あくびをすると脳に「知られざる動き」が起きていたと判明

4 週間前 9

あくびは「ただの深呼吸」ではなかった

研究チームが注目したのは、脊髄液(CSF)血液の流れです。

脳脊髄液とは、脳や脊髄の周囲を満たしている透明な液体です。

水の中に浮かぶ物体のまわりを水が包むように、脳と脊髄を取り囲み、衝撃から守っています。

さらにこの液体は、栄養を運び、老廃物を外へ運び出す役割にも関わっています。

つまり脳脊髄液は、脳を守るクッションであると同時に、脳の環境を整える循環システムの一部でもあるのです。

研究では、健康な成人22人がMRI装置の中で、通常呼吸、深呼吸、あくびをこらえる動作、そして映像によって誘発された「伝染性あくび」を行いました。

伝染性あくびとは、誰かがあくびをしているのを見ると自分もあくびをしたくなる現象です。

チームは、人や動物があくびをする映像を見せることで、参加者の自然なあくびを引き出しました。

比較のために、参加者には「あくびのふりをした深呼吸」も行ってもらいました。

もしあくびが単なる大きな深呼吸なら、MRIで見える液体や血液の動きも深呼吸と似ているはずです。

ところが、実際には違っていました。

深呼吸では、静脈血が頭蓋骨の外へ流れ、脳脊髄液はそれとは逆に頭蓋骨の内側へ向かう傾向が見られました。

これは通常の呼吸でも見られる生理的な動きです。

一方、本当にあくびをしたときには、静脈血と脳脊髄液が一緒に頭蓋骨の外へ向かって流れていました。

つまり、あくびでは「脳から出ていく流れ」が一時的にそろうような、独特の動きが起きていたのです。

チームにとっても、これは予想外の結果でした。

あくびと深呼吸はどちらも大きく息を吸う動作に見えますが、脳脊髄液に関しては、まったく同じものではありませんでした。

外から見ると似ている行動でも、脳のまわりでは別の生理現象が起きていた可能性があります。

また、あくびの初期段階では、内頸動脈を通って脳へ入る血流も増加していました。

脳から静脈血と脳脊髄液が外へ向かい、それと同時に新しい動脈血が入ってくるような変化が見られたのです。

この結果は、あくびが単に眠気や退屈の副産物ではなく、脳周辺の液体循環を一時的に切り替える行動である可能性を示しています。

記事全体を読む