説明しました。
トークン化資産、50%増の310億ドルに
機関投資家の資金は派生商品だけでなく、米国債などの伝統資産をブロックチェーン上で扱うRWA(現実資産)にも広がっており、その価値は2026年上期に約50%増の310億ドル(約5兆円)へ達したと同社は評価しました。
月間平均の移転額も2025年の38億ドル(約6,100億円)から2026年上期には90億ドル(約1.5兆円)へ増え、資産が発行される段階から実際に動く段階へ移ったと分析しています。
資産クラス別では米国債やプライベートクレジット(未公開企業向け融資)のトークン化債券を機関投資家が保有し、株式は個人投資家が中心という分離が鮮明になったと記しました。
「代替資産」への資金シフトが加速
幅広い保有は機能不全へ、選別相場が本格化
RWAトークン化市場をめぐっては、米Citigroup(シティグループ)が市場規模を2030年までに5.5兆ドル(約880兆円)へ拡大すると予測するなど、大手金融機関も強気な見通しを示しています。
一方、Wintermuteはレポートの結びで、個人投資家の売買が回復すれば市場構成の一部は平常化する可能性があるとしつつも、機関投資家が市場で占める存在感は今後も大きく変わらないとの認識を示しました。
こうした市場構造が続けば、幅広いアルトコインを保有して市場全体の上昇を待つ従来の投資手法は機能しにくくなり、個人投資家にとっても銘柄を見極める重要性がこれまで以上に高まる可能性があります。
同社は半期ごとにフローレポートを公表しており、次回のフローレポートで機関投資家の売買動向やアルトコイン市場の変化がどのように示されるのか注目されます。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=160.51 円)
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Source:Wintermuteレポート
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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