ため息には「呼吸パターン」を整える役割があった
私たちは普段、機械のように同じ速さと深さで呼吸しているわけではありません。
ある呼吸は少し深く、次は浅くなるなど、呼吸には自然なばらつきがあります。
この「呼吸変動」は異常ではなく、運動や感情、周囲の状況に合わせて呼吸を変えるための柔軟性と考えられています。
そのため研究チームは、呼吸のばらつきの大きさに加え、隣り合う呼吸がどれほど似た並び方をするかにも注目しています。
そして先行研究では、呼吸の変動が大きくなったとき、通常より深い一呼吸であるため息が、その状態を調整する可能性が指摘されてきました。
そこで今回は、ため息が呼吸を整えるかどうか、また覚醒状態や注意力まで立て直すのかを調べています。
研究者らが解析したのは、2つの注意課題のデータです。
1つ目では、18~35歳の38人と65~80歳の34人、計72人が、画面上の円形模様が薄くなった瞬間を見つけてクリックする課題を行いました。
課題は約8分のブロックを8回続け、途中では、課題に集中していたか、それとも別のことを考えていたかも尋ねています。
2つ目では57人が、高い音と低い音の切り替わりに合わせてクリックする21分間の課題に参加しました。
このうち32人は自然に呼吸し、25人は音に合わせて1分間に約6~9回のゆっくりした呼吸を行いました。
そして呼吸は、胸骨下部に装着したベルトで測り、ベルト上で平均的な吸気の振幅の2倍以上となった呼吸を「ため息」と判定しました。
また瞳孔径を、覚醒に関わるノルアドレナリン系の変化を探る間接的な手掛かりとして記録しました。
その結果、自然呼吸群では課題が進むにつれて呼吸の総変動とため息が増え、ため息後には総変動が小さくなりました。
一方、ゆっくり呼吸した群では、ため息が自然呼吸群より少なく、ため息前後の呼吸変化も確認されませんでした。
このことから、ため息は増大した呼吸のばらつきを一時的に整える役割を持つ可能性が示唆されました。
では、ため息には他の役割もあったのでしょうか。より詳しい結果を次項で見ていきましょう。






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