視力矯正だけでなく、日々のスタイリングの一部としてメガネを選ぶ人が増えている。
8月20日、JINSは新作「ヒロイン顔♡中顔面短縮メガネ」を全国店舗とオンラインショップで発売した。今回の新作の土台にあるのは、2025年4月に発売された「JINS Combination Titanium」のリニューアルだ。
同商品は「黄金比アイウエア」としてサイズ設計や玉型を刷新したところ、フレームの形が自分に合うと感じた人たちの間でSNS上で自然発生的に「中顔面短縮メガネ」と呼ばれるようになり、年代を問わず幅広い支持を集めてきた経緯がある。
今回の新作で注目されているのが、頬に色味をプラスする「チークカラーレンズ」だ。レンズ自体に血色感を演出する効果があるため、メイクの工程を一つ省ける手軽さも支持されている理由の一つとみられる。
今回の新商品発表後もSNS上では好意的な反応が相次いだ。発売前から「絶対に欲しい」といった投稿のほか、他ブランドの利用者から「JINSに乗り換える」といった声も見られ、イメージモデルに起用された、アイドルグループ=LOVEの大谷映美里さんの人気も後押しし、発売前から話題を集めた。
決算は好調、海外事業が牽引
こうした商品戦略の背景にあるジンズホールディングスの業績は、拡大基調にある。
2026年8月期第3四半期(2025年9月〜2026年5月)の累計連結決算は、売上高807.3億円(前年同期比15.6%増)、営業利益89.96億円(同1.2%増)と増収増益だった。特に目を引くのが海外アイウエア事業で、売上高194.07億円(同24.9%増)、営業利益20.35億円(同143.8%増)と大幅に伸長した。
一方、国内事業は売上高が613億円台と増収を確保したものの、旗艦店出店やIT・人件費への先行投資が響き、営業利益は前年同期比で減益となっている。
通期予想は売上高1103.92億円(前期比13.6%増)、営業利益127.72億円(同5.6%増)、純利益86.23億円(同3.5%増)。前期(2025年8月期)の売上高実績は972.15億円だったため、計画通りに進めば、ジンズHDにとって初めて売上高1000億円の大台を突破する見通しだ。
年間配当予想も115円(前期実績109円)に増額される計画で、株主還元の姿勢も維持されている。
銀座・新宿の旗艦店・東南アジアを見据えた海外戦略
決算の裏側にあるのが、都心一等地への大型旗艦店出店と海外展開を両輪とした成長投資だ。
2026年3月には銀座にグローバル旗艦店「JINS銀座店」、4月にはブランド誕生25周年の節目として新宿三丁目交差点に世界最大規模となる「JINS新宿店」を相次いでオープンした。
2026年8月期はこうした成長投資に24億円を投じる計画で、旗艦店12億円、新規海外市場2億円、システムアップグレード10億円という内訳になっている。
旗艦店出店は単なる国内での存在感強化にとどまらない。ジンズブランドを体現する店舗を都心一等地に構えることで、ブランド力の向上を国内外双方の事業成長につなげる狙いがあるとみられる。実際、当第3四半期末(5月末)時点の店舗数は国内581店舗、海外268店舗(中国155店舗、台湾96店舗、香港11店舗、米国6店舗)の合計849店舗となっている。

Trading View
業績・戦略への評価は株価にも表れている。2026年上半期の株価は約46%上昇したが、決算発表後は調整局面も見られる。旗艦店の先行投資が短期的に利益を圧迫している一方、海外事業は営業利益が前年同期比143.8%増と大きく伸びており、投資負担が一巡した後の収益改善余地が期待される。
「顔の印象を整える」という商品開発の切り口はJINSに限った動きではない。Zoffは資生堂のヘアメイクアップアーティストと共同開発した「美支度」シリーズを展開し、レンズに色味をプラスする機能を打ち出している。
OWNDAYSはAIを使った診断サービスを通じて、一人ひとりの顔立ちに合ったフレームを提案をする取り組みを進めるなど、各社がそれぞれ異なるアプローチで「視力矯正にとどまらない価値」を打ち出している。メガネ業界全体が、日々のスタイリングに寄り添う商品開発に注目している状況だ。
※本記事は、事例として取り上げた金融商品の売買を勧めるものではありません。本記事に記載した情報によって読者に発生した損害や損失に関しては、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

1 週間前
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